ローレンス・ブロックのレビュー一覧
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[不条理の交差点で]ある出来事が引き金となりアルコールから抜け出せなくなった私立探偵のスカダーは、コールガールから「ヒモとの縁を切りたい」との依頼を受ける。男との話し合いもつつがなく進み、何事もなく幕が引かれると思ったのだが、男とそのコールガールが面会をした翌日、彼女がとあるホテルの一室で惨殺されたという報がスカダーの下に届き…...アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞を1983年に受賞したハードボイルド・ミステリーです。著者は、映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の脚本も手がけているローレンス・ブロック。訳者は、ミステリーの翻訳を主に手がける田口俊樹。
(限りなく良い意味で)小説から漂 -
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ネタバレここまで型を崩さない連作短編も稀。
一分の隙もない着こなし、詩を嗜み、依頼人の無罪を例外なく信じる弁護士エイレングラフ。
報酬は極めて高額、ただしその支払いは依頼人が無罪を手にしたときのみで良い成功報酬型。
ただし、ひとたび合意した後は一見何も貢献していないように見え、結果的に自由を手にした場合でもその支払い義務を負う。
凄腕弁護士なのかと思いきや、法廷に出ることは皆無。
むしろ法廷に出る必要すらないようにことを運ぶ(秘密裏にかつ強引に)当世きってのどす黒悪徳弁護士。
依頼後に訪れる窮地の雲散霧消ぶりに、しばしば依頼人達はあなたが何をやったの?と支払いを拒むが、そんな輩達にはおしおきとばか -
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マット・スカダ―の自伝だ。
えっ・・・あのシリーズものの主人公のマット・スカダ―?
小説の主人公が自伝?
御年84歳になったスカダ―がローレンス・ブロックに促されて書いたんだそうだ。
めちゃくちゃ面白そう、楽しみ
自伝なので幼少期の父親のこと母親のこと、幼くして死んでしまった弟が原因で、家族が少しづつ変わっていったこと。
父の死のこと
少年時代のアルバイトのこと、ニューヨークでの警官時代のこと、実はこの時代のことが多く語られていて、
題名なんかは思い出せないけど、あの話に出てきたことかなとぼんやり思い当たるシーンなど出てくる。
そのあとの結婚、離婚、エレインとの出会い、TJなども出てきて、本 -
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ネタバレ・あらすじ
マーティン・H・エレイングラフ弁護士の弁護人は必ず無罪である。
そんな信念をもったエイレングラフが解決する12個の依頼。
・感想
こんな弁護士やだ!!でも嫌いじゃない…。
約30年にわたって綴られた短編集で、形式はほぼ一緒なので気軽に1日1遍のペースで読み進めた。
前半は好きじゃなかったエイレングラフだけど、後半になるほど彼の意外な一面や人間性も垣間見えて段々彼を面白く感じてる自分がいた。
特に好きだったのはエイレングラフの義務とエイレングラフの肯定。
義務では詩を愛するエイレングラフが、詩人である依頼人のために「諦めないで下さい、何度でも上訴すればいいのです」なんて茶番を演 -
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どんな事件も無実にしちゃう弁護士、まさに犯罪のブラックジャック! #エイレングラフ弁護士の事件簿
■きっと読みたくなるレビュー
弱い者のために正義感たっぷりの弁護士のお話… では、ありません。
むしろ、どう見てもやってるだろという事件を、様々な手段で無実にしちゃうという… その手段は法廷での卓越なる弁護ではなく、裁判にすらならなくなるとい荒業なんです。しかもその報酬は失敗したら一切お金をとらず、成功した場合は莫大な金額というもの。
なんかブラックジャックみたいなトンデモ設定なんですが、これが読んでると面白いんです。
まずこの怪しい弁護士、エイレングラフのキャラ設定がクールなんですよ。ビ -
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ネタバレ絵画をテーマにしているので面白そうだなと思い、リクエストしたら第二弾のこの本が先に来た。
表紙の「光の帝国」が良い。アンソロの中にもあった。
「安全のためのルール」
Remember all the safety rules,1953
Art Frahm (American, 1906–1981)
最初の作品なので、どういう風に話が展開していくのか予想できず、不安定だった。陪審員の予備員になる女性の話。自分のトラウマと現在の事件が重なるが、それは周りからみたら些末なことだと片づけられる話、で良いのだろうか。唐突に終わったので、どう受け止めたらいいのかわからない。
「ピエール、ルシアン、そし -
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アル中文学&ハードボイルドの名品。毎日新聞書評欄で橘玲さんが紹介していた。中島らも「今夜、すべてのバーで」とともに必読だ。
アル中の心理を描く圧巻の描写!
「一日二杯」が適量といっていたのに、さらに飲む「理屈」を考え出す。いつのまにか、抑制しなくていいということになっていく…。そして、「覚えているのはそこまでだった」(p108)
無意味に人が死んでいく。くそったれの街。そして暴言を吐く警官。しかし主人公は思う。「彼はどんな相手にも同じことばを吐きかけただろう。相手がいなければ夜そのものにでも」(p189)
襲ってきた暴漢を倒したが、震えがとまらない。止める方法は、もちろん酒だ。
「通りの -
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ハードボイルド系だと思って敬遠していた作品。これが中々おもしろかった!
主人公はアル中の探偵スカダー。しかし、酒を飲んで立ち回るような豪快な探偵ではない。
アルコール断ちの集会に真面目に参加し、酒を飲みたいという葛藤と常に戦い続けている。
淡々とした渇いた文章、盛り上がりの少ない展開、孤独な私立探偵が主人公…ハードボイルド三拍子が揃っているが、
ハードボイルドの定義が、【暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する】作品であり、【感情に動かされないクールな生き方】を指すものなのだとすれば、本作はハードボイルドではないのだろう。
スカダーはまだ、暴力と無意味な死が溢 -
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自分は「54字美術館」というものをインスタグラムにあげています。
訪れた美術館の展示で惹かれた絵画に自分の妄想を足して、54字の物語として作品発表しているのです。
それに通ずるものをこの本に感じたのがこの本を手にしたきっかけでした。
序文も読まずに目次で目についた『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』を読み始めましたが、題材はなんと大好きなゴッホ。
文中の言葉を借りると「喚起的な絵」として著者のデイヴィッド・マレルは《糸杉》を選び、紡いだ物語を自分は一番興味深く読むことができました。
主人公の友人がファン・ドールン(物語内のゴッホの仮名)の研究に没頭する余り、その友人はどんどんおかしくなって…と -