佐々木閑のレビュー一覧
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ネタバレおすすめ度:80点
ブッダの考えは極めて論理的で科学的であることが解る。
この世はすべて苦しみであるという「一切皆苦」。
有為:因果によって生まれ出るすべてのもの
無為:因果を離れた不変不滅のもの
諸行無常:(有為に対して=行)この世の中に常であるものはなにもなく絶えず変化している
諸法無我:(有為にも無為にも対して=法)本来、「これが私だ」と言えるような究極の自己などどこにも存在しない
この二種類の真理を念頭に置きながらものごとを考えることで、私たちは無明の束縛を断ち切り、世の在りようを正しく見られるようになる。それがひいては、誤った世界観から生まれでるさまざまな苦しみを消し去ってくれる。 -
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ネタバレ律は、修行をするために自らを律するものというよりは、修行の便宜のために社会や集団に適応するシステマティックなもののようだ。
倫理の教科書からでは、仏教のシステマティックな部分に触れることができない。こんなにも修行のことを考えた宗教だとは思ってもみなかった。
修行という自分の好きなことに打ち込むために全力を尽くす、なるほど科学者集団と似ているかもしれない。
科学者の研究資金は僧への布施と同じというのもなるほど、である。布施を受けるのに尊敬がいるように、科学者も襟元正してやっていかねばならないのである。
結局は自分の趣味のために食わしてもらっているのだから。 -
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[ 内容 ]
仏教の本質は、すなわち修行である。
それは、自己改良による「苦」の消滅。
あらゆる苦を生み出すものが「この私」であるなら、心を鍛え、私自身を変えることで、苦しみから自由になれるはずだ。
現代に生きる私たちにとって、ひたすら信じる救済の宗教よりも、釈迦本来の合理的な教えの方が、むしろ馴染みやすい。
そこに「生き死に」の拠りどころがある。
本書では、初期仏教の思想をベースに、生活に結びつく叡智を一〇〇話で紹介。
仏教は、それを必要とする人を静かに待っています。
[ 目次 ]
最強の知恵者とともに
仏教の目指す生き方
修行を支えるものは何か
智慧を生み出す母胎
瞑想と自転車は似ている -
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ネタバレ優しい仏教入門。タイトルから原始仏教の解説かと思ったが、必ずしもそれだけではない。
面白かったのは、ブッダだけではなく、弟子やサンガについても充実した記述があること。仏教はブッダだけで作ったのではないということかな?
一番面白かったのは、部派仏教、そして大乗仏教と元々の教えが変化していくことの分析部分。ここは著者が自身の研究結果を踏まえたものなかで、ちょっと研究の物語的でおもしろかった。
仏教に限らず宗教はさまざまな派に別れていくの自然なことなのだが、異端を破門するとか、虐殺するとか、そういうことではなく、戒律を緩める、解釈していく中で、解釈の多様性をある程度認めていく。その結果として -
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釈迦のファン、推し活をするのが趣味だという古舘氏。嫌いではないのだが、およそ仏教とは程遠い、自己顕示欲の人という印象だ。豊富な語彙を気持ちよくスピーディーに放つ、スポーツのような発話をする人であり、仏教の深い思想というよりも、言葉のコレクターとして、仏教の説法や言葉遣いが気にいったのではないだろうか。お経にはリズムがあるし、仏教には知識欲を満たす独自の論理や世界観があり、何せ、古舘氏の好きそうな四字熟語がわんさかある。
愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦・・ああ、四苦八苦。
古舘氏が仏教に興味を持ったきっかけは、最愛の姉を42歳の若さで亡くしたこと。この経験を通じて「死」を実感し、生き -
購入済み
大乗仏教を信仰する私達には…。
2024年10月読了。
先日まで禅宗(曹洞宗)の本を読んでいたが、いわゆる『大乗仏教』に関するものばかり自分は読んできたなぁと感じた。但しこの本(テキスト)の基であるテレビ番組は見ていたのだが、その後サッパリ綺麗に忘れているwことに気付き、本書を購入。
数年前に、呉智英先生の『つぎはぎ仏教入門』という本を読んで、頭を殴られたぐらいのショックを受け、「今まで信じてきた(大乗)仏教はまるで無意味なのか!?」と呆然とした記憶があった。
その後、『原始仏教』と呼ばれるものも、釈迦入滅後数百年を経てから作られたものと知り、又、上座部(=いわゆる小乗)仏教と在家信者との確執や、時間が経つにつれ変様して -
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偉大なシャカムニが生きているあいだは良かったが、亡きあと、僧団は乞食遊行から定住化する必要などで「意見が対立しても定例集会に参加するうちはメンバーと認める」不文律ルール改正に迫られた。
シャカムニは「カルマ=業を断ち切れば自由になる」と教え、輪廻転生に言及しなかったが、「ブッダとなるには延々とした前世からの修行があったに違いない」また「厳しい修行を支える一般人にとってブッダの教えは何になるか」といった思いから、〈大乗仏教〉が興起した。
初期の大乗経典の般若経(群)は“空観”を敷衍して善業は仏になる途に通じると説く(カードポイントが「そんなことにまで使えるの!」に譬えている)。さらに、“一定の -
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青年と講師の対話形式で、大乗仏教の成立とその思想について解説している本です。
初期仏教と大乗仏教のちがいを押さえたうえで、『般若経』や『法華経』、『華厳経』などの大乗経典や、浄土教および禅などの教えについて、大胆な比喩を用いながらわかりやすく説明がなされています。また補講として、大竹晋による『大乗起信論』研究の紹介がおこなわれています。
「おわりにかえて」で著者は、「大乗仏教が釈迦の教えとどれくらい隔たったものであり、その一方でどういう点に共通性があるのかを、できるだけ客観的に提示すること」が本書のねらいであると述べています。それとともに著者は、富永仲基の仏教批判を紹介して、著者自身もまた