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般若経、法華経、華厳経、浄土教、密教……。「自己鍛錬」を目的にした釈迦の仏教は、いつ、どこで、なぜ、どのようにして、「衆生救済」を目的とする大乗仏教へと変わったか?そして、その教えはどこへ向かおうとしているのか?別冊NHK100分de名著「集中講義 大乗仏教」を大幅改訂し、大乗仏教一五〇〇年の常識を覆す「大乗起信論問題」の顛末を新たに書き下ろした、究極の仏教概説書。
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Posted by ブクログ
ブッダの仏教と大乗仏教が異なるものである事を初めてきちんと理解した。また、大乗仏教にも様々な経典があり、宗派により考え方に大きな差があることも知った。著者は仏教研究の専門家であるにもかかわらず、仏教の非論理的な部分や神秘的な部分を、あまり評価して来ない様に感じた。仏教を理性的、客観的に理解できる点で...続きを読む、著者の著作をもっと読んでみたいと思った。
釈迦の仏教から 大乗仏教 その分化へ。 多様性は、結局のところ「かんたんさ」によって担保されていく。
めちゃくちゃおもしろかった。 私は、釈迦の仏教(「私」という虚構を実在と感じてしまうことがあらゆる苦しみの原因であり、それを取り除くことで輪廻から離脱して至高の安楽に至ることができる)のうち輪廻や業を除く部分に強く同意しつつ、精神をそこまで高めたいと願いながら世俗にまみれて暮らす自称修行者に過ぎない...続きを読むが、大乗仏教と釈迦の教えの関係がいまいちわかっていなかったため、本書が大変参考になったし、何より、仏教が発展しつつ変化していく様が生き生きと描かれていて楽しかった。 釈迦の仏教「『私』は虚構。肉体や感覚という実在の集合体に勝手に意味とまとまりを見出だしているに過ぎない。無我に至れば苦しみは消える。善行であろうが業に頼る限り輪廻からの離脱はない。悟るためには生産活動に携わらず修行に全エネルギーを注ぎ込め」 ↓ 般若経「肉体も感覚も全て存在しない。『空』という超越的法則だけが存在する。そしてその法則に照らせば、善行という業のエネルギーにより悟りの境地にたどり着くこともできる。」でハードル下がって信者激増 ↓ 浄土教「釈迦を凌駕する絶対的存在である『阿弥陀仏』のエネルギーで成仏できるから、阿弥陀仏のいる極楽浄土へ行こう!そうすれば皆ブッダになれる」→「もう、阿弥陀仏が全ての者を救ってくださることが決定しているから、我々は感謝するだけ。極楽浄土に行くこと自体が目的で、そこでは皆幸せに暮らせる」でもはやキリスト教のGODと同質。信者爆発的増加 ↓ 華厳経「盧遮那仏は宇宙そのものであり同時にあらゆる微塵の中にも存在する。全てであり部分である。」 ↓ 大乗涅槃経「全ての者の中にブッダが既に存在している」で釈迦の否定した自我を大前提とする ↓ 禅宗「自らの内なるブッダを見つけるために瞑想し自分と向き合え」で瞑想と内面を見つめる部分は釈迦の仏教と共通するも目的の前提が全然違うものに という風な関係か。途中からブッダのインフレが凄まじいが、それぞれの時代背景の中で救済手段として求められた歴史があり、それぞれに意義のある多様な宗教であることがよくわかった。
青年との対話から大乗仏教の本質を明らかにします。 般若経、法華経、華厳経、浄土教、密教、禅についての概説です。 釈迦の仏教はどのようにして大乗仏教へと変わったのか。 律を取り入れなかった日本仏教の特殊性や、鈴木大拙の間違い、大乗仏教一五〇〇年の常識を覆す「大乗起信論問題」の顚末も書かれています。 こ...続きを読むれを読めば仏教の概論がよく分かります。 必読書です!
ブッダの仏教から大きく離れていった大乗仏教や日本の仏教について、最新の情報をもとに、それらの成り立ちから、相違、存在意義、問題点が詳しく書いてあります。講師(著者)が青年に個人講義をする会話形式で進め、私たちが日ごろ疑問に思っていることに応え、仏教の全体像が見えてきます。原始仏教、大乗仏教、日本の仏...続きを読む教である法華経や浄土教や禅宗を理解して、私たちがこれからどのように仏教に対処してゆけばよいのか考えてゆくのに有益です。知らない事実が多すぎて目を見張ります。佐々木閑氏が鈴木大拙の著書の翻訳家であり、その価値とともに問題点を披露しているのも意外でした。
以前から仏教に興味を持ち、それなりに学んできたつもりだったが、各宗派の教義の違いはおろか、上座部仏教と大乗仏教の違いにさえ頓着していなかったことを今更ながら気づかされた。研究者は自身の専門性が上がるほど、素人が何をわからないのかがわからなくなるものだが、この本では対話形式の妙もあって、素人でも自然に...続きを読む深い理解が得られるよう導かれる。良書。
大乗仏教の入門書という位置付けだけど、知らないことが一杯だった。 まずは、釈迦の仏教と大乗仏教がかなり違う、ということ。ある程度、違うことはわかっているが、やはり大乗仏教の国に生きていると、ブッダの教えの連続性の方に目がいく。が、やはり根源的なところで違うんだな。 その断絶が最初に現れたのが般若...続きを読む経。般若心経は、これまで関心を持って関連図書を読んできたが、そんなにブッダの教えとここでそこまで違ったかというのは驚きだ。そして、大乗仏教の理論化に貢献した龍樹については、著者はレトリックと詭弁で評価されすぎであると一蹴。そうか〜と。 で、法華経になるとさらに変質は進み、浄土経などなどとどんどん違うものになっていく。ある意味、禅になるとほぼ中国の道教状態になってしまうのだが、なぜかここで一周回って原始仏教とのつながりがここで少しできてくる。 私は、日本の仏教がオリジナルからかなり変質したものになっていて、その原因は極めて日本的な事情があったんだろうと思っていたのだが、そのベースとなるお経がもともと原始仏教とはかなり違う教えになっていたんだな〜と思った。(もちろん、著者のスタンスとして、日本の宗派の違いをその経典の違いで説明しようという意図があって、そういうことになっている側面もあると思うのだが) では、釈迦の教えから外れた大乗仏教に意味はないかというと、その教えによって幸せになれる人がいるならば、それでいいではないかというスタンスでそれはそうかなと思う。 最後に、東アジアの仏教において重要な位置をもつ「大乗起信論」は、実はインドで書かれたものではなく、中国で書かれたもの。それもオリジナルではなく、中国の経典などからの引用を集めたパッチワークで、それをインドの馬鳴という人が書いたとした偽文書であることがわかったというトピックを紹介している。このことは、これからの大乗仏教理解に大きな影響を与えるとのこと。 その顛末は面白かったのだが、著者の論理でいけば、そうかもしれないが、それで幸せになった人がいるなら、それでいいんじゃないかということになるはずなのだが、どうしてそれがそんなに大事なことかはわからなかった。 大乗仏教の経典って、「お釈迦さまはこういった」という形で、後世にどんどん経典を作り、それにさらなるお経を書き足していったものなので、大乗仏教の解説書、理論書がパッチワークであることくらい大したことではないように思える。 で、それがそういう本だとしても、これまでそれが大事だと思っていた人がいるのなら、それはそれでいいんじゃないかと思ってしまった。
大乗仏教では、凡人が仏陀になるためには仏陀に出会わなければならない、と考えるため、すでに釈迦が死んでしまったこの世界で如何にして仏陀に出会えるようにするかが要点となってくる。大乗仏教の主要な経典では、仏陀に出会える根拠付けが多様な仕方で説明されており、非常に面白い。人はみな過去(前世)に仏陀に出会っ...続きを読むていると考えてみたり、釈迦仏陀は実は死んでいないとしてみたり(久遠実成)、パラレルワールドに仏陀はいると言ってみたり、仏陀はあらゆる世界にいて仏陀ネットワークを形成していると想像してみたり、1人1人の中に仏陀はいると主張してみたり、と想像力豊かで多様な仏陀イメージが出てきて楽しい。
日蓮宗、浄土真宗、真言宗など大乗仏教としてくくられる宗派の違いを一般人との対話形式でわかりやすく解説してくれる。釈迦の教えとはかなり異なる各宗派の教義に驚かされる。平易に書かれていて読みやすいのだが、腑に落ちるほど理解するには物足りなさを感じる。 通訳ガイドの現場で簡単に説明するための手掛かりを与え...続きを読むてくれる本。
宗教としての大乗仏教を科学一辺倒の時代にあって切り捨てることなく、一定の意義を認めている。 問答形式のため、大変に読みやすい。問答形式なのにわざとらしくないのも好感が持てる。問いが自然だからだろう。 しかし、原理的な部分がなく、深くのめり込む要素が少ないため、物足りなく感じたのも事実だ。
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大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか
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佐々木閑
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