【感想・ネタバレ】三浦老人昔話 岡本綺堂読物集一のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年06月04日

岡本綺堂「三浦老人昔話」は捕物帳の話をしてくれる半七老人の友人、大久保に住む三浦老人が語る昔あった話。今の世の中は新しい話ばかりが溢れている。昔の面白い話を老人から聞くようなことも無くなってしまった。ネット登場以降でほぼ全滅である。明治の頃に老人から聞く話は江戸期のこと。半七捕物帳で語られるミステリ...続きを読むでもなく青蛙堂鬼談で語られる怪談話とも違う、それ以外の因縁話や人情話、ちょっとしたエピソードである。武家の奥様がご贔屓の女形役者を内密で下屋敷に招くが恐ろしいことに…「下屋敷」。江戸時代の藩主や旗本の家は家族の住む上屋敷、隠居などが住む中屋敷、蔵屋敷とも言われ荷物を置くための下屋敷に分かれる。「むかしの大名や旗本の下屋敷には色々の秘密がありましたよ」旗本大久保家の小石川巣鴨町にある下屋敷での話。怖い、怖い!更に、狂気なのか祟りなのか本所の置いてけ堀の因縁話「置いてけ堀」、母の病を治す人参を買うために身売りした姉、しかし母の命は助からず、そのうえ姉も失った弟の怒りが暴走する「人参」など。こうした話を年長者から聞くこと自体が昔話になりつつある。更に今のおじいちゃんが話す昔の話が世代的にバブルの話ではあまりに軽い。

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Posted by ブクログ 2020年01月23日

ふとしたきっかけで陥ってしまう狂気と、それに巻き込まれる理不尽。とても異様に思えるのに、それを自然に描いてしまうとこが怖いのですが、そういうものに自分が行き合ったら普通の反応しちゃうのものなのか。

時代小説って…宮部みゆきかしゃばけか壬生義士伝しか読んだことないと思うのですが…武士と町人の普段のく...続きを読むらしの中の境界やら折り合いの難しさが実際的とゆーか身につまされるとゆうか。あちゃー、と言いたくなるとゆうか…武士って大変なんだなぁ。

春色梅ごよみ。
同情の涙でした…お近さん、かわいそーで。今ならさしずめ運動部に青春かけてた子が、引退してこれまでと違う友達からやおいの世界を知り自分でも書き始め受験に差し障りが…てなくらいでしょうが、江戸時代の武士の家だったばっかりに…涙。現代日本ってほんと素晴らしいですね。
きっと今の日本のこの溢れ返りっぷりは、過去涙を飲んできた人々の上にたっているんだろなぁ、ととおいめ。かくいう自分も、きっとかつては地方の農民で活字に飢えてた口だと思ってます。

下屋敷。
事件は上屋敷で起こってんじゃねぇ、下屋敷で起こってんだ、ばりな。いや、まじでその役者どうなったのか。出してくれたよね。

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Posted by ブクログ 2014年02月18日

明治の半ばに著者と知り合った三浦老人が、江戸末期の昔話を語る、という設定。三浦老人は半七捕物帳の主人公である半七老人の友人で、半七より更に年上。家主をしていた。怪談、不思議譚、哀話が語られる。身分制の不条理にまつわる話はいたたまれない。断ち切られたような結末にリアリティを感じる。三浦老人昔話に加えて...続きを読む、2つの小篇が収録されている。本版は旧仮名遣いだが、読みにくさは感じない。

収録作品は三浦老人昔話として、桐畑の太夫、鎧櫃の血、人参、置いてけ堀、落城の譜、権十郎の芝居、春色梅ごよみ、旗本の師匠、刺青の話、雷見舞、下屋敷、矢がすり。小篇は、黄八丈の小袖、赤膏薬。

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Posted by ブクログ 2012年08月03日

下屋敷の、結局どうしてどうなったのかわからないのが良い。

踊り字そのままの歴史的かなづかいなのにするする読める。表紙口絵がまた良い。
デザインはミルキィ・イソベ、口絵は山本タカトだそうで。

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Posted by ブクログ 2018年03月07日

岡っ引き半七の友人である三浦老人から聞いた奇譚、という設定に痺れますね。プラトン社の雑誌『苦楽』に載った12篇は、半七はもう書きたくないと断って書いたネタだけあって人情話ではおさまらない、怪談、因縁、悲話などいろんな話が盛り込まれててそれぞれ面白い。
もちろん三浦老人が現役の頃の思い出話を語るので、...続きを読む描かれるのは江戸。この話が語られた明治の風景と、話の中に描かれる江戸の風景の対比もこれまた良い。
付録の2篇「黄八丈の小袖」「赤膏薬」も面白かった。ままならない所が良い。

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