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ブッダの死後に編纂された「マハーパリニッバーナ・スッタンタ(涅槃経)」には、ブッダの最後の旅の様子がストーリー仕立てで描かれている。ブッダが自らの死によって示した「人間のあり方」、そして2500年受け継がれる「組織のあり方」を読み解く。特別章「二つの『涅槃経』」を収載。
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Posted by ブクログ
佐々木閑先生による涅槃経の解説。涅槃経には原始仏教による阿含『涅槃経』と、大乗仏教のもとで生まれた大乗『涅槃経』がある。この本は、阿含『涅槃経』を解説するもの。 阿含『涅槃経』では、ブッダは亡くなることによって、六道輪廻から逃れ、涅槃に入る。つまり、ブッダの死後、弟子たちはブッダから直接教えを...続きを読む受けることができなくなるという前提がある。弟子たちはどのようにサンガを維持していくのか。余命3か月となったブッダは、最後の旅のなかで、その方法を弟子に示していく。それをまとめたのが阿含『涅槃経』である。 ブッダの最後の教えのキーフレーズは「自洲法洲」。ブッダは弟子のアーナンダに言う。ブッダの死後は、「自分自身を島とし、自分自身を拠り所として生きよ。それ以外のものを拠り所にしてはならない。ブッダの教え(法)を島とし、ブッダの教えを拠り所として生きよ。それ以外のものを拠り所にしてはならない」と。この島というのは、「苦しみの洪水に流され続けている私たちが、そこから逃れることのできる唯一の拠り所」を意味するのだという。 つまり、仏教はブッダを神のようにあがめる宗教ではない。一人の人間としてのブッダが説き残した、その言葉を信頼する宗教なのである。しかも、その言葉を床の間に飾っておくのではなく、言葉の指示に従って自分自身で努力していなくてはならない宗教なのだ。 ブッダは自洲法洲の「法」について具体的に説明する。それは三十七菩提分法(四念処、四正勤、四神足、五根、五力、七覚支、八正道)を実践すること。つまりは、悟りに向けて、ひたすらに自己鍛錬することが仏教の本義なのである。 ちなみに、この本の最後の章では、阿含『涅槃経』と大乗『涅槃経』との違いが示される。NHK100分で名著の放送時のテキストにはなかった章である。これがあまりに違いすぎて、驚きを禁じ得ない。 (私は思う。阿含『涅槃経』が示す仏教は、摂取不捨の阿弥陀さまを信じるのとはだいぶ違うなぁと。念仏を申し上げるだけで極楽往生できる、他力の浄土教とは大違いではないか。。。どちらが良い、悪いという話ではなく、だいぶ違うと認識することが重要なのだろう。そして、自分自身の努力で苦しみから解放されるという、この初期仏教の教えは、科学が発達した情報過多の現代において、私たちを照らす道標となるようにも思われる。)
仏陀の最期のお言葉、もろもろのことがらは過ぎ去っていく、怠ることなく修行を完成せよ。刺さりました!感謝
たまたま手にとって読んだのですが、読んでみて良かったです。これまでキリスト経や西洋に関して調べることが多かったのですが、大乗仏教ではない、仏教に興味が湧きました。
ブッダが旅に出て、最期亡くなるまでの物語となっている。「マハーパリニッバーナ・スッタンタ」という経典の解説。 この経典の意図としては、ブッダが亡くなった後、どのようにサンガを組織していくかと言うことについての示唆が書かれているという。なるほど、組織論。 今回100分de名著で読んでしまったが、いずれ...続きを読む岩波の方を読みたいと思う。 この本の一番いいところは、巻末の読書案内。 ①阿含「涅槃経」の日本語訳ならびに解説者 ②阿含経(ニカーヤ)の日本語訳ならびに解説書 ③大乗「涅槃経」の日本語訳ならびに解説書 が列挙されている。これをもとに学びを深めればいいかなと思う。 100分de名著は概略知るのにいいと思う。そして、さらに知りたい!となるときに手がかりがもらえるところもいいと思う。 興味のある分野でまったくしらないものはここを入り口とするのもあり。
お経によって仏教観は全く異なってくるということをこの『涅槃教』で実感した。今まで描いたいた釈迦のイメージとは違っていた。 〈本から〉 お前たちは「もう我らの師はおられない」と考えてはならない。私の説いた法と私の定めた律こそが、私亡き後の師である。 もろもろのことがらは過ぎ去っていく。怠ることなく...続きを読む修行を完成せよ。
知らないことだらけですが、瞑想パートが特に興味深く参考になりました。 「空」についても、そうなの…?!と驚き。 最後の対談に、ものすごい丁寧な読書案内、ブッダの略年譜と、とてもとても勉強になりました。また読み返して、振り返りたいです。 「自己鍛錬システム」という言葉には思わず頷かざるを得ませんで...続きを読むした。これは一つの杖として絶対に知っておいたほうがいいなと勝手に確信しました。
(阿含)涅槃経について書かれたものですが、一般的に涅槃経とは「ブッダを追慕する経典」ととらえられているのに対し、佐々木先生は「ブッダ亡き後の仏教僧団をどうやって維持・管理していけばよいか、その基本理念を説いたものだ」という見方をしている。そもそも仏教は、「生きがいを追及する組織」であり、教えの実践を...続きを読むベースとした「自己鍛錬システム」にその本質があると考え、自己鍛錬の場であるサンガの維持をとても重要なことと考えてのことという考察。聖徳太子の十七条の憲法には「篤く三宝を敬え」とあり、三宝とは仏法僧であることは小学生でも知っているけど、これはもともと仏教から来ていて、仏はブッダ、法はブッダの教え、僧は修行のための組織である「サンガ」を意味することは初めて知りました。 ブッダは組織が衰亡しないための条件として、5種類の衰亡しないための7つの法と1種類の衰亡しないための6つの法というのを示している。最も重要といわれている最初の7つの法とは、「決めごとは、メンバー全員が参加する会議で民主的に決めよ」「すべての生活は既に決められたルールに沿って行動し、法律を重視して暮らさねばならない」「先に出家した先輩を尊敬し、その言葉に耳を傾けよ(年功序列)」「『自分』という存在に執着し本来の仏道の意味を乱さない」「人気のない郊外に住んで静謐な生活を送る」「出家した全ての修行者を仲間として友好的に待遇せよ」などです。このほか「自分の本分以外のことには手を出すな」「無駄話をするな」「悪い友人と付き合うな」「寝てばかりいてはいけない」「常に努力せよ」「智慧を持て」などが続きます。サンガのコンセプトが「拡大」ではなく「維持」にあることもあって、極めて民主的な教えのように思います。 さて、涅槃経はお釈迦様の入滅の際の記録でもあり、その遺言ともいえる言葉「自洲法洲(あるいは自灯明法灯明ともいうらしい)」についても触れている。そのまま訳すと「私が死んだ後にお前たちが拠り所とすべきものは、私がこれまで語ってきた教えと、そしてお前たち自身の努力だけだ」という意味らしい。佐々木先生の解説は「仏教とは、ブッダを神のようにあがめる宗教ではなく、一人の人間としてのブッダが説き残した、その言葉を信頼する宗教であり、しかもその言葉を単に床の間に飾っておくのではなく、言葉の指示に従って自分自身で努力していかなくてはならない宗教だ」となっています。なるほど自己鍛錬システムです。 涅槃経では続いて具体的な修行法である「四念処」について語っている。これは、「身」「受(外界からの刺激に対する感受作用)」「心」「法(この世のすべての存在要素)」からなり、この四つの項目の間違った捉え方が煩悩の原因となるため、仏道修行に入る人は、この四項目を常に念頭に置き、間違った見方を捨て、正しい姿でとらえるようにしなければならないと説いています。 ここはちょっと難しい。最後の法のところに「諸法無我」という言葉があり、これが「この世に『自分』などというものはない。単なる構成要素の一時的集合を自分等実在物だと錯覚しているに過ぎない」という見方なのだけど・・・ 後は般若心経の中でもふれられた大乗仏教の話、ほか。まだまだ勉強が足りないです。
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