あらすじ
エラリイ・クイーンも太鼓判!
ミステリー史上最高で最凶の弁護士マーティン・エイレングラフ登場!
不敗の弁護士エイレングラフは言う、
「私の報酬は法外ですが、有罪になったら一銭も支払わなくて結構。でもあなたが無罪放免となったなら、もし私が何もしなかったように見えても、必ず報酬を支払っていただきます」
そして依頼人は 必 ず 、無罪となる。たとえ真犯人であっても!
エラリイ・クイーンが大いに気に入って雑誌に掲載した第一作「エイレングラフの弁護」から38年。アメリカン・ミステリーの巨匠ブロック(『八百万の死にざま』『殺し屋』)がじっくり書き継いだシリーズ短編を完全収録。本邦初訳の作品もふくむ全12編。これぞ珠玉。ブラック・ユーモアとヒネリとキレが絶妙にブレンドされた短編ミステリー集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『私の依頼人はいつでも無実なんですよ』法外な弁護料をとるが、常に裁判になる前に留置所から釈放される殺人事件の犯人たち。エイレングラフの実は…な種明かしがノアールを通り越してヤバすぎる。12話の短編だが、釈放に至る様々な手段で飽きさせない。
Posted by ブクログ
弁護士のエイレングラフは依頼人が有罪になれば弁護料を受け取らず、無罪になれば法外な成功報酬を受け取る。そして裁判になる前に依頼人の疑いを晴らす。依頼人が来たら「あなたは無罪です」と言い本当にその通りになる。その裏に何があるのか。一編30ページにも満たないし全編同じ型をしているけれど、中身のバリエーションが豊富で飽きさせない。何よりエイレングラフの悪徳さが読んでいて心地いいほど。冒頭の一編を読めばすぐに心を掴まれてしまう傑作集。
Posted by ブクログ
ここまで型を崩さない連作短編も稀。
一分の隙もない着こなし、詩を嗜み、依頼人の無罪を例外なく信じる弁護士エイレングラフ。
報酬は極めて高額、ただしその支払いは依頼人が無罪を手にしたときのみで良い成功報酬型。
ただし、ひとたび合意した後は一見何も貢献していないように見え、結果的に自由を手にした場合でもその支払い義務を負う。
凄腕弁護士なのかと思いきや、法廷に出ることは皆無。
むしろ法廷に出る必要すらないようにことを運ぶ(秘密裏にかつ強引に)当世きってのどす黒悪徳弁護士。
依頼後に訪れる窮地の雲散霧消ぶりに、しばしば依頼人達はあなたが何をやったの?と支払いを拒むが、そんな輩達にはおしおきとばかりの展開が。
ちょっとずつ足し引きはあるものの、もう嘘だろと思うくらいワンパターンの繰り返し。
でも何故か楽しめてしまう不思議。
半分を過ぎて思った、これは水戸黄門やドラえもんの類だと。
やってることはだいぶノワールなのだが、崩れない物腰、直接的な記述の排除、反復の妙により、エイレングラフ像が徐々に確実に補強され、いつしかどこかお茶目さすら感じてくる。
解説、松恋さん。
クレイグ・ライス、コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)の絶筆をローレンス・ブロックがゴーストライトしたなんて逸話も披露されていて驚き。
全然文体違うのに。
このミス2025年度版海外編6位。
Posted by ブクログ
・あらすじ
マーティン・H・エレイングラフ弁護士の弁護人は必ず無罪である。
そんな信念をもったエイレングラフが解決する12個の依頼。
・感想
こんな弁護士やだ!!でも嫌いじゃない…。
約30年にわたって綴られた短編集で、形式はほぼ一緒なので気軽に1日1遍のペースで読み進めた。
前半は好きじゃなかったエイレングラフだけど、後半になるほど彼の意外な一面や人間性も垣間見えて段々彼を面白く感じてる自分がいた。
特に好きだったのはエイレングラフの義務とエイレングラフの肯定。
義務では詩を愛するエイレングラフが、詩人である依頼人のために「諦めないで下さい、何度でも上訴すればいいのです」なんて茶番を演じてるの笑ったw
肯定はちょっとだけエイレングラフの人間味を感じられて良かった。
「私がやったんです」「いえあなたは無実です、なぜならこのエイレングラフの依頼人だから」
Posted by ブクログ
どんな事件も無実にしちゃう弁護士、まさに犯罪のブラックジャック! #エイレングラフ弁護士の事件簿
■きっと読みたくなるレビュー
弱い者のために正義感たっぷりの弁護士のお話… では、ありません。
むしろ、どう見てもやってるだろという事件を、様々な手段で無実にしちゃうという… その手段は法廷での卓越なる弁護ではなく、裁判にすらならなくなるとい荒業なんです。しかもその報酬は失敗したら一切お金をとらず、成功した場合は莫大な金額というもの。
なんかブラックジャックみたいなトンデモ設定なんですが、これが読んでると面白いんです。
まずこの怪しい弁護士、エイレングラフのキャラ設定がクールなんですよ。ビシっとスーツを決めたベジタリアンで、いつも詩集を読んでいる。重要な仕事の時はお気に入りのネクタイを締めて挑む。報酬は成功した場合のみ受け取り、どんなことがあっても成功に導くという… まるでやり手のビジネスマンみたい。
「実は本当にやってるんです…」 「そうですか、無実ですから安心してください」
「彼に会ったことはあるんですか?」 「ありませんが無実です。なぜなら私の依頼人だからです」
はぁ?! 怖いわ! この発想が怖い!
しかも本当に無実になってしまう(というかしてしまう)ところが恐ろしい。
全部で12編もあるんですが、依頼人や事件関係者が様々で興味深いんですよ。解決へのアプローチも色々あって、たしかにどんな場合でも無実にしてしまうという。よくもまあこんなにも皮肉めいたストーリーやプロットを考えたよ。
しかも本作はエイレングラフ弁護士と依頼人の会話のみで進行していくんです。会話だけっていうところがニクイんすよね、背後でどんなことが行われたかっていう描写はほとんどありません。どんなことをやって無実に導いたかは会話から想像するしかないんですが、このゾワゾワ感がたまんないすよ。
なお長期にわたって書かれたおまとめ短編集とのことで、ストーリーが進むにつれて徐々にエイレングラフの人間性に厚みが出てくる。「エイレングラフの肯定」「エイレングラフの決着」などでは、若干の優しさがしみ出していてエモさもあり完成度が高いですね。
一気に読まなくてもいいので、時間があるときに少しずつ読むのもおすすめです。おもしろかった~
■ぜっさん推しポイント
依頼人にとっては終身刑をも背負った死活問題にも関わらず、エイレングラフのカラリとした発言が面白過ぎんのよ。自信たっぷりなんだけど、何故か憎めないですよね。
また成功後に依頼人が報酬金額をゴネるんですが、それを華麗にいなすやりとりもニヤニヤしちゃう。気品あふれるブラックユーモアたっぷりでした。
Posted by ブクログ
知り合いから勧められて読んでみた。ほとんど裁判に出席しない特殊な仕事をしている弁護士の事件簿。どの短編も切れ味が鋭かった。あえて同じパターンにこだわって書かれていることもあり、終盤は少し飽きそうになってしまった。(この粋さを楽しみきれなかったといった方が正確か)
Posted by ブクログ
依頼、業態の説明、エイレングラフの力技(金の力など)による勝利、という水戸黄門のように紋切り型の展開を繰り返す様式美の短編集。エイレングラフが強引に(捏造、買収、なんでもありでむしろ作中一番の悪では)勝利をもぎ取り成功するし、まあまあ俗物で依頼人が美女だとすぐフィジカルな関係になったりするの、やりすぎてていっそ清々しかった。外見にコンプレックスがあるからお洒落に心血注いでるのかな?なんだかかわいい(笑)
1篇が数ページなので隙間時間に読むのにちょうど良かった。
Posted by ブクログ
最初は面白いと思ったんだけど、だんだんウンザリしてきました。時々、雑誌で読む分にはいいけど、続けて読むとそうなってしますね。パターンがある程度見えてしまうので。あと、私は短篇がダメなのかも。
Posted by ブクログ
弁護士エイレングラフが主人公の12件の事件を扱った連作短編ミステリー。法外な報酬でどんな被告人も無罪にしてみせる凄腕の弁護士、とは言え法廷に持ち込む前に無罪釈放を勝ち取る。どんなやり方も辞さない超ブラッキーな方法で。けしからんと言うべきなんだろうけど、あまりに馬鹿馬鹿しくて虚脱するしかなかった。
Posted by ブクログ
毎年のミステリランキングに能く見られる事ですが、内容の良し悪しよりも「今まで散逸していた作品群が一冊に纏められて読める」事に対し、票が集まったような気がしました
Posted by ブクログ
エイレングラフ弁護士に依頼すれば、たとえ依頼人が殺人事件の真犯人だったとしても無罪になる…という凄腕悪辣弁護士が主人公の短編集。
謎解きミステリではなく犯罪小説か。
短編が12話収められているが、どれも展開が大筋では似ているので、個人的には中盤からは少々食傷気味。
Posted by ブクログ
CL 2024.12.12-2024.12.14
どんな依頼人でも必ず無実にしてみせる、なんとも危険な弁護士エイレングラフ。
どうやって?そのためには手段を選ばないのです。ほんとに、ほんとに選ばない。
12篇の短編集で、ひとつ一つの事件を深く掘り下げないところがまたいい。
久しぶりのローレンス•ブロック、楽しめました。
Posted by ブクログ
エイレングラフに依頼したらどんな人でも無罪。
この文章の通り。具体的に何をしてくれたのかはよくわからないけど、高額の報酬と引き換えに例え殺人犯だろうと必ず全員無罪になる。
そこを楽しめるかどうかで作品の評価が変わる。
正直自分は絶対犯人だし無実の別の人が犯人の身代わりになったのかもと思い、もやもやして仕方ない。
ただ作者はすごいなあとは思った。