良かった、ちゃんと、紙で出た・・・いや、失礼な事を言っているのは百も承知なんだけど、昨今、色々と厳しいので、最新刊がいきなり、電子版になる事もある。
それなら、まだマシな方で、(1)とナンバリングされてたはずなのに、(2)が出ない作品もあったりするので、ドキドキしていた。
小田先生が描いている以上、続刊は出ると信じていたので、ホッとした。
当然、この(2)も、小田先生らしさが炸裂していたので、読み応えは満足、と言い切れる。
独特ではあるんだけど、奇抜過ぎず、読みやすさもちゃんと考えてくれている。小学生にも読みやすいかっつーと悩ましいにしろ、少なくとも、中学生なら響くんじゃなかろうか。
コミカルさが強い絵柄と深みを感じさせるストーリーは、実にベストマッチで、小田先生の腕力が高い、と戦慄したのは私だけじゃあるまい。
クスッと笑いたい、しみじみしたい、その両方に応えてくれる、この『じんちく以外』を、私は他の漫画読みに、自信を持って推したい。
この(2)も、グッと来る話ばかりなので、三つに厳選するのは、かなり悩んでしまうが、第10話「未知との遭遇」、第11話「森の中へ」、第17話「夢と記憶」をお勧めしたい。
特に、第17話「夢と記憶」は、ラストが実に衝撃的で、ざしきわらしシリーズと同じくらい、続きが気になってしまう。人生、知らない方が幸せな事もあるが、この真相は、果たして、どっちなんだろう。嘘や誤魔化しは良くないけど、これには優しさがあり、悪と決めつけるのも抵抗を感じる。
見た目も言動もふざけちゃいるけど、この獏は、何もかも知っている上で、おふざけキャラに徹している可能性もあるよな・・・仮に、この話が実写化した時は、獏役は、「野生爆弾」のくっきーさんに演じてほしい。
この台詞を引用に選んだのは、これもまた、人間だよなぁ、と思わざるを得なかったので。
しょうもない、とは思うにしろ、クズ、とまでは言えない。
誰だって、自分の心を守るために、自分を騙したくなる時はある。
ただ、その小さな自己防衛の積み重ねが、この結果に繋がるのであれば、控えるべきだろう。
虎じゃなく、熊ってのが、今の世にマッチしてるな、皮肉にも。
「―――高校の時、野球部だったんだ。3年間、一度もベンチ入りできなくて―――最後の年もスタンドでユニフォーム着て、応援してさ。あと一歩で甲子園出場はかなわなかった。グラウンドの選手たちと一緒に俺は泣いた」
「・・・出場できなくても、チームの一員ですもんね」
「俺が本心から、そう思えていたら―――そんな人間だったら、どんなによかったか・・・正直、早く負けろと祈っていた。自分をだまして、一緒に泣いた。俺だけうれし涙だ」
「・・・・・・」
「それからも、ずっと、その性根は変わらなかった。自分をだますのが、当たり前になって―――」
「ついには、その姿になったってことですか?」
「自分をだまし抜いて、自分の形を保てなくなったんだろうな」(by二匹の熊)
これを選んだのは、とんでもねぇブーメランだぞ、おめぇ、とツッコミを入れざるを得ないものだったので。
これ、ツッコミを我慢できる人、いたのか?
小田先生自身も書いてて、「おま言う!?」だったんじゃないだろうか。
この笑撃もまた、小田先生の真骨頂か。
「そんな毛むくじゃらの奴が、加美男くんなわけない・・・バケモノだよ!!」(by雪太郎)