眠りから覚めない謎の病気を治すために、ユタの血を引く医者がマブイ(魂)を再び戻すお話
以下、公式のあらすじ
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展開も結末も予測不可能な超大作ミステリー!!
若き女医は不思議な出会いに導かれ、人智を超える奇病と事件に挑む。
眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体――
すべては繋がり、世界は一変する。
眠りから醒めない謎の病気〈特発性嗜眠症候群〉通称イレスという難病の患者を3人も同時に抱え、識名愛衣は戸惑っていた。
霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせるには、魂の救済〈マブイグミ〉をするしか方法はないと知る。
愛衣は祖母から受け継いだ力を使って患者の夢の世界に飛び込み、魂の分身〈うさぎ猫のククル〉と一緒にマブイグミに挑む――。
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眠りから醒めない謎の病気〈特発性嗜眠症候群〉通称イレス
同時期に発症した患者4人のうち3人の主治医となった識名愛衣
ユタだったという祖母はマブイグミを行う必要があるという
患者の夢の中でマブイグミを行う過程で明かされていく患者同士の繋がりや識名愛衣のトラウマとなった事件
スピチュアル+ファンタジー+医療+ミステリーという異色の組み合わせの物語
マブイに関する小説といったら「豚の報い」を思い浮かべるけど、この作品はファンタジー要素が強い
そして夢幻の世界で幻想小説っぽいのに、患者の背景や事情はあくまでもリアルで医学的に正しそうな事が前提になっているという、リアルと虚構のバランス感が知念実希人さんらしい
本人の「マブイ」を映し出した鏡のような存在の「ククル」
愛衣のククルは、うさぎのような耳を持った猫
患者の夢の世界で過去の記憶をヒントに、昏睡に至った状況や患者ノククルを見つけてマブイグミを行う過程で見えてくる病気や事件の背景
マブイグミを行う一人目の患者、片桐飛鳥
パイロットだった父親に顎がれ、念願叶って同じ職業に就く目前に事故に遭い、パイロットへの道は閉ざされる
しかもその事故は父親のせいで……
二人目の患者、佃三郎
冤罪事件を手掛ける老弁護士
殺人事件の一審の判決後に証言を翻した容疑者の無実を信じ、二審から担当弁護を引き受ける
結果、無罪判決を勝ち取るも、その後には思わぬ展開を迎える
果たして自分のやった事は正しかったのかと悩む
三人目の患者、加納環
二人目の患者の佃に弁護を依頼した、容疑者の同級生
容疑者との再会から事件に至るまでの第三者としての視点
そして自分の人生の振り返り
また、愛衣は23年前に連続通り魔殺人事件の被害者で
当時の精神的なショックから記憶が朧気なところがある
犯人の少年Xがイレス発症や再び起こっている連続殺人事件にどう関わっているのか?
そして、先輩医師の杉野華が主治医を務める4人目の患者は誰か?
過去の連続殺人事件事件、イレス発症の謎、現在起こっている連続殺人事件の真相とは?
序盤から、愛衣が実家に帰ったところで引っ掛かりがあったけど
下巻の地震のあたりでは明らかに違和感を感じる
なるほど、そんな事だったのねぇ……
それにしても、イレスという架空の病気で
しかも治療方法はスピリチュアルでファンタジーなのに
病気になった背景や病気はとてもリアリティと説得力があるというミステリと医療ものの土台がしっかりした構成の確からしさを感じる
4人目のイレス患者はちょっと違う人を想定してた
でも、言われてみればそうだなと納得感がある
イレス患者の繋がりにしても、愛衣の23何年前の事件にしても、序盤はそれぞれの繋がりが見えないけれども
断片的な情報の小出しとミスリードっぷりに見事に騙されたなぁ