梶井基次郎のレビュー一覧
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表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。
文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。
太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。
梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公 -
Posted by ブクログ
檸檬だけ青空文庫で読みました。
怠惰による焦燥であったり、劣等感であったり、胸の奥や頭の中にどんよりと渦巻いている薄暗い感情をなんと言っていいのか分からないけれど、満たされていないという不幸と断言できない幸福を渇望する感情がものすごく美しく表現されていて見事でした。中学、高校時代に希死念慮とまでは言えないけれど満たされていないという気持ちがずっと取り巻いていたことがあり、非常に主人公に共感しやすい本でした。
自身に納得していない人生を送っている時は豪華絢爛であったり大衆嗜好の文化を受け入れられず寂れ、捻くれたサブカルチャー的なものに強く惹かれるという部分や、そうしてであった檸檬を真の幸福の象徴 -
Posted by ブクログ
※主に『檸檬』『冬の蠅』についての感想です
物語を追うというより、その美しい言語表現を目で追って、好きなフレーズはあるかなぁと探しながら読みました。
意外にも共感出来ることが多くあり、今まで好きだったものがある日を境に距離を置きたくなるものになったり、粗末でどこにでもあるようなものに惹かれるようになったり、幸せな時間が来たとき、その後に訪れるであろう苦痛の時間を想像して憂鬱になったり、「分かるなぁ」という気持ちになった場面が多くありました。
あと、作品全体を貫くどこかひょうきんで明るい雰囲気が好きでした(病気は辛かったと思うけど)
檸檬、冬の蠅は読書初心者でも読みやすいかも?(なにを隠そ -
Posted by ブクログ
好きな話は冬の蝿(闇の絵巻)、冬の日、Kの昇天、泥濘
収録の中で異彩を放っていたのは、
城のある町にて(巻末の解説にあるとおり、単純で、平明で、健康な世界)
ある崖上の感情(不安定さは感じない。感情の発露?)
愛撫(変態的だけど猫への愛情を感じる)
病のせいか、常に死を身近に感じているように読めました。
常に精神不調で絶望しているけど、世の中の一般的な幸せや娯楽、喜びを分かっている。分かっているからこそ対になっている絶望が深い。
人並みの幸せを求めつつも、幸せを意識すると途端に苦しみが増す矛盾に苦しんでいる様子と、その状況を楽しんでいるようにも思えました。
のんきな患者で、梶井の本音が書か