梶井基次郎のレビュー一覧

  • 檸檬

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    好きな話は冬の蝿(闇の絵巻)、冬の日、Kの昇天、泥濘
    収録の中で異彩を放っていたのは、
    城のある町にて(巻末の解説にあるとおり、単純で、平明で、健康な世界)
    ある崖上の感情(不安定さは感じない。感情の発露?)
    愛撫(変態的だけど猫への愛情を感じる)

    病のせいか、常に死を身近に感じているように読めました。
    常に精神不調で絶望しているけど、世の中の一般的な幸せや娯楽、喜びを分かっている。分かっているからこそ対になっている絶望が深い。
    人並みの幸せを求めつつも、幸せを意識すると途端に苦しみが増す矛盾に苦しんでいる様子と、その状況を楽しんでいるようにも思えました。

    のんきな患者で、梶井の本音が書か

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    2024年10月19日
  • 檸檬

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    昔読んだきりで、檸檬というタイトル以外印象にも残っていなかったが、最近読み返す機会があり、文章の上手さを今さらながら感じた。情景が鋭く鮮やかに浮かんでくる感じが爽快だった。

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    2024年08月29日
  • 檸檬

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    短編ながら日本近代文学の歴史に残る傑作が並ぶ。何気ない自然や風景、子供の描写に作者独特の瑞々しさを感じる。生来、感受性豊かな作者が持病によって常に死を意識する状況の中で「生」を感じさせるものに対してより鋭敏な感受性を発揮したのではないか。

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    2024年08月10日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    乙女の本棚シリーズの中でも何度も読み返してしまう1冊。人々は妄想しながら生きている。会社や学校を爆破したい人に。

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    2024年05月22日
  • 檸檬

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    ネタバレ

    高校時代に現代文でやった「檸檬」をもう一度読んでみたい&装丁が可愛いので購入し読んでみた。
    どの作品も病を抱えた人間が登場し、そんな敏感な感覚になっている人物の心の動きが丁寧に描かれていてどんなに病で苦しくても生活を続けなければならないという姿に心を動かされた。
    好きだったのは、
    「檸檬」、「桜の樹の下には」などのメジャーどころから、「Kの昇天」、「冬の日」、「ある崖上の感情」などもすごく良かった。
    この中で特に好きだったのが「Kの昇天」で、舞台が夜の海という点で惹かれるし、タイトルや読み進めていくと感じるSF感にワクワクも感じた。
    作品中で他の書籍についての言及もあり、それも読んでみたいと感

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    2024年05月11日
  • 檸檬

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    「桜の木の下には」
    桜の木の下には屍体が埋まっている。 という一文から始まり、インパクトを受けた。独特の言い回しが面白く、あっという間に読んでしまった。読み終わった後、何となく伝えたいことは分かるが言語化が出来ない…とモヤモヤしていたので、色々な人の解釈を見てみた。すると「美しさと死は表裏一体」という言葉がものすごくしっくりときた。「檸檬」でも感じたが、梶井さんは美しいものと何かを対比させる話が多いのかな?と感じた。(違っていたらごめんなさい…)このような話は大好きなので、似たような作品を探そうと思う。

    ここからは私が個人的に思ったことであり、考察などでは全くないが、桜と死は何故か深い関

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    2024年05月10日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    青空文庫で初めて読んだときから好きな作品です。乙女の本棚シリーズのこの本は美しい挿絵もあり、絵本のように楽しめました。
    檸檬の瑞々しさ、ひんやりとした温度、爽やかな香りなどが想像できます。
    スーパーで檸檬を見たら、本作品を思い出します。オチも衝撃的です。

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    2024年04月29日
  • 檸檬

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    ミステリアスな雰囲気、鮮やかさ、繊細な美しさを持つ魅力的な一冊。読みながら日本の原風景が連想され穏やかな気持ちになった。

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    2024年02月12日
  • 檸檬

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    最初は詩的な表現に「苦手かも…?」と思いましたが、読むうちに印象は変わってきました。ここまで心情をありありと、こんなふうに表現できるとは。暗い、辛い、やるせないを美化するのではなく、直視しながら生への渇望を見出せるところは、他の退廃的小説と一線を画す作品として読めました。

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    2024年01月21日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    綺麗なイラストが、梶井基次郎先生の文体、作品の世界観に合っていて、何度も何度も読み返していた。
    今回ので3、4回目くらいだろうか。
    何かにつまづいたりしたら、檸檬の奇っ怪な爆弾を弾けさせるのが丁度いい

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    2023年12月28日
  • 檸檬

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    純文学は、それほど得意ではないですが、この作品の魅力はよくわかりました。とにかく、自然の描写が素晴らしいです。それと相反するような、人物の内面の暗さも、妙に共感してしまいます。
    何度も読み返したくなる名作です。

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    2023年10月14日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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     乙女の本棚シリーズから、梶井基次郎さんとげみさんのコラボ作品の「檸檬」です。まずは、いつものように表紙から…なんとも懐かしいようなぬくもりを感じるような、それでいて檸檬の色彩がはっきりしていて、思わずわくわくしてしまいます(^-^)

     肺病を患い、借金もあり友人宅を転々としている主人公の青年…。町を歩きふと手にした檸檬…檸檬によって一時的に鬱々としていた気持ちが晴れたため、丸善に立ち寄ったのだが、またしても心が沈んでいく…。そこで先ほど手に入れた檸檬の存在を思い出す…。

     檸檬爆弾か…手榴弾って檸檬のサイズくらいなのかも!何気にそんなことを感じました。青年の抱える孤独感、疎外感などのマイ

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    2023年07月14日
  • 乙女の本棚4 檸檬

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    ネタバレ

    乙女の本棚シリーズ。
    梶井基次郎の「檸檬」初めて読みました。
    檸檬が爆弾!?文豪ストレイドッグスの梶井基次郎の異能力と同じだ!と思いました。
    げみさんの温かみのあるイラストも素敵です。

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    2023年04月28日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    窓を覗く、檸檬を握る。私も彼と一緒のようなことを人生でやったことがある。でも彼のようには感じなかった。注視すべき一つの体験として自分のなかに刻まれなかった。ここに小説家とそれ以外の人間の差があるのかもしれないなと思った。
     ひんやりとしたのものや清浄なものが熱病に冒されていた彼に与えた安らぎ。幼い頃、喘息を患っていた私にもわかるような気がした。
    また本書とは関係ないのだが、寺田農氏による「檸檬」や「ある崖上の感情」の朗読が素晴らしいので、聞いてみてはいかがだろうか。

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    2022年09月14日
  • Kの昇天(乙女の本棚)

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    Kの昇天について、「私」が「あなた」に、ただ話している。綺麗で幻想的な挿絵と共に唯一無二の日本語で述べられた「私」の語りは、吸い込まれるように美しい。
    ドッペルゲンゲルに魅入られ、影が立ち上がって月へと昇天して行ったKの魂は、飛翔し去る。

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    2022年03月18日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    梶井基次郎という人は、結核という病を得て死について考え考え、考えぬいて生きたんだなというのがよくわかる。
    世間と隔絶されてしまったかのような焦燥感、絶望感、最後は諦念と恐怖のなかにかすかに達観も見られ、どこか救われるような気持ちになったりもした。どれを読んでも胸にせまるものがある。

    読みながら、自分自身の父のこと母のことを思い浮かべてなんともいえない切ない気持ちになった。
    著者はこの文書を書きながら涙を流し、血を吐いているんだなと思った。
    若くして亡くなったことを惜しむ声は多いけど、若くして亡くなることがわかっていたからこそ、ここまでの輝きを放った人だったのではとも思う。

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    2021年12月19日
  • 交尾

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    梶井基次郎の魅力

    梶井基次郎の魅力はなんといっても表現力だと思います。
    景色をそのまま切り取って、無駄な部分を削ぎ落としたような趣があります。
    主人公の主観でありながら、映像の中には主人公が含まれているとでも言いましょうか。
    ストーリーはあってないようなもので、文章の表現力を楽しむ作品かと。

    #深い #ほのぼの #癒やされる

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    2021年08月01日
  • 梶井基次郎全集 全一巻

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    美しい表現や文章に表すことができないような体験を文字として美しく羅列していると思う。
    自分が今まで忘れていたようなことをこの人の文章を読んで思い出したことがある。
    ただしまだまだスムーズに読むことができない話もたくさんあって、全部は読めていない。
    年齢を重ねて、時が来たら読めるようになると思ってそれを待っている。

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    2021年06月27日
  • 桜の樹の下には

    購入済み

    焦燥感と妄想。

    読んでいて焦燥感を感じました。
    理由はわかりませんが、視点主の焦燥感と現実逃避というか、文の内容というよりは書き手の心情が込められている気がします。それだけに、すごく読み応えがあります。
    同じ芸術という意味では絵画に近いような気がします。物語というよりは、美術館で大きな絵を前にしてじっと眺めているような感覚です。

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    2021年04月04日
  • 檸檬

    購入済み

    なんてことない。

    なんてことない一日の中の1シーンを切り取ったような作品です。短いながら、残る余韻は格別。
    ただひたすらに雰囲気が秀逸で、なんだかレモンの香りが嗅ぎたくなります。
    読み終えてとても不思議な気分になりました。
    短いので是非一度。

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    2021年04月04日