岡本綺堂のレビュー一覧
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一見怪奇な事件に思えるけれど、それなりの理屈を付ければきちんと解決のできる、しかしやはり奇妙な読み心地の物語を集めた短篇集。どれもが奇妙で不気味で、そして魅力的です。
お気に入りは「椰子の実」。シンガポールで起こった奇妙な事件の物語。ミステリとして考えられそうだけれどまったくもってどういうことなのか、と思いきや、真相がわかってみると案外と単純で納得なんだよなあ。しかしただただ不運というか、やりきれない哀切さも印象的です。
「有喜世新聞の話」も面白いなあ。入り組んだ男女の関係から発生してしまった事件の真相。それははっきりと解き明かされないままに終わるものの、だからこそ印象的な気がしました。
「剣 -
Posted by ブクログ
ふとしたきっかけで陥ってしまう狂気と、それに巻き込まれる理不尽。とても異様に思えるのに、それを自然に描いてしまうとこが怖いのですが、そういうものに自分が行き合ったら普通の反応しちゃうのものなのか。
時代小説って…宮部みゆきかしゃばけか壬生義士伝しか読んだことないと思うのですが…武士と町人の普段のくらしの中の境界やら折り合いの難しさが実際的とゆーか身につまされるとゆうか。あちゃー、と言いたくなるとゆうか…武士って大変なんだなぁ。
春色梅ごよみ。
同情の涙でした…お近さん、かわいそーで。今ならさしずめ運動部に青春かけてた子が、引退してこれまでと違う友達からやおいの世界を知り自分でも書き始め受験 -
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「鬼談」や「奇談」を集めた短編集。当然カテゴライズするならそのどれもが「怪談」にはなるのですが。恐ろしく感じるもの、少し不思議に思うもの、様々です。
お気に入りは「水鬼」。因縁の物語もさながら、絡みつく幽霊藻のビジュアルがイメージとして思い浮かぶと、美しく感じると同時にぞっとさせられます。そして呪いだの祟りだのが本当に存在したのか、それとも病んだ神経の生み出したものだったのか、という部分も考えれば考えるほどに恐ろしくって。
「木曾の旅人」「影を踏まれた女」「指輪一つ」は再読だけれど、こういうのって再読の方がじわじわ来るかも。再読だから知っているんだけれど……ぞくぞく来るなあ。 -
購入済み
結構はまる
1話の長さがちょうどよく、内容もあまり入り込んでなくて、感の悪い私でも楽しく推理して、昼休みのちょっとした時間でもたのしみにして読んでいます。 -
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズもそうですが。
原初、オリジナル、先駆者、パイオニア…そう言った作品に独特の、風格というか、大人の雰囲気っていうのがあります。
細かい、飽きさせない芸とか、どぎついツカミとか、引っ張りとか、業界ものみたいな詳しさとか、そういうことではなくって。
実に堂々とゆったりと。そして、その舞台の街の息遣いが聞こえてくるような、ハっとするような瑞々しさ。
半七捕物帳。岡本綺堂。恥ずかしながら初めてでした。
「面白いよ」と、前々から聞いていて。
渋好み、歴史時代小説通、近代日本文学好き、読書マニア…そんな人たちから、評判は聞いたり読んだり。
電子書籍になってるので、ふと読んでみまし