村木嵐のレビュー一覧

  • まいまいつぶろ 御庭番耳目抄

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    9代将軍徳川家重と忠臣大岡忠光を主人公にした傑作「まいまいつぶろ」のスピンオフ、帯には「完結編」と書かれているが本編を補完する短編集として読める。

    収録作品に全てを見知っているのが御庭番の万里、この人実に味わい深い良いキャラで、本編登場時から気になっていたんだけどこの本で大活躍できてよかった。

    どの作品も心象描写や人物造形が良く描かれていて読み甲斐ある。捨作なしの粒ぞろいなのだが、あえて好みは「配信の士」、本編での嫌われ役「松平乗邑」を主人公に据えた一作。家重を世継ぎに推さなかった男の気骨と7代将軍吉宗との信頼関係がとても良かった。

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    2025年02月22日
  • またうど

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    「この者は、〈またうど〉の者なり・・・」徳川家重の言葉を生涯大切にし続けた老中・田沼意次。江戸の大火、浅間山の噴火、飢饉に打ち毀し、激動の世、田沼意次は困難な時代をどう舵取りしたのか?彼は本当に、賄賂にまみれた悪徳政治家だったのか?「またうど」=全き人。愚直なまでに正直な信の者。いかが?

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    2025年02月16日
  • またうど

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    ネタバレ

    まいまいつぶろの続編

    徳川家重公に仕え、またうど、と称された、田沼意次の物語

    まいまいつぶろで涙した後に、また心が揺さぶれるた

    当時の侍というのは、主君によって生き方が大きく左右されるのだから、良い主君に恵まれるのか否かで、人生が変わるのも無理はない

    しかし、田沼意次のような実直で聡明な家臣をもった家重、家治も、幸せものだろう

    この主従関係は、殿様と老中という役割を越えて、人生の友、と呼ぶにも相応しい、心の通わせが随所に見られた。なぜなら、この主従は人生の岐路で何度も苦難を一緒に乗り越えてきたからだ

    それは身分の違いを超えた、同志のようであった

    意次が肌身離さず持ち歩いた、手足が

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    2025年01月28日
  • 阿茶

    匿名

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    竹だけ家臣の娘須和は、信玄亡き後に嫁いだ夫を亡くした後、夫の縁から徳川家康の側室阿茶局となる。
    同じ側室の西郷局(於愛)がひそかに信仰している「在るという神」の教えに、阿茶も惹かれるが、信仰するというより興味深いという感じ。
    西郷は早くに亡くなるが、阿茶はその子秀忠を養育する。
    大坂の陣において、堀を埋めさせたのは、関ヶ原合戦に遅参した秀忠の発案と執念によるもの、という設定。

    秀忠はその後切支丹弾圧に向かってしまうが、実は父家康は「在るという神」の教えを知り、体現しているのだった。
    秀忠の娘東福門院和子の入内に付き従うなどした阿茶もまた、「在るという神」に惹かれ続ける・・・。

    長編のようで

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    2025年01月23日
  • またうど

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    田沼意次の政治手腕と人柄が丁寧に描かれて、また将軍家重、家治との交情もうつくしい。一橋家や田安家の将軍への野望はわかるし、特に松平定信のもしかするとあったかもしれない未来への悔しさへの恨みが見苦しかった。

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    2025年01月06日
  • まいまいつぶろ 御庭番耳目抄

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    八代将軍徳川吉と嫡男の九代将軍家重、その通詞の大岡忠光の物語。
    ハンディキャップを持って生まれた長福丸は、忠光のみが彼の言葉を理解できたが為に、周囲の悪意の目に潔癖なまでの自制をしていきていた。

    とにかく登場人物達が情に溢れ、吉宗から家重へと親子の情に泣かされ、祖母と孫、祖父と孫、夫と妻、父と子、など、情け深い人物描写に泣かされてしまった。
    まいまいつぶろが雄々しく生きる姿は、深い感動をもたらしてくれた。

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    2024年11月01日
  • まいまいつぶろ 御庭番耳目抄

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    村木嵐の作品は泣ける。
    またまた気持ち良く泣かせてもらいました。
    うれし泣きができる作品にはなかなか出会えない。
    しかしこの作者の物語の奥底にいつも流れているのは優しさで、主人公やその周りに良い性格の人物がいて素敵な関係を築いているのが本当に大好き。

    前作でも万里のファンでしたが、ますます好きになりました。前作ではあまり書かれていなかった周りの人々のことをもう少し知りたかったなと思っていたので、待ってましたとばかりに一気読み。とりあえず3回読んでみました(笑)
    いったい何回読めば気が済むのであろうか?

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    2024年09月21日
  • 夏の坂道

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    恥ずかしながら今まで村木さんの作品を読んだことがなかったし、南原繁という人も知らなかった。字面をなんとなく認識したことはあっても、どういった方だったのかまでは知らず。その分、この『夏の坂道』という作品を真っ白な状態から読み進め、楽しむことができたように思う。
    「教育」「学問」の自立、自由のために政治やマスコミと闘った人たち。子どもの教育のために奮闘し、そのため時には自身が弾圧を受けた人たちにより今日の教育が成り立っている。ただし、それもよくよく注意して見れば戦前、戦中のように危うい方向へ進んでいないか、国民が意識をもっていなければいけない。教育が受けられることが当たり前であるけれども、当たり前

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    2024年01月22日
  • 頂上至極

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    宝暦治水の話。江戸時代、幕府から薩摩藩に木曽三川の分流工事が命ぜられた。ただでさえ難工事なのに、住民や地元役人は非協力的。最終的に工事は完成するが、工事期間中に薩摩藩士50人以上が切腹し、最後に総奉行・靱負までもが切腹した。靱負と佐江の別れのシーンでは涙がこぼれる。読みやすく、良い話だった。

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    2022年10月02日
  • にべ屋往来記

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    出自通りの人生でなく武士も町人も入り混じって懸命に生きる。身分がくっきり分かたれていたというイメージはどうやら違うらしい。

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    2022年03月11日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    新進気鋭の作家さんが番狂わせとしてそこそこ有名な戦いを書いている(弥助だけ少し毛色が違うが)。地図が分かりやすく、非常に助かる。テーマ上、若い時期のストーリーが多いが、描き方は色々で興味深い。
    海ノ口は大河でも見たが、季節は考えたこと無かったな。政宗と長政の2作がお気に入り。

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    2021年03月01日
  • 頂上至極

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    初めて読む作家さん。幻冬舎のキャンペーンでたまたま購入したが、内容にのめりこみ、
    一気読みしてしまった。
    木曽三川分流工事(宝暦治水)の責任者で薩摩藩家老の平田靱負を中心に描いた作品。
    今まで宝暦治水がこれだけの大プロジェクトとは知らなかった。ブルドーザーやパワ
    ーショベルのような土木機械もなく、人力だけで川筋を変え、堤防を築くなど、考え
    ただけで気が遠くなる。さらには幕府や地元の役人、尾張藩、強欲でしたたかな農民
    からの圧力、いわれなき誹謗中傷、いやがらせにも耐えなければならない。
    東日本大震災をはじめ、台風や豪雨などの災害復興プロジェクトでも国や地元の利害が
    複雑に絡み合い

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    2020年09月21日
  • 頂上至極

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    <薩摩義士>という話しが一定程度知られていると思うのだが、本作はその挿話を基礎にした物語ということになる。
    江戸時代には「御手伝普請」なるモノが在った。幕府が諸大名に命じ、諸大名は示された仕様に依拠して資材や人員等を自前で手配して工事を遂行するということになる。幕府として、諸大名が財力を蓄え悪くするためにやらせていたことらしい。この「御手伝普請」なるモノで築かれた、有名な城郭の石垣等が色々と伝わっていると思う。
    <関ヶ原合戦>から150年も経ったような宝暦年間(1750年代頃)、この薩摩の島津家に対して幕府はこの「御手伝普請」を命じた。
    遂行すべく工事は、木曽川、長良川、揖斐川が複雑に絡み合っ

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    2020年07月08日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    歴史上の有名な戦いや、大大名の合戦の話ではないが、英雄の若き日の活躍や小が大を制する小気味好い物語がとても面白い。島津義弘、織田信長、真田昌幸などの想定外、裏話、想像を掻き立てるフィクションなどが、短編なのでさくっと読める。物語の面白さもさることながら、この作者がこんな話を書くのかという楽しみ方もある。ところで、こういういくさ話、単純な勝ち負け(結果)だけでもないし、武士のメンツや矜持を保つこと(外部からの評価)や信頼関係の構築(ネットワーク)など、ケースディスカッションに使えそうだなと。ちょっと作ってみるか。

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    2019年12月05日
  • マルガリータ

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    天正遣欧使節団の4人の少年の帰国後の運命を、そのうち一人の妻の目線で描いたもの。中国に渡ることさえ命がけだった時代に、往復8年の時間をかけて欧州を訪問・帰国してみれば、鎖国とバテレン追放の時代になっていた。次第に厳しくなる迫害の中で一人は病に倒れ、一人はマカオに移住することを選ぶ。一人は司祭として残り、国内のキリシタンを励まして生きる。そして本編の主人公千々石ミゲルは棄教の道を選び、キリシタンからは棄教者と憎まれ、キリシタンを取り締まる士族からは転び者と蔑まれる。そこには日本から一人の殉教者(=死者)も出さないという4人の誓いがあった。ミゲルに寄り添いながら、最後までミゲルの本心に近ずけなかっ

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    2019年06月12日
  • マルガリータ

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    天正遣欧少年使節としてヨーロッパに渡った4人の少年たち。帰国後、千々石ミゲルだけは棄教する。その史実を軸に、キリスト教迫害の時代を描く見事な筋立ての小説だった。そしてせつない。
    何がせつないって、語り部の珠。あこがれのミゲルと夫婦になってともに人生を生きていくはずなのに、最後の最後までミゲルは珠を一番の存在にはしなかったこと。珠以前に、天主様や伊奈姫、ともにヨーロッパに行った3人がいた。ミゲルは珠にやさしいんだけど、珠が欲しいのはそういう慈悲のようなやさしさではないんだよ。ともに苦しみたいのにそこには入れてくれない、ある意味不実なミゲル。
    自分にとって一番の相手が、自分を一番と思っていないって

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    2018年04月22日
  • やまと錦

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    書き下ろし

     外つ国の 千草の糸を かせぎあげて
     やまと錦を織り成さばやな
    帝国憲法の産みの苦しみを、井上毅の人となりに迫って描いた作品。
    京大法学部出身で司馬遼太郎に仕えた作者の真骨頂と言うべきか。

     自由民権運動から生まれた私擬憲法草案があちこちで発掘され、日本史の教科書でも取り上げられているが、帝国憲法をどう作るかという苦労について書かれたものは少なかった。
     保守性ばかりが強調される帝国憲法を「明治の理想を形にする」という成果の観点で捉え、「この国で生まれ育った誰もが心の奥底に持っているのが国体であり憲法なのだ。」という言葉には感動的な説得力さえある。

     憲法改正や、皇室典範の

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    2017年03月12日
  • まいまいつぶろ 御庭番耳目抄

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    まいまいつぶろが、家重と忠光をとり巻く江戸城の中での出来事に対して、この完結編は万里の俯瞰的な視点で描かれている。自分も城の周りで人間模様を見ているかのような見事な物語である。
    死ぬ間際まで、家重の事を守る忠光。それを見守り、家重を侮っていた者が、家重が亡くなる時に涙したと聞き安堵する万里。
    人を信じ人に尽くす。策略も裏の心もない真っ直ぐな心を持つ者たちに気持ちが空く。
    自分も江戸の青空を眺めている様な心持ちになった。

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    2026年04月02日
  • まいまいつぶろ

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    ネタバレ

    え。これは鳥の言葉が分かるでお馴染みの鈴木俊貴先生ではないですか!
    が、冒頭の感想(笑)
    おかげで忠光は終始鈴木先生で脳内再生されてました。

    それにしても初志貫徹をここまで貫けるかと唸る。
    家重と忠光。何とも魅力的なバディで、この二人の信頼の深さはとても美しいが、同時にどれだけの苦しみを乗り越えて来たかという証と思うと、安々と真似できるものではないと感じ入る。
    その反面、家族の乾いたような寂しさが切なかった。子供なら尚更。父親の凄さを信じられないのも仕方ない。
    だが、田沼が忠光を一目置いていたという話は大人になった息子にとって何より心強い言葉であったろうと思う。
    田沼を使った最後のオチがまた

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    2026年04月01日
  • いつかの朔日

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    家康祖父の代から仕えた譜代の家臣鳥居忠吉•元忠父子が、家康を支え天下人になるのを見届ける物語。特に、祖父徳川清康•父元康は惨殺、更には継嗣の家康が遠江や尾張の人質になるなど、困難にぶつかる度に忠吉は空を見上げ雲間に無数の松平家の旗印が立つ日の本一の万軍の幻が見えると言って周りの家臣に夢を与える。その子元忠は関ヶ原の戦いにおいて伏見城に籠城して捨て石となり時間稼ぎをして勝利に貢献し、忠吉の夢が叶う。
    その戦いの直前に交わした家康・元忠主従の遣り取りは、グッときて感慨深いものがあった。

    それにしても、本作を構成する10話は時の流れ順になってなく、更に各話の中でも想い返す場面があったりするので、年

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    2026年03月16日