岡本綺堂のレビュー一覧

  • 半七捕物帳 巻の六

    Posted by ブクログ

    (全巻合わせた感想)
    ともかく面白かった。ストーリは単純で強引な推理と捕物ではあるが、それよりも何よりも江戸の描写が活き活きと表現され、江戸を生きていた人達と身近に接した時代の人でなければ書けない本だと感嘆する。

    江戸時代の情景が浮かんでその世界にどっぷりと浸り酔いしれるという読書は初めてで充分堪能できた。更にこの本は文末にその話に関係する地図(昭和初期の地図に江戸の図割を追加したもの)があり、挿入画も江戸時代の物を書き起こしたものである。

    描写例
    「卯の花くだしの雨が三日も四日も降りつづいて」
    「八百屋にも薄や枝豆がたくさん積んであった」
    「あしたが池上のお会式(えしき)という日の朝」

    0
    2012年02月15日
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

    Posted by ブクログ

    本は二部構成になっていて、第一部が「青蛙堂鬼談」全12話。
    百物語の会で、参加者が次々に怪談・奇談を語ってゆく、
    という趣向。
    養父と成長した養女が妻の死後に夫婦同然の関係になるのだが、
    その娘が刀に付いた血を舐めたがるという「一本足の女」が
    一番ゾゾッと来ました(^_^;)。
    第ニ部は独立した短編が並んでいるのだが、
    第一部に倣って「●●君は語る」といって始まる話ばかり
    集められていて、やっぱり百物語のスタイルを踏襲している。
    これは編者のアイディアですね。上手い。
    それにしても文体が滑らかで非常に美しい。
    上品です。
    だからどんなに不気味な話でも後味が悪くない。
    読者を強引に怖がらせるよう

    0
    2018年07月27日
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

    Posted by ブクログ

    レビュー:

    岡本綺堂、と言っても最近は知らない方が多いだろう。岡っ引の回想録という形での推理小説「半七捕物帳」や歌舞伎の劇作、そして卓越した英語力(父が英国公使)でディケンズやデフォーの怪奇小説の翻訳、とその精力的な創作力にはただただ圧倒。又、明治の文人でありながら江戸情緒に並々ならぬ愛情と造詣が深く世相を織り込んだ随筆も、これまた素晴らしい出来だ。(勿論、筆致はすべて静謐として味わい深いし。)しかし、やはりオイラは先生の「怪談」が好きだ。今はホラーブームで、映画から小説から漫画から…とかく「恐怖」を描きたがる。しかし、この綺堂先生の「怪談」は田舎のほの暗い日本間の隅に何かがいるようなどこか

    0
    2009年10月07日
  • 岡本綺堂 怪談選集(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    「想像力が乏しい読み手」なので怖さはわからないんだけど、美しさはわかる。
    静かに美しい。
    選集だから当然だけど欠けている分を読みたい。元の本で読みたい。

    0
    2009年10月14日
  • 岡本綺堂 怪談選集(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    秋来ぬと…、などと感じた今日なのに、「夏に読みたい珠玉の13篇」なんてものを見つけちゃった。見つけちゃったものはしかたない、今晩読んでしまおう。私の「好きなタイプ」の怪談ばかり。

    0
    2011年07月19日
  • 旅情夢譚

    Posted by ブクログ

    収録作品は、山椒の魚/剣魚/医師の家/ぬけ毛/椰子の実/狸の皮/娘義太夫/狸尼/蛔虫/河鹿/父の怪談/山の秘密/五色蟹。探偵要素のある短編を集めたもので、探偵夜話から8編を採っている。

    0
    2025年09月04日
  • 旅情夢譚

    Posted by ブクログ

     もうちょっと本書の成り立ちを解説かなにかではっきりさせてほしかった。オビに書かれた文句や、巻末の「定本一覧」をみる限り、たぶん一九二〇年刊の『慈悲心鳥』に収録された短編と、そののちに発表された短編とを再編集して、この書名で光文社時代小説文庫から改めて出しました、ということなんだと思う。内容は、刊行当時か、ちょっと昔(幕末から明治にかけて)に起こった殺人事件を、怪奇小説風に書いたものが多い。謎解きといっても、ほぼ物の怪の仕業であることがわかって物語は終わる。書かれた時代が時代なのでしょうがないけれど、様々な種類の差別の詰め合わせのような短編集でもあり、これが好き! という感想を書くのはちょっと

    0
    2025年02月19日
  • 異妖新篇 岡本綺堂読物集六

    Posted by ブクログ

     原著1933(昭和8)年刊行。
    『近代異妖編』(1932)の続編で、この前作がどうも平凡な昔話の類のように思えてつまらなかったのだが、続編の本作はぐっと面白かった。まあ、古い怪奇小説として楽しめるレベルだった。
     岡本綺堂はまあまあ、楽しめる作家だ。

    0
    2024年12月01日
  • 三浦老人昔話 岡本綺堂読物集一

    Posted by ブクログ

    さて、僕の大好きな作家「岡本綺堂」の作品だ。
    綺堂と言えば「半七捕物帳」東洋のシャーロックホームズと呼ばれだが、確かに本格推理も有るが、比較的に謎解きそのものは安易なものが多い。それでも、怪談風味・サスペンス・ミステリーなど作風が色々あり、飽きさせない。
    また、すっきりした文章が特徴で読後感も、爽やかで、読んでも読んでも飽きが来ない。
    そんな半七の知人である三浦老人の昔話。
    面白く無い理由が無い。ちなみに捕物帳とは、また別な話。
    中央公論社より岡本綺堂読物集の1巻として出版された読物集が全部で7巻、これからが楽しみだ。
    ただ残念なのは、「半七捕物帳」は光文社文庫から全巻出版されているが、当時の

    0
    2024年11月21日
  • 青蛙堂鬼談

    購入済み

    得意の怪談モノ

    半七捕物帳で有名な著者であるが、この作品のような怪談ものがより一層得意なような気がする。多くの人が一堂に会して一話づつ話をするという百物語形式をとっているせいで、リアルさが出ている。いずれの話もなかなかのものであるが、私は中国物が好きである。怪談ものと言っても、人の情念 恨みつらみよりは、人外の怪異を描いたものが多いので読後感はスッキリとしている。

    0
    2024年10月01日
  • 白髪鬼

    購入済み

    本当に怖い話は日常の生活の中に

    「本当に怖い話は日常の生活の中にある」と言われるが、その法則が典型的に当てはまりそうな作品である。ごく普通の勉学生活から徐々に高まる違和感、終盤の盛り上がりとオチ。なかなか見事である。回収していない伏線があるのだが、意図的なものかな。ただ題名が江戸川乱歩みたいでおどろおどろしく、作品内容を表していない。

    0
    2024年10月01日
  • 三浦老人昔話

    購入済み

    100年近くも前の作品なのに

    岡本綺堂のやや怪奇味を帯びた作品が入っている短編集である。明治初期から中期に幕末頃の話を聞きがたりする という体裁を取っているため、幕末と明治初中期の風俗をともに知ることができる。驚いたのは100年近くも前の作品なのに、江戸言葉のテンポの良い語り口で、さして引っかるところもなくスラスラと読めることである。短編集にありがちの、話を無理やり面白くしようと、オチの部分を作り込むこともなく自然体の語り口であるところもよい。

    0
    2024年04月03日
  • サンカの民を追って

    Posted by ブクログ

    様々な角度から描かれる漂流の民、山窩。古いものから新しいものへ変わる時代の中で、何か大切なものを置いてきたような感覚にさせられる。

    0
    2024年01月28日
  • 青蛙堂鬼談 岡本綺堂読物集二

    Posted by ブクログ

    古典的な怪談たる怪談。
    派手さはないが、妖しい雰囲気と語り口の品の良さが心地良い。
    ただ、折角百物語調の導入をつけているのだから、何か全体でのオチが欲しかった。

    0
    2023年09月05日
  • 半七捕物帳―江戸探偵怪異譚―(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    「雪達磨」「お文の魂」「山祝いの夜」「筆屋の娘」
    「勘平の死」「槍突き」「少年少女の死」「津の国屋」の
    八篇。
    時代ものを書くときは、仕事の前に必ず『半七』を読むといった宮部みゆきの編である。
    文政6年(1823年)生まれの江戸の岡っ引き半七。
    明治時代の新聞記者の「わたし」が半七老人に話聞きだすという構成。

    0
    2023年08月20日
  • 半七捕物帳―江戸探偵怪異譚―(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    事件の中身も動機もお縄になった犯人たちの末路も陰惨ながら、語り口や半七親分のさっぱりとした気質や描かれる江戸の風俗の洒落た感じから、古さに新鮮さが乗っかり小気味良い読書体験ができた。

    0
    2023年07月08日
  • 近代異妖篇 岡本綺堂読物集三

    Posted by ブクログ

    文明開花の世の中、その影、人たちが古い因習に引きづられながら新しい世を戸惑いながら迎えている心情が伝わってきて、当時の人の心が伝わる。

    0
    2023年07月05日
  • 近代異妖篇 岡本綺堂読物集三

    Posted by ブクログ

    幕末、明治、関東大震災直後…時代の空気が濃い怪談集。
    こういうのがいいんだよなぁ…。
    中央西線から長野へむかう旅行の途中で読んでいたけれど、奈良井のあたりを通った時に、ちょうど奈良井を舞台にした話にさしかかっていた。
    それを含めていい読書体験。

    0
    2023年01月17日
  • お住の霊

    Posted by ブクログ

    今年生誕150周年を迎える綺堂のアンソロジー。
    今回、初復刻となる「五人の話」は、あの話やこの話の原形だったんだな~、と。この話のこのネタをベースにアレンジを加えてのちの作品としてブラッシュアップされたんだなって気配が感じられて興味深い作品群でしたね。
    上記に加えて、戯曲、随筆、年譜と内容充実。
    綺堂の随筆は芸談系のネタだとあまり綺堂本人の姿が見えてこないものが多い印象なのですが、本書収録の怪談がらみの話になると、綺堂自身が見えてこれまた楽しく堪能。
    詳細な年譜も良かった。しょっちゅう風邪と中耳炎で体調を崩しつつも、ずっと芝居を書き続けてたんだなぁと感嘆。

    0
    2022年07月19日
  • 月の夜がたり

    匿名

    購入済み

    落語家が空き家を探すあいだに遭遇したおばあさん。初めて出てきたシチュエーションではすわ、のっぺらぼうかと身構えてしまったが、なんのことはなかった。

    0
    2022年09月28日