あらすじ
主婦の小浜芳美は、新宿でかつての同級生、一柳貴和子に再会する。中学生時代、憧れの男子を奪われた芳美だったが、今は不幸そうな彼女を前に自分の勝利を噛み締めずにはいられない。しかし――。二十年後、ふと盗み見た夫の携帯に貴和子の写真が……。「全部私にちょうだいよ」。あの頃、そう言った女の顔が蘇り、芳美は恐怖と怒りに震える。
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○謎めいた女性が周囲の人生を揺さぶる衝撃作
久しぶりにまさき作品読んだけどやっぱり安定感がすごい。
「普通の女性」であるはずの貴和子のせいで、プライドや嫉妬心に振り回される「特別な女性でありたい」と思っている女性たち
今回は女性だけでなく、男性視点があるのもよかった
最後まで読んで、時系列を組みたてて考察を楽しむのにちょうどよい伏線回収もとてもよかった
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話がつながっているけど、章ごとにシチュエーションが毎回違っているのですごく読みやすかったです。
どことどこがつながってるの?
どういうこと?
とモヤモヤっと疑問が残る感じは、まさきさんらしいなーって思いました。
好きだわー!
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貴和子に関係する人たちの人生模様。
「きわこのこと」改題。
第一章 二〇一五年二月 衝突事故男性の死因「窒息死」と判明
第二章 二〇一三年一月 「超熟女専門」売春クラブ摘発
第三章 二〇一〇年七月 他人のベランダで暮らす男逮捕
第四章 二〇一〇年七月 パトカー追跡中電柱に衝突 女性重体
第五章 二〇〇九年十二月 母親に強い恨みか 殺人容疑で長男逮捕
終章
不遇の家庭環境で育った貴和子が、他人の家庭の幸せを侵食する。
貴和子の魔性に溺れる男性、気付けば貴和子の影におびえる女性、貴和子の正体とは?
悪女というわけではなく、人間の醜い部分を、本能的に上手く利用しているかのような貴和子。
人間の本性なんて誰も分からない。だから人を信じたりすることの難しさ、大切さがあるかなと思う。
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気の毒なキワコ。
物語が繋がってる短編。
遺産相続、継母、、、屈折した人間達勢揃い。有りそうで有る物語の数々。地味風の女は怖いぞー!(^o^)
人の不幸は蜜の味(*゚∀゚)
完璧な母親、熊〜家の一人娘も読んだけど、この方の作品どんどんレベルアップしてきて面白くなっていってる気がする!!作品もっと読みたいです。
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周囲の人いわく、貴和子は平凡な女性、地味な女性、でも妙な色気のある女性。
貴和子が誰かに直接手をかけたわけではない(ラストの事件は意味深)、でもなんだか落ち着かない不穏な空気感を周囲に与える貴和子。
貴和子の存在自体が復讐なのかもしれない。
Posted by ブクログ
以前、「きわこのこと」は読んでいたけど、こちらがその改題だと知らずに読んでしまった。
でもかなり前でうる覚えだったのでまた楽しめた。
きわこは一体何者だったんだろう?
読んだ後も想像は膨らんでモヤモヤするばかり笑
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貴和子という女性を貴和子に関わった人たちの話から紐解いていくような物語り。
読み終わっても貴和子ってどんな人だったの?ってわかりそうでわからないまま。
悪女?良い母親?
でも、それでいいのかもしれない。
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一人の女性 貴和子をめぐる人々の人生の転落。
女性の本心がこれでもか!と、まさにえぐり出すように描かれており、目を背けたいのに、どこか共感したり、軽蔑したり、目が話せない作品だった。
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面白いと言ってしまえば、そんな自分が嫌になる作品
まさきとしかさんの描く女性は
女性の本能でしかわからない、女性の美しさと醜さがミックスされたものが入った
開けてはならないパンドラの箱を開けるような感じ
理解したくない、どうしようもない女性がよく出てくるんだけど
批判しつつも、どこか共感してしまう自分がいて
丸裸にされた気になってしまう
そのうえ、小説としてもなかなか読み応えがあるので
今のところ
一番好きな作家様ナンバーワンです
Posted by ブクログ
読んでいて、有吉佐和子 『悪女について』がちょっと浮かびました。
キワコについて、いろいろな人が語る話。
とくに、一つ目の話がいい。
ワタシの読解力のせいか、消化不良の部分もあって、そこがもやもやするけれど、
全部クリアにしない方がいいのかもしれない。
Posted by ブクログ
同性のウケは悪いのに、異性の心を捉えて離さない女というのが世の中にはいます。彼女とつきあいはじめると、周囲の誰もが「やめておけ」という。どうしてこんな女を住まわせてしまうんだろうと思うけれど、騙されているかもしれないと承知のうえで、明かりの灯った部屋を見て涙が出そうになったという男の気持ちを考えました。幸せかどうかは他人が決めることじゃないもんなぁって。
各章の冒頭に三面記事が掲載されています。その記事中で事故死したりトラブルに巻き込まれたりした人物の視点で語られる章仕立て。「喜和子」という女性についてさまざまな人が語るのかと思いきや、そうではない。ただそこに喜和子を感じる要素が何かしら含まれているだけの章も。数年を遡りつつ最終章まで進んだとき、喜和子は本当はどんな女だったのだろうと、やるせない気持ちに。
類い希なる母性の持ち主だったのかもしれません。先日読んだばかりの原田ひ香の『母親ウエスタン』とかぶる。どちらの話も辛すぎる。でも、幸せじゃなかったと決めつけるのは傲慢なことなのかも。今もぼんやりと喜和子のことを考えています。
このドロドロ感はクセになる。
Posted by ブクログ
2025/10/28
ある女の証明
まさきとしかさん
きわこのこと。改題。
なんか?読んだことあるかなーと思いながら、
最後まで読み切り、解説を読み、
なるほど、きわこのこと。の本、読んでた!
第五章まで新聞記事に沿って話が進む。
すべて、貴和子。に繋がる。
怖い。イヤミス。
でもおもしろい。
しかし、
最後の意味がわからない。
難しい本でした。
Posted by ブクログ
最初はめちゃくちゃわかりやすい作品だと思った。
「きわこ」という一人の女性が絡む、それぞれの章の物語。
しかし…
各章の話は単純明快で面白いストーリーになっていたけど、だんだんと読み進め
全体的に考えると「きわこ」は何者⁇結局どうなった⁇と話が見えなくなってしまった…
結構早い段階で死んでしまう「きわこ」
各章の事件が終わりに向かって日付が遡ってるので、逆から読み返せば見えてくるのかな…
私的にはもっと簡単な結末で良かった気もするなぁ。
あまりに理解するのがむすがしかった笑
Posted by ブクログ
イヤ〜かなりダークな世界観の話と展開でしたー
感動とか涙とかは一切なく可哀想、哀しい、悲惨、不運…がピッタリなストーリーで登場人物は多数居ますが、ほぼ全員不幸な展開が永遠と連鎖します。
Posted by ブクログ
最後まで読んでも不可解な部分が多く、読後感はスッキリしない。登場人物の関係性も貴和子を通して繋がってるんだけど、複雑でよくわからない。自分の読解力のなさを嘆いたが、最後の解説「貴和子をあなたはどう思いますか?」で、読み手の捉え方でいろんな解釈があって正解はないんだと気付いた。
最後の記事の白骨化した死体は誰なんだろう?やっぱりよくわからん。
Posted by ブクログ
2024.10.09
各章を読んでいくごとに「貴和子」は何者なのか。どういう人生を歩んできたのか、を紐解いていく内容だと思っていたがもっと複雑な内容だった。
貴和子と関わりのあった人物視点での貴和子、
または直接関わりのない人物たちのストーリーも出てくる。
どうこれが貴和子に繋がるのか…
とワクワクしていた分、あまり関係ないとわかって少し残念だったり。
解説の最後、
あなたは貴和子をどう思いますか。は刺さった。
大龍昇、
芳美、
則夫
美亜、
それぞれの立場から描かれる貴和子はまるで全部別人。
もう一度読み直したらまた違った見え方ができる作品だと思った。
Posted by ブクログ
色々な人の視点を通して、貴和子という人を描いた作品。
結局鍵井は貴和子の交際相手だったのか、夫の交際相手だったのか、はたまた友達だったのか
いろいろとすっきりしないところが多く残る。
貴和子は男を惑わせる魔性の女的に描かれていたけど、貴和子自身は男を信用していないし、むしろ嫌っていたんじゃないかなとも思った。
あと、最近いろいろな作品を読んでいて思うけど、過去の自分の思考に未来の自分が苦しめられることってあるよね。
過去の自分が馬鹿にしていたり、嫌っていたりした対象に、未来の自分がなってしまうみたいな。
Posted by ブクログ
「貴和子」という女性にまつわる連続短編集。
本人視点の章はなく、彼女に関わる周りの人物からの視点でそれぞれ語られていく。
スッキリとしない締め方に、どうなったのかと考えさせられる。
自覚無自覚、意図的なのかそうではないのかはわからないが、一瞬で人を狂わせる程の魅力のある女性が身近にいたとしたら、やっぱり嫌だなぁと正直思う。
人には多面性がある。
対する人によって顔が変わる。
いくつもの自分を持っている。
時にどれが本当の自分なのかわからなくなる程、いくつもの仮面を持っている。
そして他人には言いたくない、負の感情も持ち合わせている。
無意識に他人と比べて、比べる事によって自分という人間を認識する。
狡くて、醜くて、愚かで、浅ましい。
でもそれこそ人間らしいとも言える。
まさきとしか。
女性の内側に潜む嫌らしさを表現するのがとても上手い作家さんだ。