村木嵐のレビュー一覧
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老中後の田沼意次の物語
一説によれば、江戸時代日本の海外貿易はほぼ赤字で、唯一黒字だったのが田沼の時代、だったとか。
吉宗の時代に始まったものがあるが、田沼時代に継承したモノ、さらに推し進めたものもある
この本は小説なのでさすがに全部真実だとは思わないが、史料に残る田沼意次の周囲をおもんばかる人柄は伝わってきた。
干拓と蝦夷地開拓はとても二、三年で終わるような事業ではないのだが、どこかで始めないと永遠に終わらない。
今の体制ではすぐに限界がくることをわかっていたから急ぎたかった、しかし不運だった。
田沼意次のような生い立ちで、このような先見性や経済への明るさをどこで身につけたのか、気になって仕方がない。 -
購入済み
色々な味わい
7人の作者による7本の短編集。いずれも不利な情勢から逆転した戦い、しかもそれほど有名でない戦い という共通点を持たせている。どの作者もそれなりに良い味を出しているが、私はいくらか滑稽味を帯びた岩井三四二の作品が一番のお気に入りである。
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ネタバレ江戸時代家綱-綱吉将軍時代に起こった高田騒動を小栗美作を主人公に書かれた小説。筆者は司馬遼太郎のもとに修行しており、現在も奥様の秘書をされているそう(あとがきより)
酒井雅楽頭は切れ者曲者のイメージが強かったが、高田藩には特別配慮している、融通のきくお偉いさんという感じ。
美作は藩政に辣腕を奮い、地震後の立て直しや石高を増やすなどの能力の凄さはわかったが、そこに至るまでの思考や個人の魅力をもう少し厚みを持たせて描かれてもよかったのではないかと思う。
河村瑞賢を招いたシーンはよかった。
途中「この会話文は誰の言葉?」と思う部分があったり「ページ脱落してる?」と思うように飛躍する部分があったように思う。(読解力不足かもしれないが...)
後半、「女の寝姿のような赤松」という表現が多々出てくるが小説全般への象徴という印象もなく、違和感があった。
小説によって越後騒動の流れを楽しく学べた。 -
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中学校の日本史は江戸幕府が出来たところで年度末。
高校では世界史と地理を選択したので、
私が一番日本史を勉強したのは、
半世紀近く前の中学受験の時。
もはや時代背景とかよく分からないから、
異世界ものとたいして変わらん。
そんな私でも、元の田沼の濁り恋しき、の狂歌ぐらいは知っていた。
視座を変えると人物の魅力や評価も変わるものだなあと筆力に感嘆している。
登場人物の名前が覚えられないから、
韓国の翻訳ものが苦手なんだけど、
この時代も親子きょうだいで同じ漢字使ってあったりして混乱する、というのが新たな発見。
時代や、男親女親の違いはあるのかも、だけど、
子供を亡くして、悔いがない、だなんて、
どう考えても言える気がしない。
どんな状態でもいいから、親より一日でも長生きしてほしい。病気の場合は苦しめたくないけど、事故とか受け入れられる気がしない。
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まいまいつぶろとはカタツムリのこと。徳川幕府の第九代将軍徳川家重は出生時の難産のため、脳性麻痺があり手足の麻痺や言語、排泄などの障害があったようです。そのため、家重の通った後はカタツムリの如く濡れた跡がついていたということです。言葉も聞き取れぬ故に意思の疎通もままならない現状でした。八代将軍吉宗の次期の将軍を継ぐ立場にいながら、その障害故に廃嫡も囁かれる始末。弟の宗武を推す幕閣もいる中で、14歳になった家重の前にその言葉を理解する者が現れます。後の大岡忠光、当時16歳の若者でした。大岡忠相の親戚筋に当たるこの若者に、忠相はこう伝えてます。「(家重)目や耳になってはならぬ。御口代わりだけを務めよ」小姓になった者がその分を超え幕閣をないがしろにする政治が続いてきたため、吉宗の代になり御用人を置くことを止めていました。
聡明な頭脳を持ちながら、その障害ゆえに誰にも理解されず、孤独を抱えていた家重の前に現れたこの若者は、その後一生涯を掛けて将軍家重を支えていきます。ややもすると、将軍職の権利を利用しかねない立場にいながら常に控えめで献身的な態度を貫きます。
主従関係とはいえ、年の近いこの二人の様子はあたかも友人関係のようで、微笑ましくもありました。 -
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ネタバレ田沼意次を描いた歴史小説。
「まいまいつぶろ」の続編的世界観で、家重や大岡忠光の回想が懐かしかったです。
自分にとって田沼意次のイメージが変わったのは山本周五郎の「栄花物語」で、その次にはみなもと太郎の「風雲児たち」です。
これらと比較して本作は家重との約束や幕閣内での話が中心で、政治家小説として面白かったです。
大河ドラマの「べらぼう」と違って市井の人物の平賀源内や蔦屋との関係が全くないのも硬派っぽい感じです。
とはいっても四方赤良や工藤平助などの文化人の名前が出てくると嬉しかったりしましたし、同じ登場人物はどらまの役者のイメージで読んでしまいました。
蝦夷見分隊についてもページを割かれていましたが、西條奈加の「六つの村を越えて髭をなびかせる者」ほどは詳しくなく、最上徳内についても記述がないのも残念でした。