あらすじ
女性二人を殺したとして逮捕された小野宮楠生。逮捕後「誰を殺そうと俺の自由だろ」と開き直る供述をし、身柄送検時には報道陣にピースサインをして大騒動となった。この「小野宮楠生を救う会」から依頼され弁護を引き受けることになった宮原貴子は、小野宮と接しているうちに独特の違和感を覚える。違和感の根源は何か、そして、小野宮は女性二人を殺した真犯人なのか――。総毛立つラストが待つ傑作!
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まさきさんの本は4冊目です。
まさきさんは、心理描写がとても細やかで、読んでいるこちらも、人物像が描きやすいと思います。なので、登場人物に感情移入してしまい、読み終わった後は放心状態でした。
クズ男は、最初はイライラするけど、生い立ちや環境が分かるにつれ、切なくなり、最後は幸せを願ってしまいました。
クズの結晶…。結局、正しい人は誰もいなかったってことでしょうか。
誰一人、救われない話ですが、面白かったです。
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屑の結晶…なるほどー、屑だねーって…
屑じゃねーし!
とても楽しめました。こないだ他の作品で感想書いた気もするけど、今年1番かもー。
ありきたりだけど、点と点が繋がってく感じとか好きです。
こーゆー感じが好きなのかなと、認識させられた作品です。
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後味の悪い話が好きだった昔。
後味悪いけれど不幸の詰め合わせなだけでつまらない話が多いな、と思い始めた今。
本作、個人的には後味悪い話なのだが、最近読んでた後味悪い話って何なの?と思うくらい、とても面白い。こんな凄い話書いて作者誇らしくないの?と構文使うくらいに面白い。
面白い要素その1。クズ?クズ男のことかな?違う人かな?いや、お前だよ!! と、頭をぶん殴られる気分になること。
面白い要素その2。王道を複雑に積み重ねているため、分解したら定番の展開だけれども、一見して奇を衒った話のようで新鮮に感じること。(本当にそんな上から目線で語れるのか?)
面白い要素その3。おっかちゃん…おとっちゃん…。長すぎたり、一瞬だったりするお別れを描いていること。
面白い要素その4。何でこんなとこに?マジでいらないし駄作だわ…と思ってしまうほどミステリー作品として、他者視点描写を入れるタイミングがネタバレすぎて致命的。でもそのネタバレは多くの謎の内のほんの一つであって「この先の展開読めましたわ、ドヤ」とか思っていたら、物語の全体の謎を見落としていて、ドヤった自分が恥ずかしくなること。
要するに、自尊心がズタボロにされて、他人に優しくしようと思えた。
今日、自身としては悪意を感じる回答をされ、表面上は相手を上にあげて返すも、内心腸煮えくり返ることがあった。
でも、後々その人がめちゃくちゃ大変な目に遭っていて私と連絡している暇なんてないのに連絡をくれたことを知ったし、その人が悪意なしに回答してきた事も他人から聞いた。
世の中ってそんなもん。そんなもんだから、自分の余裕のある範囲内で前向きな考えをしていきたい。なんか違うけれど、そんな話。
まあ、自分の意思で人は殺しちゃいけないと思うけどね。
Posted by ブクログ
切ない物語
やっぱりまさきとしかさん、
裏切りません!
メインのキャスト全てが
漏れなくみんな主人公!!
って感じが良かった
なんかそれぞれの思考や行動が真っ当で
少しのボタンのかけ違いでこんなに悲しくなるんだ…
みたいな
映画とか映像化しても面白そう
伏線回収的な面白さは
あの日君は…
だけど、感情が揺さぶられるのは
私はこっちだったなぁ
なのでどっちも好き
まさきとしかさん好き!!
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最後は、まさきさん作品らしくもやもやが残りました。
楠生は、ずっと子供のままの楠生で、ある意味純真無垢なまま大人になってしまったんだなと楠生の人生を思うと切なくて愛おしかった。うーん、出会ってしまったら救う会のメンバーになっていたかもしれないな笑
真美と母の物語がどちらかというと、今までのまさきさんの作品らしく感じたが、今回の楠生をめぐる物語も今までと違う感じがしてとても良かったです。
貴子先生の判断は正しかったのか分かりませんが、貴子先生もまた楠生の思いに影響を受けたのではないだろうか。
Posted by ブクログ
全体の雰囲気としては「白夜行」シリーズっぽくて、これまで読んだまさきとしか作品の中では読後感がいちばんよかった。
主人公の女弁護士の熱さがあまり伝わってこなかったのはちょっと残念だったが、ラストのどんでん返しのタイミングもちょうどよかった。
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人が本当に考えていること。人が別れたあとにどんな人でいるかなんて分からないこと。人がどう受け取っているか分からないこと。面白かった。今回も読みやすくてスラスラ読めた。同じ著者の他の作品もどんどん読んでみようと思う。
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女性2人を殺したとして逮捕された小野寺楠生。
身柄送検時には報道陣に両手でピースをし「誰を殺そうが俺の自由だろ」と開き直る。
確かにクズ男なんだけど、読んだあとは切ない気持ちでいっぱいになった…
やっぱりまさきとしかさんの本は好きだ。
Posted by ブクログ
まさきとしか、すきやなあー。はー。このどっしり胸にくるこの読後感が…何がどっしりきてるのか、今の気持ちを上手く言語化できないんだけど。読み始めはサラサラ進んでたのに、途中からもう、どっしり。
幽霊の子、楠男…。
正直…楠男は悪くない!って思ってしまう。(いや、フィクションだからね、ひとごろしを擁護するつもりは微塵もない)でも、灰色の世界から救われていい人だよね。楠男にとって自分を救う方法が、約束果たすことだった。更生できるチャンスのない世の中が悪い…子どもは誰一人悪くない…いつも悪いのは大人と世の中…って思ってる私はある意味クズ女なのか?笑
いくら想像しても足らない痛みと一緒に生きてきたのに、やっと約束も果たしたのに、宍戸真美がもう生きていない世界をこれから楠男は生きていかないといけないのか…それって一体どんな…それが人を殺してしまった楠男への罪なのか…
p.s.楠男のお父さんは事故よね、、
Posted by ブクログ
このタイトル(屑の結晶)と、漫画風絵のニヤついたイケメンの表紙。外観だけでは絶対に手に取らない本なんだけど(一見すると極道もの、裏社会ものに見える)、まさきとしかさんの本だから手に取りました。
まさきとしかさんは、それくらい信頼できる作家さんだ。この人の書くものならきっとおもしろい!と思える。
これは…序盤では絶対に真実は分からない。
最初のくすおの人を馬鹿にした態度と「クズ女」と呼ばれるくすおの親衛隊女性達が嫌すぎたのと、主人公の女性弁護士に感情移入しすぎて、依頼者にこれ言われたら私なら夜も眠れないわ…と思うと、あーこれは無理かも、なんて思ったりもしました。
ただ、少しずつ時間の全貌が見えてくるころには、もう読むのを止められなかった!
少年と少女の、幼い頃の約束。本当は果たされてない約束を、果たされたものと信じてしまったら。
そして、やはり絡んできますね、母親が。
まみの母親が病院で泣き崩れたシーンは、妙味があるなぁと感心した。支配する母親にも、我が子への愛情はある…というか、自己愛と子への愛の区別が本当についてない、子を自分と同化してるから、失ったらどうしよう!という母親の悲しみは本心なんだと私は思ったよ。
かといって、本当は親に愛されていたのに!まみは親の愛に気づいてなかったのか!怒、という話では全然なくて、親の愛=支配だから、やはり子どもが苦しむのは当然なのだ。
こういうことが、ぶわーっと押し寄せるあの描写。
大きな事件なのに、動機がささいなことや思い込みだったというのも、親の支配から逃れられず、いつまでも心が大人になれないまみと、社会から隔離されすぎて常識が通用しないくすおらしさというか。
動機の奥にある、親という闇、心を解放できず目先の「怒られないこと」ばかり気にしているアダルトチルドレンの悲壮。
物語の構成も凝ってて、とてもおもしろかった。
Posted by ブクログ
メインになる登場人物みんなうまく掘り下げられているから語り出すと長くなってしまいそう。
貴子の弟が過去に自殺したという設定がより一層物語を切なくさせているように感じだ。
登場人物みんな、とても多面的で奥が深い。
普段テレビや新聞で報道されて適当に聞き流している事件にもこんなふうにさまざまな事情が絡み合っているのかもと思わされた。
楠生にとって真美は全てだったけど真美にとってはそうじゃなかったのが切ない。
でも楠生は見返りなど求めていなかったからそれで良かったのに、あまりにもやりきれない結末。
楠生も貴子も死ぬまでに少しでも笑える出来事があったらいいのにと願わずにいられなかった。
Posted by ブクログ
前半はモヤモヤしていて、なんだか入り込めず、読み進めるのが難しかったが、後半は一気読みw
でも、読み終わってみれば、ただただ悲しくて切ないやり切れなさと、割り切れない感情が残るのみなのだった。
Posted by ブクログ
派手に惹きつけてくる序盤から、何やかんやありながら予想出来ないところに着地する。結局はまさきとしか作品ならではのテーマだった。弁護士を主にしながらも、何人かの視点を重ねて徐々に真相に迫る展開は次々読み進めて行きたくなるもので、逆に気分的にはどんどんドロドロしたものが溜まっていく。終わったと言え全くすっきりとならず、もっとばっさりして欲しくもあるが、納得で面白い作品だった。
Posted by ブクログ
主人公の弁護士さんと一緒にモヤモヤしながら読み進めました。徐々に真実がわかる感じが面白かったです。
しかし、、、家庭環境が及ぼす影響って大きいなと考えさせられた。明らかに不幸な生い立ちの楠生だが、先に殺人を犯したのは、一見幸せそうに生きていた真美。真美の親も、実はいわゆる毒親。
最悪な結末だけれど、少しでも希望が見えて欲しいと強く願うラストでした。
Posted by ブクログ
人の幸せについて考えさせられる本だった。
楠男は自分には、誰も助けてくれないような真っ暗な世界に色を与えてくれる宍戸さんしかいないことをわかっていた。そして、その人が笑顔になる、自分の世界に色がつくことを切望していた。楠男はそのためなら自分も犠牲にできる、本当は優しい人なのかなと思った。
当たり前だけど、やっぱり人のことを変えられるのは人だけだと改めて感じた。
楠男に残りの人生の中で少しでもきらきらとした色の世界が訪れるように、ぼくには祈ることしかできない。僕はそういう存在が自分の中でとても大きいことを知っているから、できれば楠雄のそばにいてあげて、自分にはこの人がいる、と思わせてあげたい。
Posted by ブクログ
同作者の「あの日、君は何をした」「彼女が最後に見たものは」が面白かったので気になり手にしてみた
前述二作品と同じように心を動かすのが上手い作者だなと感じた
真犯人は何となくわかったが、ぶっちゃけこの作品は犯人どうこうより、そこまでに至るまでの経緯、動機に注目してもらいたい
個人的には七章からが面白いと感じた
楠生の不遇な境遇と純真さがあった上での誰も救われないストーリーには心に残る作品であった
Posted by ブクログ
既に捕らえられ、犯行も認めている犯人。なのに違和感と何故?が次々と出てきて何が真実なのかの糸口が掴めない。迷路の中を迷い込んでいる気分でした。
結局、ほとんどが誰もかれもクズだらけだったように思わないでもない。その中で確かに純粋なものはあったけれど、角度によって見え方が変わり影が出来てしまったような、光は閉ざされてしまったのだと思い込んでしまったようなやるせなさ。
そこから絡みもつれ、修復出来ない着地になってしまった真実は、どうにもこうにも複雑な感情が残る。
表立った男女の恋愛の裏側に、それぞれの親の歪さ、そんな親を持つ子たる者達の心情、読んでいてリアルに痛く重い。
いくつもの謎が繋がっていき、最後まで残っていたピースが埋められた時、言葉にならないものが残る。真相を知っても、彼は変わらず事を起こしたのかな…そんな詮無い事を思ってしまう。
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かけちがったボタンのような気持ちのまま、読み終えた。
父を殺してもらえたと思い込んでなんとしてでも宍戸の役に立ちたくて生きてきた小野宮。
母の影に怯え、都合よく小野宮を利用した宍戸。
2人が2人を思い合った結果生まれた犯罪なんかではなく、ただただ小野宮が宍戸にいいように使われただけの事実。なんとも皮肉で悲しい結末。
それでも小野宮はきっと約束を果たせて満足してるのだろうなと思うと、なんとも言えない。
後味の悪さが尾を引く小説だった。
誰が救われたのだろう、と思わずにはいられないラスト。
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この方の作品に出てくる勘違いまたは現実逃避がすごい登場人物にいつもゾクゾクさせられる
その感覚分かるけどそれが行きすぎるとこうなるのか…と考えさせられる
幸せに見えてる人が実はそうじゃなかったり。
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女を2人殺したと話すクズ(小野宮楠生)を弁護する宮原貴子。
彼女が調べるうちに、全ての言動がただただ小野宮の宍戸に対する一途な愛を表していたのだと知ると切なくて苦しい。
守りたかった宍戸も、利用していただけの吉永に殺されて。彼女を守るために貯めたお金も、結局は宍戸を苦しめていた母の手に渡ってしまった。
世界に色を見せてくれた宍戸を失った彼の生きていく理由はあるのかな。彼女の罪を被って最後まで服役することが生きる理由になったとして、その後は?小野宮の気持ちだけが何年も宙ぶらりんで、このあともたった一人残されて。こう書いている私も、最初に宮原が警戒していたように、小野宮の虜になっているのかもしれない。
登場人物の視点で描かれるパートが所々挟まっているのが魅力的。それぞれの登場人物の心の動きがグサグサ刺さる。
出てくる人物が皆1人ぼっちなのが切ない。
Posted by ブクログ
うーん。好きか嫌いかと言えば好きじゃない。でも最後まで一気に読まされる。うんうんわかるわという人物描写もある。人間の多面性をわかりやすく描いていてそうだよね、わかる、人間ってそういうものだと思うものの共感したくないという自分もいたり。
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イヤミスではないのに、読後はグッと重い感情が胸に沈む。勘違いからの一途な献身のやるせない結末、希望と絶望が背中合わせに感じるラストだからか。
女性二人を殺したとして逮捕された小野宮楠生、通称“クズ男”の弁護を引き受けた宮原貴子が関係者の接点を繋ぎながら事件の核心に迫っていく。
まさき作品は親に愛されなかったり、毒親に苦しめられる子どもたちの救いをいつも考えさせられるなぁ。
今までの作品は母親の狂気に震えることが多かったが、この作品では珍しく独身の“クズ女”吉永の狂気が光っていた。
Posted by ブクログ
二人の女性を殺し、ピースサインをしながら逮捕された楠生。詐欺師のように複数の女性に寄生し養われ、弁護士にも本心を全く見せない。事件の真相はどこにあるのか。
意外な真相と言えばそうだけど、なんというかもやもやが残る…これはまさにイヤミスというやつなのだろうか。
しかし…全ての登場人物の考えが浅くてイヤになる…。
この人たちとは関わらない世界線で生きていたいと思った。
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誰を殺そうと自由だと言い放った小野宮楠生。
元交際相手である山本若菜、清掃員である亀田礼子を殺害したとして逮捕された小野宮。その弁護を頼まれた宮原貴子。
小野宮に亡くなった弟の姿を重ねながら、貴子は小野宮の過去や動機や事件の真相を追っていく。
二重人格、ツギハギだらけの性格。
小野宮という人物は、一体どういう人間なのか。
クズ女のメンバー、そして小野宮の幽霊時代を知る宍戸真美が出てきてからは一気に先が気になって、一気に読み進めてしまった。
小野宮は幸せだったのかな。
宍戸真美は、クズ女のメンバーは、山本若菜は、亀田礼子は、そして貴子自身は、幸せだったのかな。
なんだか複雑な心境で読み終えた。
たった一人にだけ心を開いていた小野宮。
殺させてくれてありがとう。
なんて、たった一つの約束を、ずっと大切にして生きてきたんだろうな。
やるせなくて、切なかった。
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一貫性のないつぎはぎのような性格。
笑顔でピースサインをする彼は、一体何を思っているのかー。
気になって読み進める。
人間は複雑。簡単に、わかるものではない。
弁護士の貴子自身、家族の関係に思うところがあるのに、家族神話に、はしりがち、冷静で7年間妹に会っていないという発言から、関係性が薄いと判断したり、それほど悲しんでいないと勝手に思っていたり。楠生を救う会の女性たちに対しても…。
楠生にしても、音信不通の関係性であっても、楠生を救う会の女性たちも、人付き合いが悪い人間であっても、見えている部分だけが彼らのすべてではないということ。
貴子は、何度も見えない部分に手を伸ばそうとするけれど…。
拘置所にいる楠生に助けを求める真美の行動、それに答える楠生。
楠生にとって、彼女はどんな存在だったのか、何故そこまで…?で一気読み。
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楠男にとっては最初も最後も彼女への感謝の気持ちを持ったままだったというのは少し感情を揺さぶられた。
話の終盤は楠男取った行動の意味を考えさせる話だった。
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やっぱり「まさきとしか作品」
序章で抱いた印象から一転。最後は切ない?悲しい?虚しい?感じが残る。
自分の「存在する」価値はなにか
自分の「生きる」価値はなにか
それぞれ登場人物が「自分の価値」についての問題を抱えて生きてる。
Posted by ブクログ
読みやすい。構成がうまい。
これは誰の物語だったのだろう。
楠生は人間にもなってなかったのではないだろうか?楠生はクズ男にもなれないほど人間じゃなかったような気がする。
彼を作り上げた周りの人間のクズを集めて彼は彼になったのだろう。でもほんもののクズではない。ハリボテのクズ男だった。
だから、悲しくも切なくもない物語だった。
ただ団地の汚い一室の暗い部屋に一人で閉じ込められていた小さな男の子の影だけが、哀しく頭の隅に残ります。