佐々木閑のレビュー一覧
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仏教の歴史の変遷をたどる本、と書くと面白みがわかりいくいけど、救いを求める人が、いかに物語を想像していったかをたどる本、と考えると面白い本かも。
元々厳しい戒律や修練の末にたどりつくとされた仏陀の唱えた「悟り」
それがどのような変遷をたどり現代まで変質していったかを、教授と学生の対話形式でたどっていく一冊です。
対話形式なので読みやすく、仏教の歴史の変遷も各時代を辿り、ちゃんと順を追って解説されていくので、内容も分かりやすかったと思います。
上に書いたとおり仏陀が始めた仏教というのは、一般の人が行うには厳しい部分も多いし、悟りという概念も難しい。その仏教がいかに民衆に根づいていったか -
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ネタバレ●大乗仏教に宗派がたくさんある理由
→ 信奉するお経が異なる
般若経→世界は「空」である
法華経→なぜ「諸経の王」なのか
浄土教→阿弥陀と極楽の誕生
華厳経・密教→宇宙を具現するブッダ
大乗涅槃経・禅→私の中に仏がいる
● 大乗涅槃経
大乗『涅槃経』の独自の教え
・如来常住
・一切衆生悉有仏性
→全ての人が条件さえ整えば、外から誰かに助けてもらわなくてもブッダになることが可能である
(他のお経ではブッダは外にある)
●禅
中国発祥
道教などをベースとした出家者コミュニティがまず存在し、それが「釈迦の仏教」の修行の一つである「禅定」と結びついて、仏教集団となっていったのが起源
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ネタバレどうも読む順番を間違えたかもしれない。本来なら、これを最初に読んで、「般若心経」「涅槃経」という形で読むべきだったような気がします。ダンマパダ=真理のことば=法句経ですが、ブッダの時代に近い古い段階のお経(ニカーヤ=阿含経)の一部ですね。
最初の方はブッダの教えと大乗仏教の話。流石に三回目なので良く判りました。
で、真理のことば。ブッダによれば、この世の真理には「苦諦」「集諦」「滅諦」「道諦」という四つの局面がある。苦諦とはこの世はひたすら苦しみであるという「一切皆苦」の真理。集諦はその苦しみを生み出す原因が心の中の煩悩だと知ること。滅諦とは、その煩悩を消滅させることで苦が消えるという真理。そ -
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ネタバレ(阿含)涅槃経について書かれたものですが、一般的に涅槃経とは「ブッダを追慕する経典」ととらえられているのに対し、佐々木先生は「ブッダ亡き後の仏教僧団をどうやって維持・管理していけばよいか、その基本理念を説いたものだ」という見方をしている。そもそも仏教は、「生きがいを追及する組織」であり、教えの実践をベースとした「自己鍛錬システム」にその本質があると考え、自己鍛錬の場であるサンガの維持をとても重要なことと考えてのことという考察。聖徳太子の十七条の憲法には「篤く三宝を敬え」とあり、三宝とは仏法僧であることは小学生でも知っているけど、これはもともと仏教から来ていて、仏はブッダ、法はブッダの教え、僧は
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佐々木先生の本は初期仏教を学ぶのはいいなと感じたので続けて.
先日、佐々木先生を絶賛する人とお話をする機会があった。以前からうっすら感じていた「佐々木先生は大乗仏教に愛がないのではないか」という疑念をぶつけてみた。佐々木先生は真宗の僧侶であるし愛情がないわけではない。著書にもそのあたりのことが出てくる本もある!といわれていたのだが、これがまさにその本だった。
佐々木先生は、大乗仏教と分けて小乗仏教ではなく「釈迦の仏教」という言葉で説明される。この本は一日で学ぶという仮定の一日講座を想定していて6時限単位になっている。
ただ「こういわれています」という事実に基づいた内容だけでなく、当時の人 -
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ブッダが旅に出て、最期亡くなるまでの物語となっている。「マハーパリニッバーナ・スッタンタ」という経典の解説。
この経典の意図としては、ブッダが亡くなった後、どのようにサンガを組織していくかと言うことについての示唆が書かれているという。なるほど、組織論。
今回100分de名著で読んでしまったが、いずれ岩波の方を読みたいと思う。
この本の一番いいところは、巻末の読書案内。
①阿含「涅槃経」の日本語訳ならびに解説者
②阿含経(ニカーヤ)の日本語訳ならびに解説書
③大乗「涅槃経」の日本語訳ならびに解説書
が列挙されている。これをもとに学びを深めればいいかなと思う。
100分de名著は概略知るのにい -
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科学と仏教という全く無関係に見える二つの活動には、驚くべき共通性があるといいます。
科学は神が創りたもうた世界の解明を目指していましたが、科学の進歩は逆に、神なる視点との決別の歴史でした。
一方、仏教は神秘的な絶対者の存在を否定し、人間の存在だけを拠り所に世界観を組み上げてきた宗教です。
仏教と科学の、知られざる関係性を明らかにしていきます。
とにかく面白く、知的好奇心が刺激されます。
そういうわけで、私は脳科学がいつか仏教を、その体系の中に組み込んでくれるよう願っている。私自身の希望的観測で幾分大風呂敷を広げたが、敬愛するブッダ釈尊が、あこがれの科学者たちと並び称される日、「ブッダ釈尊は史