富野由悠季のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原点のアニメ版(映画込み)でも力が入っていた場面だけあって、ことさら原作「富野演出」と作者のスタンスの違いが明確に現れている気がする。
情報量をあえて削って端的に切り取っていた人の情感・心の動きを、安彦版では執拗(すぎるくらい執拗)に追い、時にスピード感を犠牲にする。反対に、対コンスコン隊戦でのガンダムの鬼神のごときヒロイックな活躍は「戦闘の一断面」として割り切られ、より大局的な構図が重視されている。
ブライトの不器用な態度、スレッガーの男気、テム・レイの悲惨さ、ララァの一種理解しがたい魅力、そういったものを丁寧に追う筆致はさすがの一言。
サイド6の偽善的・独善的だが政治的に正しく、住人にとってはたいへん住み良いコロニーという表現は、原作が追いきれなかった説得力を持っていた。
父と子というテーマにこだわる作者が、「アムロが父の呪縛を乗り越えるより先に、父の方から退場してうやむやになってしまった」という流れをほぼそのまま踏襲しているのはなんだか意外だった。「ニュータイプという概念を世代論以上の要素にすべきでない」という作者が、はたしてララァを今後どう描いていくのかは興味深い。