村木嵐のレビュー一覧
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苦難の続く「飛騨屋」
1789年の「クナシリ・メナシの戦い」は合計71人もの和人たちが殺害され
殺害に関わったアイヌ37人は斬首。
アイヌと飛騨屋の関係は良好だとばかり思っていた。
上に立つ者が最大の配慮を持っても、はみ出す者はいる。
綺麗事だけでは済まないのだろう。
松前藩と飛騨屋の確執は続き、理不尽な藩に腹が立つ。
4代目は蝦夷を引き払い下呂へ戻る。
下呂温泉 臨済宗妙心寺派 温泉寺のHPを読むと
〈栄華と衰退の両方を知る益郷は、その陰に失われた多くの人命に対し、
供養も怠りませんでした。父親である3代目倍安と共に、
臨済宗中興の祖と仰がれる白隠禅師や、弟子の東嶺禅師に深く帰依し、
松前・大畑をはじめ静岡県三島市「龍沢寺」や、
京都・紫野「大徳寺」などに供養の跡が残されています〉
本作も村木嵐さんの筆致にグイグイ引き込まれた。 -
Posted by ブクログ
為政者による創作や出版への粛清に抵抗し文化そのものに殉ずることは、多くの場合美談として語られがちです。実際その人たちの中にある信念は何物にも代えがたい気高さを湛えたものであると私も思います。では理不尽な力の前に筆を擱くことを選んだ人たちのすべてが、ただ自らの命惜しさのみにすごすごと引き下がってきたのでしょうか。答えは当然、否です。人という生き物は独りで生きているわけではない。だからこそ時に自分自身ではなく友人や愛する人、そして家族を守る為に半身と同義のものを手放す悔しさを選ばなければならない瞬間がある。この小説の主人公である太田南畝を支える人たちは気持ちが良いほどに真っ直ぐで、濁りがなく、そして優しい。江戸に名を馳せるほどの彼が狂歌を辞めてまで守りたいと思った心の動きの説得力としてこれ以上のものはありません。狂歌のささやかなユーモアを混じえながら、人が人を想う気持ちを素直に書いた佳い歴史小説でした。
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ネタバレえ。これは鳥の言葉が分かるでお馴染みの鈴木俊貴先生ではないですか!
が、冒頭の感想(笑)
おかげで忠光は終始鈴木先生で脳内再生されてました。
それにしても初志貫徹をここまで貫けるかと唸る。
家重と忠光。何とも魅力的なバディで、この二人の信頼の深さはとても美しいが、同時にどれだけの苦しみを乗り越えて来たかという証と思うと、安々と真似できるものではないと感じ入る。
その反面、家族の乾いたような寂しさが切なかった。子供なら尚更。父親の凄さを信じられないのも仕方ない。
だが、田沼が忠光を一目置いていたという話は大人になった息子にとって何より心強い言葉であったろうと思う。
田沼を使った最後のオチがまたいい。
面白かった! -
Posted by ブクログ
家康祖父の代から仕えた譜代の家臣鳥居忠吉•元忠父子が、家康を支え天下人になるのを見届ける物語。特に、祖父徳川清康•父元康は惨殺、更には継嗣の家康が遠江や尾張の人質になるなど、困難にぶつかる度に忠吉は空を見上げ雲間に無数の松平家の旗印が立つ日の本一の万軍の幻が見えると言って周りの家臣に夢を与える。その子元忠は関ヶ原の戦いにおいて伏見城に籠城して捨て石となり時間稼ぎをして勝利に貢献し、忠吉の夢が叶う。
その戦いの直前に交わした家康・元忠主従の遣り取りは、グッときて感慨深いものがあった。
それにしても、本作を構成する10話は時の流れ順になってなく、更に各話の中でも想い返す場面があったりするので、年のせいか時の流れが掴めない時があり、読むのに結構難渋した。 -
Posted by ブクログ
ブグログや書評誌での評価が高かった本書。期待に違わぬ出来であったと言いたいところだが、家重の人生と仕えた忠光の人生の重さや辛さを考えると、もっともっと書き込んでほしいところであった。そうすれば文句なしに星五つの作品である。
本書の1.5倍、いや2倍の分量があっても良かったのではないだろうか。ややもすると説明や感情の動きの表現に足りないところがあってモヤモヤが残ったりするところがあった。家重の正室亡き後のお幸との関係などは、ある意味本書のハイライトにもなる部分なので、家治誕生後も触れて欲しかった。
とは言え充分に楽しめたし、歴史的には暗愚とも言われてた家重の認識を改めさせられた。何よりも作者の優しさが作品から強烈に立ち昇っていて自分も優しい気持ちになれました。
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Posted by ブクログ
まいまいつぶろの続編だと知って吹っ飛んだ。続編、、!最高じゃん!
読んでみたら、あの時の少年、田沼さんが活躍してた。あー、このくらい時代が違うのかあ、とちょっとがっかりしたけれど、田沼さんの回想で出てくる、二人が本当に懐かしくて、あーこういうのも悪くないなあ…と思った。
田沼さんと言えば、もう終わってしまったが、今年の大河のべらぼうにも出演していたなあ…割と田沼さんのイメージってほんと、悪役って感じだけど、田沼さんって、憎めないキャラしてんなあと思った。
最後もちゃんと浮かばれる涙が出る終わり方。
やっぱりまいまいつぶろほどではないけども、楽しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史上あまり取り上げられることのない、徳川第九代将軍・家重。
へその緒が首に巻き付いて生れたせいなのか、口がまわらず、半身がマヒしているため正座ができず、字を書くこともできず、武士の頂点たる征夷大将軍になることなど不可能と思われていた。
頻尿のため、歩いたあとには尿を引きずった跡が残るため「まいまいつぶろ(かたつむり)」と呼ばれていた。
家重の言葉を、唯一聞き取ることができたのが、大岡忠光という小姓。
コミュニケーションを取ることができないために周囲から無能呼ばわりされている家重の口となり、彼の言葉を彼に代わって発するのだが。
本当に無能なら問題はなかった。
しかし卓越した記憶力と明晰な判断力を持ち合わせてしまったゆえに、却って将軍の跡目争いの種になってしまった。
何しろ弟は武芸にも学問にも優れていたのだから。
しかし長男が後を継ぐべしという家康以来の決まりもあり、父である徳川吉宗も簡単に跡継ぎを決めることはできなかった。
第一章を読み終えた時点で号泣でした。
まだ16歳ながらに家重を守り抜こうとする忠光の無私の覚悟に泣けてしまった。
けれど、その後がちょっと…。
メインは支える忠光なのか、支えられる家重なのか、時々で揺らいでいるのが気になった。
各老中たちの書き分けも弱い。
家重派なのか、反家重なのか、第三者的立ち位置なのか。
地の文でなんとなくわかるけど、セリフの応酬では誰が何を言いたいのかよくわからなかった。
将軍になってからの「宝暦治水事件」は、確かに歴史的には大きな事件ではあったけど、平田靱負(ゆきえ)が家重の言葉を理解する3人目の人物として登場する意味はなかったな。
結局平田靱負を救うことはできなかったのだから。
代わりに「郡上一揆」の方をもっと深掘りして、将軍として誰をどう動かしたのかを書けばよかったのに。
家重の意向を汲んで、田沼意次がサクサク解決しました、的な書きかたになってしまっている。
本当はもっとどろどろ長引いた事件なんだけど。
とはいえ、混乱しがちな徳川9代、10代の関係がわかってよかった。
この時に御三卿が作られたわけだね。
なるほど。