あらすじ
近代日本文学がテーマとした幻の漂泊民サンカをテーマとする小説のアンソロジー。田山花袋「帰国」、小栗風葉「世間師」、岡本綺堂「山の秘密」など珍しい珠玉の傑作十篇。
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Posted by ブクログ
「山窩」と呼ばれているが単なる名称に過ぎない。
山窩じゃない人々がつけただけの名前。
昭和30年頃に姿を消した実際に日本の山に住んでいた漂流の民。
そんな山窩の話をまとめた短編集。
ある時は非民賎民と呼ばれ蔑まれながら
そしてまたある時は日本古来の自由の民だ、原日本の末裔だと呼ばれているが
実際どうだったのか等全ては闇の中。
独自の言語を使い、自ら採ったものや作ったものを
里や村の人と物々交換で暮らし、各山々を転々と暮らす。
家系図なんてない、山窩の人口が何人くらいだったのかも分からない。
もちろん皆が全て良い人かと言われれば
そうではないというのも当たり前だと思う
そしてこの本、描写がとてもリアル。
この世の中、数ある信仰や宗教・考え方価値観があるのなら
山窩は普通に日本の山々にいたのだろう、そして普通に山窩は山窩の暮らしがあり
里には里、都会には都会の暮らし方があると思った方が自然なのではないか。
今では一切タブーになっている差別用語も沢山掲載されているのも良かった
山窩の存在自体、嘘だ出鱈目だという意見もあるようだけど
わたしはそうは思わないし、そうであって欲しくはないと思う。