梶井基次郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
好きな話は冬の蝿(闇の絵巻)、冬の日、Kの昇天、泥濘
収録の中で異彩を放っていたのは、
城のある町にて(巻末の解説にあるとおり、単純で、平明で、健康な世界)
ある崖上の感情(不安定さは感じない。感情の発露?)
愛撫(変態的だけど猫への愛情を感じる)
病のせいか、常に死を身近に感じているように読めました。
常に精神不調で絶望しているけど、世の中の一般的な幸せや娯楽、喜びを分かっている。分かっているからこそ対になっている絶望が深い。
人並みの幸せを求めつつも、幸せを意識すると途端に苦しみが増す矛盾に苦しんでいる様子と、その状況を楽しんでいるようにも思えました。
のんきな患者で、梶井の本音が書か -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校時代に現代文でやった「檸檬」をもう一度読んでみたい&装丁が可愛いので購入し読んでみた。
どの作品も病を抱えた人間が登場し、そんな敏感な感覚になっている人物の心の動きが丁寧に描かれていてどんなに病で苦しくても生活を続けなければならないという姿に心を動かされた。
好きだったのは、
「檸檬」、「桜の樹の下には」などのメジャーどころから、「Kの昇天」、「冬の日」、「ある崖上の感情」などもすごく良かった。
この中で特に好きだったのが「Kの昇天」で、舞台が夜の海という点で惹かれるし、タイトルや読み進めていくと感じるSF感にワクワクも感じた。
作品中で他の書籍についての言及もあり、それも読んでみたいと感 -
Posted by ブクログ
「桜の木の下には」
桜の木の下には屍体が埋まっている。 という一文から始まり、インパクトを受けた。独特の言い回しが面白く、あっという間に読んでしまった。読み終わった後、何となく伝えたいことは分かるが言語化が出来ない…とモヤモヤしていたので、色々な人の解釈を見てみた。すると「美しさと死は表裏一体」という言葉がものすごくしっくりときた。「檸檬」でも感じたが、梶井さんは美しいものと何かを対比させる話が多いのかな?と感じた。(違っていたらごめんなさい…)このような話は大好きなので、似たような作品を探そうと思う。
ここからは私が個人的に思ったことであり、考察などでは全くないが、桜と死は何故か深い関 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、梶井基次郎さんとげみさんのコラボ作品の「檸檬」です。まずは、いつものように表紙から…なんとも懐かしいようなぬくもりを感じるような、それでいて檸檬の色彩がはっきりしていて、思わずわくわくしてしまいます(^-^)
肺病を患い、借金もあり友人宅を転々としている主人公の青年…。町を歩きふと手にした檸檬…檸檬によって一時的に鬱々としていた気持ちが晴れたため、丸善に立ち寄ったのだが、またしても心が沈んでいく…。そこで先ほど手に入れた檸檬の存在を思い出す…。
檸檬爆弾か…手榴弾って檸檬のサイズくらいなのかも!何気にそんなことを感じました。青年の抱える孤独感、疎外感などのマイ -
Posted by ブクログ
梶井基次郎という人は、結核という病を得て死について考え考え、考えぬいて生きたんだなというのがよくわかる。
世間と隔絶されてしまったかのような焦燥感、絶望感、最後は諦念と恐怖のなかにかすかに達観も見られ、どこか救われるような気持ちになったりもした。どれを読んでも胸にせまるものがある。
読みながら、自分自身の父のこと母のことを思い浮かべてなんともいえない切ない気持ちになった。
著者はこの文書を書きながら涙を流し、血を吐いているんだなと思った。
若くして亡くなったことを惜しむ声は多いけど、若くして亡くなることがわかっていたからこそ、ここまでの輝きを放った人だったのではとも思う。 -
購入済み
焦燥感と妄想。
読んでいて焦燥感を感じました。
理由はわかりませんが、視点主の焦燥感と現実逃避というか、文の内容というよりは書き手の心情が込められている気がします。それだけに、すごく読み応えがあります。
同じ芸術という意味では絵画に近いような気がします。物語というよりは、美術館で大きな絵を前にしてじっと眺めているような感覚です。
-
購入済み
なんてことない。
なんてことない一日の中の1シーンを切り取ったような作品です。短いながら、残る余韻は格別。
ただひたすらに雰囲気が秀逸で、なんだかレモンの香りが嗅ぎたくなります。
読み終えてとても不思議な気分になりました。
短いので是非一度。