【感想・ネタバレ】十字架のカルテのレビュー

あらすじ

犯罪者の心の闇に迫る精神鑑定医。医療ミステリーの新境地!

精神鑑定の第一人者・影山司に導かれ、容疑者たちの心の闇に迫る新人医師の弓削凜。だが、彼女も心の中で重い十字架を背負っていた。

光陵医科大学附属雑司ヶ谷病院の新人医師・弓削凜は精神鑑定医を目指し、精神鑑定の第一人者と言われる影山司院長に弟子入りする。影山に導かれ、凜は統合失調症、詐病、解離性同一性障害など、様々な事件の容疑者たちの心の闇に迫る。そして凜にも、どうしても精神鑑定医にならなくてはならない秘密の事情があった。

目次
プロローグ
第一話 闇を覗く
第二話 母の罪
第三話 傷の証言
第四話 時の浸蝕
第五話 闇の貌
エピローグ

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Posted by ブクログ

刑法 第39条
1. 心神喪失者の行為は、罰しない。
2. 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

精神鑑定医が主人公。
何か、凄い職業やな。
事件発生時、犯人の精神状態が心身喪失状態かどうかを見極める。
その判断によって、罪に問えるかを決める重要な判断材料になる。
例えば、人殺してても、この鑑定によって無罪、もしくは軽減される。(上に書いた39条)
被害者からしたら、殺された事実は変わらん訳やし、やってられない気もする…
それだけに、鑑定するのめっちゃ大変やし、めっちゃプレッシャー!(~_~;)

ミステリーでは、ないんやろうけど、心身喪失してた!って、ウソつくヤツおるし、それを見極めるのは、様々な事実、経緯を調査して、矛盾点がないかを検証するという作業自体は、事件解決を追及するのと似てるんで、それに準じた感じ!

短編集の形で、それぞれの鑑定をしていく。主人公は、亡くした親友の為に、鑑定医を目指したんやけど、最後は、その時、無罪になった人と向かい合う!

クライマックスには、どんでん返しもありで、結構、楽しまて貰いました〜

しかし、39条って、被害者からするとキツいもんな。そういう心身喪失状態になる前に救うようなのが、ええんやろうけど、そんな簡単にはいかんやろうし、悩ましい…
(;-ω-)ウーン

知念さんも久々に読んだけど、やっぱ良いわ。その辺の山から探り出そ〜!w

1
2024年06月02日

Posted by ブクログ

医療関係なので陳腐な医療ドラマは白けるけど知念さんは流石という感じで違和感はそれほどなく読めます

また医師の小説の中には小説として今ひとつの場合があるけれど、知念さんの場合は小説が抜群に面白い 関連図書欲しくなってる

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

一気に読んでしまいました。
精神疾患を持った(と言われる)人が犯罪を犯すたびに考えさせられ、でも結論は出ない、永遠のテーマだと思います。
「背負うべき者が存在しないその十字架はどこに消えてしまうというのだろう」。沁みました。

0
2025年08月25日

Posted by ブクログ

重大犯罪を犯した容疑者の犯行当時の精神鑑定を行う鑑定医の話。いつもどうやって行うのかなと思っていたので、精神鑑定の着眼点などがわかってよかったです。話の展開は想像できない奥深さで、フィクションだけどリアリティがあって面白かったです。話にグイグイ引き込まれました。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある精神障害者(と思われている)の行動が触法だが罪に問われないのか、詐病で犯罪なのか、精神鑑定の難しさと面白さがありました。四編あり、最後の話は主犯と共犯が、同一人物の中に存在しているという話。子供の頃に受けた身体的、心理的、性的な虐待が脳に与える影響はどれほどなのか。司法と医療だけの問題ではなさそうと感じました。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

精神鑑定医という一つの職業にフォーカスし、事件が解決されていく連続短編集。
絶え間なく登場する専門知識がストーリーを肉付けし、よりリアルで臨場感のある作品を完成させていました。
主人公の精神鑑定医という職人対する熱意もあり、テレビドラマの「アンナチュラル」を思い出させるような作品でもありました。
念さんの作品の中では、1、2を争う好きな作品です。

0
2024年10月22日

Posted by ブクログ

精神鑑定の第一人者・影山司に導かれ、容疑者たちの心の闇に迫る新人医師の弓削凜。だが、彼女も心の中で重い十字架を背負っていた。

刑法39条は余りにも有名。これを利用するなんぞ論外だが・・・。
なんであれ命を奪われた被害者の家族の気持ちは永遠に解決出来ないだろうが・・・故意にされたなら尚更。
実際ここまで真剣に向き合ってくれる精神科医はいるんだろうか?

0
2024年08月26日

Posted by ブクログ

容疑者の精神鑑定を行う精神科医。
統合失調症、詐病、解離性同一性障害。
さまざまな可能性を考え、容疑者たちと向き合う新人医師の奮闘。

現実の事件でも耳にする「心神喪失者の行為は罰しない」
被害者の関係者なら納得いくわけがないと、漠然と想像することはありましたが、裁判の後のことは考えたことすらなかったかもしれません。
犯罪者にならなかったとしても、被害者がいる事実は変わらない。
元の生活に戻れるわけもない。
事件の後のことは報道されなくても、人の人生は続いていく。

精神鑑定って、血液検査みたいに数値化できるものではないから、本当に難しいのでしょうね。
答え合わせなんてできないし、その結果に多くの人の人生が狂わされるかもしれない。
読み進めながら、容疑者、被害者、遺族、いろんな人に感情移入しました。
感情移入し過ぎて頭痛くなったくらい。

読むのにメンタル削られます。
でも、読んでよかった。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

鑑定医の仕事を書く医療ミステリー。
心神喪失状態となった人が殺人を犯す。虐待した親が悪いのか、環境が悪いのか。ひどい環境でも発症しない人がいるのだから、本人の脆弱性が悪いのか。どれも何か違う気がして、減刑されることが適切なのかもわからない。そして、誰しも精神疾患にかからない保証はどこにもなく、皆同じ人間であることを考える。答えが出ない気もする。
本作に登場する監察医、影山医師はわからないこと自体に冷静に向き合っている。わからないことを延々考えて調べ、向き合い続けることが専門家の仕事なのかもと思う。
少し小説めいたというか、誇張を感じる所はあったが、細かい医療的な描写が信憑性を強めていてこんな鑑定医がどこかにいるのかもと思わず感じてしまった。

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

精神がおかしくなっていたらどうして不起訴なのか、殺人する人はそもそも精神状態がおかしいのではないのか。私が常日頃思っていること。精神鑑定医によって詐病が見抜けられず不起訴になる場合もあるらしい。精神鑑定医はとても責任のある仕事だなと感じた。ただ、本当に精神病で不起訴となった場合、被害者家族の立場なら絶対に許せないだろう。精神病でも人を殺したのは事実。この疑問の解決にはまだ時間がかかるだろう。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

オーディブルにて。

精神鑑定医でのミステリーとか詐病か否かでしか広げられないと思ってたけど、深みのある一冊だった。

精神科実習でも感じたけど、精神科疾患になるにあたって家庭環境とか過去とかって大きなファクターだし、それ自体はどうしようもできずその人に罪がないと思う。でもそこからの罪って精神疾患があったとして、どこまでが有罪でどこまでが無罪か…難しい。
救えなかった周りや社会の罪もあり。
それでも被害者側に、その人に殺意を持たれるような要因が全くなければ、例え精神疾患があろうと少なからず少しは裁かれるべきなのでは、とも思う。

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2025年04月27日

Posted by ブクログ

医療ものだとは思っていたがまさかの精神科医の話で、どうかと思っていたが面白かった。主人公の精神科医が抱える過去の事件の犯人は解離性同一性障害。以前自分自身も解離性同一性障害の人物と関わった経験や心理学を少し学んだ事などがあり、リアルな描写といろいろと考えさせられる内容に最後まで面白く読めた。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

精神鑑定医を目指す弓削凛が、第一人者の一人である影山院長に弟子入り。
鑑定医は疾病が責任能力を左右しているかを医療の面から判断し、判決は司法が下すという認識だけど、鑑定医の判定が大きくその後の人生に影響を与える、司法に直結する。

・・
人の心に巣くう闇は、そう簡単には理解できないということを真摯に認め、その上で少しでもその本質に触れようと努力する。それこそが鑑定医に最も必要な素質。


鑑定医でなくても、繋がることば。

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2025年01月27日

Posted by ブクログ

祈りのカルテが面白かったため、そこの続編かと思い読んでみる。内容は全く関係はなく、精神科、精神鑑定の話。なるほど十字架とはそういうことか。精神疾患がある方が事件を起こした際にその責任の所在は、罪を償わなくて本当にいいのか(語弊あり)といった内容。
興味はありつつも全く知らなかった世界。それにしても自分も含めて世間は本当に精神疾患の認知や知識が低すぎると感じる。統合失調症の有病率も書いてあるが誰がいつ発症してもおかしくない話なのだ。

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2024年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の主観や激情、偏った考え方を持たず、なおかつ相手の言葉が真実か否か、また、言葉の裏に隠された真実を短期間で見極める必要ある
実際の精神鑑定医がどうなのかはわからないが、決して簡単にできる仕事ではないと感じた

詐病であろうがなかろうが、自分の下した判断によって被疑者の運命が変わるのはとても怖い



犯人が精神疾患を患っていたからといって、罪が消えるわけではない。しかし刑法には心神喪失状態の患者には罪は問えないと明記されている。ならば、その罪はどこに行くのか。誰がその十字架を背負うのか。

現代日本において、人を殺すこと自体が異常である。殺人を犯す者が正常であるわけがない。ただその異常が疾患によるものか、人の心から来たものかを判断するのが鑑定医に仕事である。

この2節がとても印象に残っている

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

新人医師の主人公は精神鑑定医を目指している。院長に弟子入りした彼女は統合失調症や解離性同一性障害の可能性がある者と面接をしながら事件の真相と心の闇を暴いていく。

心神喪失者は無罪。これは正しいのか。そんなことを考える話。微妙な違和感とそれが解消される爽快感があった。

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2024年11月28日

Posted by ブクログ

感想を書くのが難しいと思った一冊。
精神科領域の診断は本当に大変なのだなと感じた。それが裁判や起訴不起訴の判断材料に使われるなら、医師の負担やストレスも大きいものなんだろうなと思う。
個人的には、犯罪行為においては精神状態に関わらず裁かれるべきだと思っているけど、現実的にはそうも言ってられないんだろうし、難しいなとつくづく思う。
一口に精神疾患と言っても多種多様で、そういう勉強にもなりました。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

精神疾患による殺人。それは不起訴となり、加害者は殺人を犯しておきながら罪に問われることなく、治療を受け世に戻る。
その罪の十字架は誰が背負うのか。
精神鑑定医は、加害者と面接をして何の精神疾患を患っているか詐病ではないかを鑑定する。
今までニュースなどで何気なく見て、モヤモヤしていた十字架の行き所に答えは出ないけど、多くの人が持つ可能性のある心の闇にどう向き合って行くか、しっかり考えていかなければならないと思う。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

何もわからず読んでもたけれどかなり没頭した。これ読んでからニュースとかで精神鑑定の話出てくるたびに思い出す。本を読むことで関心の幅が広がった実感を得た作品の一つになった。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

精神疾患による心神喪失者の罪は問わないという法の原則に真正面から向き合う作品。
被害者の立場からすればやり切れないし、完全に客観性のある数値化ができない領域だけに詐病で罪を逃れようとする輩を如何に見抜くかも非常に重要な役割りである。
2人の精神科医の姿勢に深く共感しました。

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2024年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心神喪失の有無を判断する精神鑑定医が主役であり、ストーリーが深まっていくのかどうか心配であったが、流石知念氏の作品、各話とも精神科領域の話を論理的且つ現実的に語られていた。
最終話で凜の親友が殺害された事件の真相もすんなりとは終わらせず意外な真相を潜ませていたのは見事であった。
主人公の凜と影山も様々な事象に真摯に向き合っているので好感が持てる設定。天久鷹央シリーズにも顔出ししていたのでこの精神鑑定医シリーズも続編の期待したい。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

精神鑑定医がどんな仕事をしているかが分かって興味深かった。
解離性同一性障害の事例がミステリー的で面白かった。
もっと突っ込んだ内容の作品が読みたい。
少し物足らなかった。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

変な家の続編を買いたくて古本屋に行ったけれど置いてなかったので、代わりに見つけたのが今回の本。医療ミステリーは初めて。まさか精神科医の話とは。精神の病気は誰でもなる可能性があると頭ではわかってるけど、本の中に出てくる人たちみたいに身内がなったら受け入れられないかもなと思った。
読みやすくて、わかりやすいないようだった。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

興味深い世界に触れることができました。知念実希人さんの作品は本当に、引き込まれ、あっと言う間に、読んでしまいます。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

はじめは短編集かと思いましたが、最後で違う事が分かりました。ただあまり面白くなかった。前々作までは大変面白かったのに少し残念です。既にもう一冊買ってあるので読みますが天久以外は正直パスかな?

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

短編的な作品。新人の精神科医が、高校時代に殺された親友の事件の真意を、精神科医の立場で暴くって感じかな?

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2025年03月13日

Posted by ブクログ

犯罪行為を行った精神疾患患者の罪が
【刑法39条1.心神喪失者の行為は、罰しない 】に該当したとき、誰がその罪(十字架)を負うべきなのか。被害者や周りの人たちは一体どこに怒りと悲しみの矛先を向けたら良いのか。5人の患者(犯罪者)の精神鑑定を通して深く考えさせられました。

どの章も単なる患者の精神鑑定ストーリーに留まることなく、事件を起こした切実な想いを探っていくミステリーのような作品です。特に第5章の『解離性同一性障害』の話が興味深かったです。

内容は少し重く一気には読めなかったので減点していますが、社会問題を考えさせられるといった点には★★★★です。

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2024年11月18日

Posted by ブクログ

精神鑑定。
目に見える明確なところが中々見えないのが難しい…。
果たして虚偽なのか、それとも本当に精神疾患なのか…。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

前半の短編の流れは結構楽しく読めたと思うけど
後半の主題の流れ以降が、イマイチか
まどろっこしくて
そんなのどっちでもいいような
展開が続き、飽きていく感じ

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

精神疾患のある犯罪者は罪に問われないのか。日常では関わることのない領域の話で正直気にしたこともなかったけれど、倫理的には裁かれるべき人も法によって罪を償っていないこともあると知った。

何が正しいかはわからないけれど、こころの病についての理解がもっと広まって、大きな事件に繋がる前に支えられる社会になってほしいと思った。

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2024年04月21日

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