梶井基次郎のレビュー一覧

  • Kの昇天(乙女の本棚)

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    作者が結核を患っていて、いつも死を意識していたかと思うと、この作品も本人の心境、様子を反映したものだと思えてきて切迫した気持ちになる。きっともう、病気で苦しみすぎたのだろう。作者の安らかに死にたいという思いが映し出されているようで、いたたまれなくなった。
    普通の元気な人なら、夜、海に出ても、自分の影に見とれたりはしない。何度も阿片という単語が出てくるように、精神的に参っていて、早く楽になりたいという思いで一杯だった様子がよく伝わる。
    イラストが穏やかで美しく、その透き通るような綺麗さばかりが印象的なこの作品。彼の自殺かもしれない死が美しく見えるけれども、荒々しさも、抵抗する様子も描かれることも

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    2024年02月20日
  • 檸檬

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    二回読む。梶井の作品は二回以上読むべきなのだろう。
    初回の感想は「難しい」。
    決して、日本語としては難しくない。
    何が難しいのか、考えてみた。

    日本人は英語で聞き取れない音域が多くあるという。これは言葉を耳から学ばないから。(子供、例えば帰国子女は耳から言葉を覚えるので、この音域を聞き取ることができる)
    そして聞き取れないと発音ができない、ということらしい。これが日本人が英語を話すことが苦手な理由の一つ。

    このことを思い出した。
    つまり、我々が身近に感じることを、梶井は、その想像を超える言葉で表現しているのだ。
    だから難しい。

    初めて読んだ時に梶井の表現する風景が頭に浮かべることができな

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    2024年01月28日
  • 檸檬

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    情景の表現が巧妙であり、作者の生い立ちと相まって唯一無二の感じがした。
    個人的には「冬の蠅」がオススメです。

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    2023年12月30日
  • 檸檬

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    退廃的というのはこういうことをいうのかなあ。心身ともに苦しくて、その苦しみがあることで同時に生命の存在を強く感じる、みたいな感覚があった。100年も前なのか〜。

    【読んだ目的・理由】古典が読みたかったから
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆3.8
    【一番好きな表現】ーー吾々は「扇を倒にした形」だとか「摺鉢を伏せたような形」だとかあまり富士のかたちばかりを見過ぎている。あの広い裾野を持ち、あの高さを持った富士の容積、高まりが想像出来、その実感が持てるようになったら、どうだろうーー(本文から引用)

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    2023年10月01日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    〈乙女の本棚シリーズ〉
    梶井基次郎+げみ

    表紙の絵に釘付け…。
    美しい青年と檸檬のバックに浮かぶ色彩のレトロ感に惚れ惚れする。

    何に憂いているのか…この青年には孤独が似合う。
    身体の辛さか借金なのか、街を浮浪し続けては、見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられた。

    檸檬を買った。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も丈の詰った紡錘形の恰好も好きだから。
    始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たと見えて、わたしは街の上で非常に幸福であった。

    この檸檬の重さが彼にとってちょうど良かったのか。
    丸善へ入り本を積み上げ、その頂き

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    2023年09月16日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    乙女の本棚5冊目は梶井基次郎!

    いやーなんだか甘やかされてる
    おじさんたちが若い頃はなーもっと苦労して苦労して一人前になっていったもんだ
    こんなことだから最近の若いヤツは軟弱ですぐ泣きごと言うんだわ!
    と飲み会の席で最も嫌われるおじさん代表的な考えもなくはないんよ

    梶井基次郎なんてほぼ詩やからね
    意味なんてわからんのよ
    そもそも本人が易しく伝えようなんてしてないんだから
    その棘だらけの難解な文章を苦労して苦労して読み解くのに意味があるんだから

    そういった意味では乙女の本棚なんて天津甘栗と一緒ですからね
    しかもすでに剝いて袋詰めしてあるタイプの天津甘栗ですからね
    いがぐりの状態すっ飛ばして

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    2023年09月01日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    どんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も、辛抱がならなくなるほどの、えたいの知れない不吉な塊。
    それを抱えながらとある果物屋で魅入られ手にした檸檬を、京都の丸善で積みあげた画本の頂きにのせる。そしてそのまま店を立ち去る。
    くすぐったい悪戯心によって取り残された檸檬は、あと十分後にはきっと大爆発をするのだ──。

    ひさしぶりに読み返したけれど、これってメタファーとして現実に置き換えるとけっこう恐ろしいよな、と思う。
    駅とかに不審物が置かれていた、なんてニュースを最近よく耳にするからだろうか。
    日常に倦んだ誰かの気まぐれ。怖いけれど、でもそれが、檸檬の色彩のように鮮やかで魅惑的な響きを伴っている

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    2023年07月10日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    理不尽な病に生涯に渡って苦しめられるその惨めさこそ小説の本質であり、自分の運命と必死に格闘した梶井にとっては小説を書くしか生きる道がなかったのだと思う。

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    2023年06月30日
  • Kの昇天(乙女の本棚)

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    影にみいられた人。墜落しなかったのは、本人にとってよろこびだったのだろう。言ってしまえば溺死だけど、精神は昇天したというのが心にくる。
    月夜に海辺で自身の影を踏みながら歩くkの姿を想像した。不気味とも綺麗ともつかないものだろう。

    楠本まきさんの漫画で、Gの昇天 という作品があったな。この作品へのオマージュなのだろう。

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    2023年06月27日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    学生時代に読んで以来
    です。

    路地裏や街角の暗さに
    惹かれる主人公。

    しんしんと降ってくる
    雪の様に紡がれる言葉。

    心がしんと鎮まります。

    そして薄暗いトーンの
    世界に唐突に投げ入れ
    られた、

    鮮烈極まる原色の檸檬。

    檸檬を置いて踵を返す
    その刹那一瞬の気持ち、

    ほんの少しだけわかる
    気がします。

    げみさんによる寂しさ
    をたたえた挿絵が素敵
    です♪

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    2023年02月24日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    これは小説なのか、エッセイなのか。夭逝の作者自身と重ねて読む。
    イラストの書生はあまり病的な感じがなく、いまひとつ感情移入しにくいが、白熱灯のオレンジの光の中でそれでも黄色く輝く檸檬は印象的。

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    2023年02月14日
  • 交尾

    匿名

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    暗夜の路地に猫二匹、渓流にカジカガエル二匹が睦まじくする様子が活写されている。あたかも私たちがその場にいるかのようだ。

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    2022年09月28日
  • 愛撫

    購入済み

    妄想。

    作者の妄想を読んでいます。
    全く何にも役に立たない妄想を、まるで気の置けない友人に当てた手紙の様に、止めることなく筆を走らせた…という感じでしょうか。
    正直、面白いのか面白くないのかわかりませんが笑
    それでも「あぁ、この作者はこういう考えを持ってしまう人なんだな」ということが知れたのは面白いということになるんでしょうか。

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    2021年04月04日
  • 檸檬

    購入済み

    一度読んでみるべきと言われ。

    空虚な気持ちで毎日が過ぎていく最近の自分と重ねて読んでました。明るい話に慰められる時もありますが、今の自分にはこのような話のほうがあっているようです。

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    2021年03月14日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    梶井基次郎作品集は他にもあるが、このちくま文庫版の安野光雅の表紙カバーのが一番好きだ。
    開高健のエッセイから梶井のことを知った。
    「檸檬」は、繰り返し読んでも飽きない。
    昭和一桁の年代に書かれたものだから、古風な感じは拭えないが、暗いけど明るさがある。

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    2020年04月25日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    高校だか中学だかの国語の教科書に、『檸檬』が載っていたことは覚えているが、しかし、こんな美しい文章だったことは記憶になかった。

    大人になって読み返してみると、実に豊かな描写で感銘を受ける。

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    2019年06月22日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    書きかけの小説とか断片だけ残っているものとか戯曲とかも含めてまるごと入った全集。初稿から改稿の過程なんかも載ってて面白い。改稿ってちょいちょい修正を入れるとかじゃなくてほとんどまるきり書きなおすのかよ~~~~~とか思ってびびった
    面白いのはいくつかあったけど、やっぱり『檸檬』とか『櫻の樹の下には』が良かった気がしてしまう。まあ、すでに何度か読んだことがあるからかもしれないが。他のだと冬の蝿の話が好きでした。
    読み飛ばしたけど、また今度気が向いたら断片だけの小説とかも読んでみるかもしれない

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    2016年06月24日
  • 路上

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    どこまでも自意識過剰な

    いかにも、梶井基次郎らしい小説である。自分が高校生の、文学青年であった頃を思い出させる。自分もあの頃にこういった経験をしていて、もう少し筆力があったなら、こんなものを書いたのではないか、そして十数年後の今頃「あんな恥ずかしいものを自分はよく書いたな」と、懐かしく思い返したのではないかと思わせる、そういう作品である。つまりは、良い感じに青臭い、ということである。

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    2014年06月09日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    春なので、久しぶりに再読。
    「櫻の樹の下には」は春になって桜が咲くと、つい読みたくなってしまう作品です。

    「Kの昇天」「冬の日」「ある崖上の感情」もお気に入りです。

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    2012年05月07日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    前に三巻本の全集が出る作家は好きと書いたが(中島敦)、一巻本の出る作家もいい感じ。

    一家に一冊置いておきたい本。

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    2010年08月22日