原基晶のレビュー一覧
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第10巻。ジョヴァンニの最終公開試問、ミケランジェロ、コロンブスとの船路、ジョヴァンニの緋の衣。
いよいよピサから学生たちが方々に去ります。
メディチ家から初の枢機卿を輩出した喜びも束の間、フィレンツェに戻ったジョヴァンニは早々に今後の動向について不穏な様子を感じ取ります。アンジェロとチェーザレをはじめとするスペイン団との別れのシーンはぐっとくるものが。特にチェーザレの笑顔がまた切ない。若さや勢いが痛快だった学生生活の場面もこの巻でひと区切りです。若年ながらその重責を背負うことになるチェーザレやジョヴァンニの覚悟や奥に潜めた不安など、ひとりの人間として魅力に映ることの多かった回でした。 -
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長かった物語も、いよいよクライマックスに突入……なのだが、それに伴って難易度もどんどん上がり、なかなか理解することが難しかった。思うに、宗教性がより強くなることが原因ではないか。聖人の名前を出されても、その事績や人となりはすぐには思い浮かべにくい。そのため、大前提として、『聖書』ぐらいは読んでおいたほうがよいのかもしれない。しかも、当然ラスト・シーンはイエス・キリストと対面するのかと思いきや、まさかの聖母マリア。その宗教的な意味はいろいろとあるのだろうが、理解が不十分であることもあり、ココでは多くを語らない。ただ、『地獄篇』が冒険譚としても楽しく読めたことに比べると、この『天国篇』は徹頭徹尾い
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Posted by ブクログ
『地獄篇』は難しいなりにおもしろくも読めたのだけれど、この『煉獄篇』にかんしてはどうも最後まで馴染めなかった。その理由として、そもそも「煉獄」というもののわかりにくさが挙げられると思う。「地獄」や「天国」は学術的にはともかく、一般的な概念としては小学生でも知っているし、キリスト教ではなく仏教の世界にもあるなど、日本にとっては非常に馴染み深い。しかし、煉獄についてはどうか。まず、名称じたいがあまり人口に膾炙していないし、その内容もよくわからない。われわれの根っこにある智識の量にそもそも差があるため、当然理解についても差が出てしまうのである。もちろん、いちおう作中ではちゃんと解説というか言及があっ