あらすじ
東吾が花世や源太郎を連れて出かけた亀戸村の宝船祭で、村の幼児がさらわれた。時を同じくして、旅籠「かわせみ」に逗留していた小田原の名主の嫁が失踪。2つの事件を結びつける手がかりは、奇しくも20年前の同じ宝船祭で起こった子さらいなのか? 弟を失ってしまった姉の哀しみが切なく響く表題作ほか、かわせみに新しい女中・お石が奉公に来たが、皆がびっくりするような大女で……。教育係のお吉がてんてこ舞いする「大力お石」「女師匠」など、全8篇を収録。
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<目次>
略
<内容>
東吾・るい夫婦に子どもができたせいか、子どもがらみの話も増える一方、開国してアヘンが入ってくる話とか時代性も反映している。
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かわせみに奉公にきたお石ちゃん。田舎言葉が抜けなくて力持ちで、なかなか仕事に慣れなくて、お吉も手を焼いていた。そんな時ちょっとした事件が起きて…。という『大力大石』。
今後のお石ちゃんの成長も楽しみになりました。
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【8作収録】
・知り合いの女隠居を訪れたるい。養女と養子それぞれに縁談が決まり、さぞ一安心だろうと思っていた矢先、実の兄妹である二人が神社で逢引しているところを長助が見かける
・手先が器用で色々な雑事を頼まれる小間物屋。かわせみの近所に越してきた女隠居が、小間物屋から偽者の西行法師の短冊を高値で買わせられ・・・
・事件などめったに起こらずおっとりとした村で祭りの最中に赤ん坊がさらわれた。東吾らが手がかりを求めて探しているうちに、かわせみに滞在する女も行方不明になり・・・
・酒宴の帰りに盗賊に出くわした東吾。手傷を負わせただけの犯人は、東吾が少しその場を離れているうちに殺されていた。続出する盗賊被害の調査に乗り出す東吾
・かわせみに新たに女中としてやってきたお石。男顔負けの大女ですぐに物を壊す上、動作ものろい。お吉が根気良く仕事を教えていたが、どうも近所の悪餓鬼にいじめられているようで・・・
・お吉にわざとぶつかり金を要求した二人の少女。往来で下半身を見せて金を取ろうとしたり、寺子屋でも悪さを繰り返す。見かねた女師匠から意見されると、熱い蕎麦湯を浴びせかける
・東吾の軍艦操練所の仲間の一人で、大人しく目立たない男が長崎から来た女と心中した。心中をするにしても、高価な外国渡りの毒を使用したことに疑問を持った東吾は調査を始める
・宗太郎の知り合いが大山まいりで行方不明になり、10日後に遺体で発見された。外傷も毒物反応も見られず、餓死と判断された。金も所持し人家もある中でなぜ餓死したのか