佐々木閑のレビュー一覧
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ブッダの仏教から大きく離れていった大乗仏教や日本の仏教について、最新の情報をもとに、それらの成り立ちから、相違、存在意義、問題点が詳しく書いてあります。講師(著者)が青年に個人講義をする会話形式で進め、私たちが日ごろ疑問に思っていることに応え、仏教の全体像が見えてきます。原始仏教、大乗仏教、日本の仏教である法華経や浄土教や禅宗を理解して、私たちがこれからどのように仏教に対処してゆけばよいのか考えてゆくのに有益です。知らない事実が多すぎて目を見張ります。佐々木閑氏が鈴木大拙の著書の翻訳家であり、その価値とともに問題点を披露しているのも意外でした。
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宗教者の佐々木閑、宇宙物理学者の大栗博司両氏の対談。対談と言っても普通の会話のやり取りではない。宇宙物理学と量子論、原始宗教と大乗仏教に関する専門分野のセッションを3回にわたって行い、間に質疑が入る。最新の科学情報と宗教情報が融合して、生きることの意味を考えさせてくれる。(大栗博士の超弦理論は理解できないが面白い、すごいと思う)以下は気になったメモ▼▼(大栗)死後の世界を佐々木先生はどう考えられますか。▼(佐々木)死んだ後の世界は信じません。釈迦の教えによれば、私たちの存在はたんなる構成要素のゆるやかな集合体にすぎず、それが生まれ変わり、死に変わりに際して離合集散していくのが輪廻だからです。そ
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私たち日本人にとって身近にあるはずなのに、日常からは無縁に近い仏教。2人の仏教者による対談を通じて、その基本的な知識を身につけることができます。仏教の創始者はどんな人物だったのか。どんな歴史を辿ったのか。どんな教義なのか。その教えと、その伝承はどのようになされているのか。その疑問に「仏」「法」「僧」の三宝を中心に整理して理解することができます。入門書として非常に分かりやすく、面白く読ませていただきました。仏教の、他の宗教との違いも考えながら読むことができると思います。2人の考え方の違いから、白熱する議論もあり、この宗教の大きさゆえのいろいろな考え方の広がりを感じることもできました。
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[仏の初めに]日本で一般的に浸透している大乗仏教とは異なる原始仏教。その歴史から教えまでを語った一日講座の内容を書き起こした作品です。著者は、花園大学文学部国際禅学科で教授を歴任される佐々木閑。
仏教に関しての本はほとんど読んだことがなかったのですが、そんな「仏教初心者」の評者にうってつけの本でした。語り形式でコンパクトに原子仏教のあり方が幅広くまとめられていることもあり、まずはするりと仏教の門をくぐってみたい方にオススメです。
どの内容も興味深かったのですが、著者が特に力を注いでいる、原子仏教から大乗仏教までの派生の流れを解説した章は本書の白眉かと。仏教の教えをどのように運営していっ -
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とりあえず、本書の目次を書き出してみる。
第一章 物理学
第二章 進化論
第三章 数学
第四章 釈尊、仏教
第五章 そして大乗
目次だけだと、何の本だかさっぱり分からない。1章から3章までは、科学と数学の歴史を紐解きつつ、著者独自の史観を提示している。具体的には、科学や数学の発展の歴史は、「神の視点を護持する勢力」と「神の視点からの脱却を目指す勢力」との闘争の歴史でもあり、「神の視点からの脱却」が1つ成功するたびに、「人類は発展した」とみなされてきた、と述べている。(ここでの「神の視点」とは、「人間の認知的直感」と置き換えて差し支えない)
4章では、仏教が興った歴史的・文化的・地政学 -
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読み終えると、タイトルのとおり「なるほど、科学と仏教は共通点があるんだな」と膝を叩くこと請け合いです。
内容の大半は科学の説明に割かれていますが、面白いのは仏教の説明に入ってから。
ブッダは、悟りを啓いたけどあくまで普通の人だという説明は、フラットに宗教と向き合う距離感を保ってくれるし、仏教は、何故こんなに多種多様な宗派に枝分かれしているのか? という発端の考えも、とても合理的で親近感が持てます。
褐色の恋人で有名なスジャータさんが、実は、ブッダの命の恩人だったり、大乗仏教の経典はブッダの言葉ではないと結論が出ていたり、トーマス・ヤングは言語学にも顔を突っ込んでいたり、面白いエピソードも満 -
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ネタバレ以前TVでとり上げられた素粒子物理学者、故・戸塚洋二氏のお話の中で、佐々木閑(ささき・しずか)氏のことが触れられ、とても興味を持っていました。
佐々木氏が科学者から仏教学者に転身したと言う経歴も。
今回、佐々木氏の「犀の角たち」と共にこの本を買い読み始めたのですが、非常に驚いたというのが実感です。
と言うのは、佐々木氏の本を読んだのは初めてなのですが、私が感じ、思っていることがあまりに多く語られているのです。
また、違った観点からの発見も。
以前は小乗仏教と呼ばれ、それが誤解を招くと現在は上座部仏教と呼ぶことがほとんどですが、それを敢えて小乗仏教と呼び、その意味を正しく理解してほ