まさきとしかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレメインになる登場人物みんなうまく掘り下げられているから語り出すと長くなってしまいそう。
貴子の弟が過去に自殺したという設定がより一層物語を切なくさせているように感じだ。
登場人物みんな、とても多面的で奥が深い。
普段テレビや新聞で報道されて適当に聞き流している事件にもこんなふうにさまざまな事情が絡み合っているのかもと思わされた。
楠生にとって真美は全てだったけど真美にとってはそうじゃなかったのが切ない。
でも楠生は見返りなど求めていなかったからそれで良かったのに、あまりにもやりきれない結末。
楠生も貴子も死ぬまでに少しでも笑える出来事があったらいいのにと願わずにいられなかった。 -
ネタバレ
全てを理解しようとする傲慢さ
オチが完全に自分好みでした。
知りたいと強く願い続けていれば必ずそのゴールに辿り着けるという思いもある一方で、人間の行動や感情なんて、他人がどう足掻いて知ろうとしても、全てを理解することは不可能であり、傲慢な行為に過ぎないということが、この小説を読んで思い知らされました。
途中様々な家族が出てきて、頭が混乱しそうでしたが、それぞれの家族の1つの事件を通した繋がり、背景を知れば知るほどゾクっとさせられ、ページを捲る手が止められませんでした。
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Posted by ブクログ
ネタバレおおー、なるほど〜!!
…いつも読んでるうちに、プロローグを忘れちゃう私w
それにしても…
なんで、お母さんは、自分の秘密を、お父さんに打ち明けちゃったんですかね?
秘密が重過ぎて、罪悪感に耐え切れなくて、かなぁ?
いつかはバレるにしても、こんな重い秘密は、絶対に自分だけで抱えて墓場まで持って行かなきゃならないと思うんだけどな。
最愛の妻の秘密を知ってしまった優し過ぎる性格のお父さんの葛藤が偲ばれる。
そして、犯人が…完全に想定外の身近な人物で、ちょっとサイコっぽくて、ゾッとした。
まぁ、言ってみれば、登場人物みんなどこか少しずつ狂っちゃってる気もするけど、人って誰しもそんな危険を孕みな -
Posted by ブクログ
人の幸せについて考えさせられる本だった。
楠男は自分には、誰も助けてくれないような真っ暗な世界に色を与えてくれる宍戸さんしかいないことをわかっていた。そして、その人が笑顔になる、自分の世界に色がつくことを切望していた。楠男はそのためなら自分も犠牲にできる、本当は優しい人なのかなと思った。
当たり前だけど、やっぱり人のことを変えられるのは人だけだと改めて感じた。
楠男に残りの人生の中で少しでもきらきらとした色の世界が訪れるように、ぼくには祈ることしかできない。僕はそういう存在が自分の中でとても大きいことを知っているから、できれば楠雄のそばにいてあげて、自分にはこの人がいる、と思わせてあげたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語としてバチッと完結はしてない
自分の中にたくさんの問いかけを残したまま終わった感じ
母の育て方によって歪められた子供たちはこれからどうやって歩んでいくのかな
母に従い、愛すしかない子供たちが自ら「当たり前の、いわゆる普通の」道に辿り着くのは不可能なのかもしれないな
母には後悔はあれど、罪を犯したのも客観視し始めたのも大人になってからの出来事なわけで。子供に抱えさせてしまったものとは全くちがうものだとおもう
この本は独身時代に一度読んでるけどあまり印象に残ってなくて再読した。もうじき4歳になる娘がいる今読んだら、私の理想を押し付けてないか不安になった。