まさきとしかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
丸江田逸央、34歳無職。
自らを起業家と偽り、SNSで知り合った、家系的にも社会的にも金銭的にも〝恵まれた〟男女数人をヒ素により殺傷させた――豊洲バーベキュー事件。
当初は、自身をヒエラルキーの底辺と位置づけた逆恨みによる、身勝手で自己中心的な犯罪とされていた一件。
だが、犯行に使われたヒ素が、12年前に遠く離れた北海道の片田舎で起きた一家殺害「レッドクローバー事件」と同一のものだと判明してから、事態は動き出す。
母に捨てられた娘。
地域から蔑まれた家族。
呪いを叶える闇神神社。
頻発する不審火。
身勝手で自由奔放な母親。
8年前の集団自殺。
一見、何の因果もなさそうな不幸や事件が、いくつもの家族に降りかかり、それらが複雑に絡み合いながら、やがて真相が浮かび上がってくる。
人を恨んだり、呪ったりする気持ちは分からない。
けれど「分からない」ということは、もしかすると自分が〝誰かに恨まれる側〟に立っている可能性を孕んでいる、ということなのかもしれない。
殺される前に殺す。
もしこの人生でそんな局面に出くわしたとしても……自分はそこまでの思考には至らない気がする。
それは、ただお気楽なだけだろうか。
物語でありながら、妙に現実味がある。
もしかするとこれはドキュメンタリーなのではないか――そう思わせるほどの人間心理に、ヒヤリとさせられる一冊。
今年の10冊目 -
Posted by ブクログ
三ツ矢&田所刑事シリーズ、第二弾
前回「シリーズ前後したけど、影響なさそう」と
書いたものの、やはり肝心の三ツ谷と田所の関係性が微妙に変化していて、やはりシリーズものは、順番間違えたらダメだなと実感(笑)
今回も胸が締め付けられるような事件だった。
承認欲求モンスター恐るべし。そして、その欲求の満たし方が気持ちが悪い(Instagramでよく見かけるけどw)
だけど、他者によく見られたい。
そんな気持ち痛いほどわかっちゃう。
ほんの数mmのズレはいつの間にかとんでもなく歯車は狂っていく。
フィクションなのにまるですぐ側でいつ起きてもおかしくない物語には身につまされる思いも…。
三ツ谷の言葉が、自分のこれまでの生き方とこれからの生き方を考えさせる。
命が尽きる時、どんな最期であったとしても生まれてよかった、いい人生だったと思えるものでありたいな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ初作家さんです。
登場人物の女性たちが、誰も彼も
ドロドロと気持ちの悪い曲者だらけ(褒めています)
良妻と見える勝木の亡妻 美和子でさえ
後ろ暗さを感じさせます。
そこに田舎特有の陰湿なヒエラルキー構造と
ありますか、田舎に限らないどこにでもある
不気味さ陰険で悪意が満ち満ちて吐きそうになります(褒めてるんです)
タイトル「レッドクローバー」は
実際に存在する植物でもあり、シロツメクサの
仲間らしい。
乾燥させハーブとして、ホルモンバランス調整
更年期症状や血液浄化の効果が期待され
また「幸運の象徴」としても親しまれているという。
それを知って本作を読めば
なんとも皮肉なタイトルなんでしょう。
登場人物ごとに現在、過去と行き来があり
前半はまどろっこしさを感じましたが
中盤からはより一層の闇深さが加速展開し
432頁、イッキ読みでした。
「レッドクローバー」
いまはどこで根を張り巡らしているだろう。
気になります。 -
Posted by ブクログ
タイトルの〈レッドクローバー〉は、登場人物の名前から取られています。
日本語にすればアカツメグサ。花言葉は「幸運」「希望」。
そして、それらから遠くかけ離れた物語が始まります。
幸運にも希望にも見放されたような、母娘たちが入り混じりながら、罪を犯していきます。
小説は五章からなり、章の中でも語り部と年代を変えながら、じっくりと負の連鎖が続きます。
まさきさんの特徴でもある、歪みある愛情の物語であると同時に、しっかりとしたミステリーでした。
むしろミステリーがしっかりしすぎていて、自分の理解したストーリーで合っているのか、不安になるほどでした。
けれど、その理解できない行動の中に登場人物たちの生々しさが息づいているように思います。
母と娘の関係、その赦しの難しさが、静かに罪を重ねていく。
タイトルの〈レッドクローバー〉が象徴する希望は、彼女たちの誰の手にも届きません。
小説ですので、こんな厳しい村は現実にはないでしょう。
それでも、私の実家があった町にも、「あの橋を渡ってはいけない」と言われていた地域がありました。
思い出して、少しだけ胸がざわつきました。