村木嵐のレビュー一覧
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ネタバレえ。これは鳥の言葉が分かるでお馴染みの鈴木俊貴先生ではないですか!
が、冒頭の感想(笑)
おかげで忠光は終始鈴木先生で脳内再生されてました。
それにしても初志貫徹をここまで貫けるかと唸る。
家重と忠光。何とも魅力的なバディで、この二人の信頼の深さはとても美しいが、同時にどれだけの苦しみを乗り越えて来たかという証と思うと、安々と真似できるものではないと感じ入る。
その反面、家族の乾いたような寂しさが切なかった。子供なら尚更。父親の凄さを信じられないのも仕方ない。
だが、田沼が忠光を一目置いていたという話は大人になった息子にとって何より心強い言葉であったろうと思う。
田沼を使った最後のオチがまた -
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家康祖父の代から仕えた譜代の家臣鳥居忠吉•元忠父子が、家康を支え天下人になるのを見届ける物語。特に、祖父徳川清康•父元康は惨殺、更には継嗣の家康が遠江や尾張の人質になるなど、困難にぶつかる度に忠吉は空を見上げ雲間に無数の松平家の旗印が立つ日の本一の万軍の幻が見えると言って周りの家臣に夢を与える。その子元忠は関ヶ原の戦いにおいて伏見城に籠城して捨て石となり時間稼ぎをして勝利に貢献し、忠吉の夢が叶う。
その戦いの直前に交わした家康・元忠主従の遣り取りは、グッときて感慨深いものがあった。
それにしても、本作を構成する10話は時の流れ順になってなく、更に各話の中でも想い返す場面があったりするので、年 -
Posted by ブクログ
ブグログや書評誌での評価が高かった本書。期待に違わぬ出来であったと言いたいところだが、家重の人生と仕えた忠光の人生の重さや辛さを考えると、もっともっと書き込んでほしいところであった。そうすれば文句なしに星五つの作品である。
本書の1.5倍、いや2倍の分量があっても良かったのではないだろうか。ややもすると説明や感情の動きの表現に足りないところがあってモヤモヤが残ったりするところがあった。家重の正室亡き後のお幸との関係などは、ある意味本書のハイライトにもなる部分なので、家治誕生後も触れて欲しかった。
とは言え充分に楽しめたし、歴史的には暗愚とも言われてた家重の認識を改めさせられた。何よりも作者の -
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まいまいつぶろの続編だと知って吹っ飛んだ。続編、、!最高じゃん!
読んでみたら、あの時の少年、田沼さんが活躍してた。あー、このくらい時代が違うのかあ、とちょっとがっかりしたけれど、田沼さんの回想で出てくる、二人が本当に懐かしくて、あーこういうのも悪くないなあ…と思った。
田沼さんと言えば、もう終わってしまったが、今年の大河のべらぼうにも出演していたなあ…割と田沼さんのイメージってほんと、悪役って感じだけど、田沼さんって、憎めないキャラしてんなあと思った。
最後もちゃんと浮かばれる涙が出る終わり方。
やっぱりまいまいつぶろほどではないけども、楽しかった。 -
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ネタバレ歴史上あまり取り上げられることのない、徳川第九代将軍・家重。
へその緒が首に巻き付いて生れたせいなのか、口がまわらず、半身がマヒしているため正座ができず、字を書くこともできず、武士の頂点たる征夷大将軍になることなど不可能と思われていた。
頻尿のため、歩いたあとには尿を引きずった跡が残るため「まいまいつぶろ(かたつむり)」と呼ばれていた。
家重の言葉を、唯一聞き取ることができたのが、大岡忠光という小姓。
コミュニケーションを取ることができないために周囲から無能呼ばわりされている家重の口となり、彼の言葉を彼に代わって発するのだが。
本当に無能なら問題はなかった。
しかし卓越した記憶力と明晰な判 -
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家康の側室になった元武田の家臣の娘阿茶、大坂冬の陣で淀殿、淀殿の妹初との和議役で大阪城の内濠を埋め、夏の陣で豊臣方を滅ぼした功労者である。阿茶は戦場へ家康と行く事が多く、影の参謀的存在となり、また家康との間の子がない事で良き世継ぎを育てる乳母役となる。阿茶は女として、子を持たない側室として家康の精神的な面も理解し、家康が亡くなるまで多くの親族の支援を惜しまなかった存在である。
阿茶の父飯田直政の言葉「まず今できる手を打つ、打たねばならぬ手を討つ。目の前にある、己が果たさなければならぬことをする。そうすれば次にすべき事が見える」
阿茶の夫忠重の言葉「癇癪を起こさず耐えること、家臣の苦労を裏切らぬ -
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ネタバレ身体にハンデを背負いながらも見事に一国を治める知性と人柄は
エルサレム王ボードアン四世を思い出させる。
(太平の世で後継にも恵まれた家重と彼とでは状況も大きく異なるとは思うが)
また言葉に関わるキーワードとして「鳥の声」を度々用いているのが非常に興味深い。東西ともに鳥は神の言葉を伝える使者として扱われることもあるため、作者も意図して表現に取り入れたのだろうか。
忠光の存在が家重の人生にとって、どれほどかけがえのないものだったか。
家重の口となるということは彼のハンデと同じくらいの労苦をともに背負うということ。その覚悟を持って生涯務めた彼は見事だと思う。
立身に重きを置く者たちには持ちえない美 -
Posted by ブクログ
ネタバレ賄賂にまみれた悪徳政治家といわれた田沼意次も、村木嵐さんの手にかかると、政治的手腕だけではなく、老中としての誇りや、亡き家重と忠光への深い忠義を忘れない人間味あふれる人物として描かれる。
読んでいて驚いたことが二つ。
一つは、深い信頼関係を築いていた家治と意次が60歳を過ぎてから長男を亡くすという胸が締め付けられるような共通の悲しみを持っていたこと。
もう一つ驚いたことは、革新的な財政改革を猛スピードで推し進めてきた意次が、天候不順による不作や、浅間山の噴火に対して決定的な対策が打てなかったこと。
どんなに優れた人でも、何年も続く天災に対しては手も足も出ず、多くの民を失い、食糧難や一揆を -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰にも言葉を聞き取ってもらえない主人と、唯一その言葉を聞き取れる従者
この作中世界を読者も体験できるようなつくりになっていて、とても面白かった
最後の最後まで、忠光の潔白が証明されたかと思いきや、また新たな疑いを持つ人物の視点が挟まるのが上手だなと思う
加えて一度も忠光視点では語られないため、周囲の目線を通じてしか彼の人間性は読めない
まさに「御口になっても御目や御耳にはならない」忠光の徹底ぶりを体感しているようで面白かった
だからこそ、最後に家重の視点で、セリフが分かる状態で2人の会話が聞けた時、感動したし心から嬉しくなった