梶井基次郎のレビュー一覧
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購入済み
全く時代を感じさせない。
作者梶井基次郎の代表作、あらすじだけを書けば何ていうことはない日常のいちエピソードなのだが、鮮烈な文章によって読者に強くその場面を印象づける。100年近く前の作品なのだが言葉遣いなどに全く時代を感じさせない。丸善は100年にわたって無償で宣伝してもらっているようなものだと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ話が簡潔にまとめられていて読みやすかった。
イラストレーターによる絵が本文のように、繊細で美しく描かれていたため、情景をイメージしやすかった。
近代文学を最後まで読み切ることは、今まで大変だったが、これは短時間で読めるため、シリーズになっている他の本も読んでみたいと思った。
気持ちに余裕がない時、何となく現実逃避したくなったり、妄想が止まらなくなったり…
また現実から引き戻された時の胸が苦しくなる感じが、細かく表現されていた。
画集の上に檸檬を置き、因縁の場所が爆発されるという妄想(?)は、うんざりしている現実が吹き飛んでしまえばいいのにという主人公の思いを表現していてすごいなと思った。
ま -
Posted by ブクログ
ネタバレ病気になると趣が変わることはとても共感できました。
ほんの些細な小さなモノに感動や美しさを感じる事ができるようになること、つまりそれは、それだけ自分も儚く小さな存在になってしまった事を自覚したときではないかと個人的に考察します。それまで好きなものは、自分に自信があるからこそ、まだまだ自分が健在だからこそ扱えるものばかりで、命短くなった今、それらを扱える力がもうなく、むしろ、無機質なモノや儚く綺麗なモノに感動を覚えるようになったと感じました。
追求されたことは「無」。その無の頂点が主人公にとっては爆破であったから、ああいった想像をしたのかもしれないです。
個人的には、額に檸檬をあて檸檬の存在を -
Posted by ブクログ
疲れたぁw「金閣寺/三島由紀夫」が面白かったから苦手意識のあった日本文学、結構楽しめるのかも?!と思ったけど、やっぱり疲れたぁ〜w読後はTHE日本文学の疲れw最後の方はもうセンター試験の英語の長文問題みたいな。全然あたまに内容入ってこねぇ〜w
もうすぐにでもこのミスみたいな作品読みてぇ〜w
と言いつつ、「檸檬」「Kの昇天」「ある崖上の感情」が面白かったです。あと桜の木の下の死体説って本書が元ネタなのね!!なんか感激しちゃうw
ご多分に漏れず、教科書のイメージが強かった本作。全然内容覚えてないけど、なんとなく長編の一部かと思ってたら、この本自体が短編集だったんですね。
当時の社会のかんじが -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ♪
有名だけど読んだ事なかった「檸檬」。
げみさんとのコラボ作品でした。
まず、げみさんのイラストの色使いや雰囲気がとても素敵だった!
どこか懐かしい様な、あたたかい様な。
お話自体はちょっと解釈が難しく感じるとこもあったけど、イラストがすごくマッチしてたのもあって、私なりに理解してこの世界に入り込めたと思う。
得体の知れない不安に苛まれている主人公。
人は心の持ち様で良くも悪くもなるもんだな〜。
もう場所も変わってるけど、京都の丸善本店には何度か行った事があります。
その時、檸檬コーナーには気づかなかったけど(--;)、今度は重い気持ちの時にぜひ立ち寄ってみたい!
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、梶井基次郎さんとしらこさんのコラボ作品「Kの昇天」です。全体的に青を基調としたイラストは、この作品にぴったりです。
私はK君と満月の夜、療養で訪れた地の砂浜で出会った…。K君は自身の影に魅せられていた…。K君が他界したと知ったとき、「K君はとうとう月世界へ行った」と…。直接の死因は溺死だったとしても、月へと昇天したんだと私は語る…。
K君は何を思って月を影を見ていたのかな…。月と影に一筋ならない思いを抱いていたんだろうなって…。私もこんな風に月を見て自身の影に魅せられる日がくるのかもしれない…色々と考えさせられらた1冊になりました。 -
購入済み
相も変らず病んでいる
この人の『檸檬』は傑作だ。紛れもなく傑作だと思う。それは、病み果てた主人公の心理が克明に描写され、絶望的な風景に終始しながらも、彼がすがっているささやかな癒しや明日への希望が、檸檬その他の小道具でもって象徴されているからだ。
が、この作品にはそれがない。代わりに蝿。主人公は自分自身の病いと陰鬱に戯れながら、ますます自分を傷つけて、死に向かって堕ちて行く。その自分が蝿に思える……。これは、何と言うか、ただの甘えである。とうてい『檸檬』には及ぶべくもない。作者の関係者からしたら「折角療養に出してやったのに、歩き回ったり酒飲んだり女郎買いしたり、治る気があるのか!」と言いたくなる事必定であろう。
が