村木嵐のレビュー一覧

  • にべ屋往来記

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    出自通りの人生でなく武士も町人も入り混じって懸命に生きる。身分がくっきり分かたれていたというイメージはどうやら違うらしい。

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    2022年03月11日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    新進気鋭の作家さんが番狂わせとしてそこそこ有名な戦いを書いている(弥助だけ少し毛色が違うが)。地図が分かりやすく、非常に助かる。テーマ上、若い時期のストーリーが多いが、描き方は色々で興味深い。
    海ノ口は大河でも見たが、季節は考えたこと無かったな。政宗と長政の2作がお気に入り。

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    2021年03月01日
  • 頂上至極

    購入済み

    初めて読む作家さん。幻冬舎のキャンペーンでたまたま購入したが、内容にのめりこみ、
    一気読みしてしまった。
    木曽三川分流工事(宝暦治水)の責任者で薩摩藩家老の平田靱負を中心に描いた作品。
    今まで宝暦治水がこれだけの大プロジェクトとは知らなかった。ブルドーザーやパワ
    ーショベルのような土木機械もなく、人力だけで川筋を変え、堤防を築くなど、考え
    ただけで気が遠くなる。さらには幕府や地元の役人、尾張藩、強欲でしたたかな農民
    からの圧力、いわれなき誹謗中傷、いやがらせにも耐えなければならない。
    東日本大震災をはじめ、台風や豪雨などの災害復興プロジェクトでも国や地元の利害が
    複雑に絡み合い

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    2020年09月21日
  • 頂上至極

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    <薩摩義士>という話しが一定程度知られていると思うのだが、本作はその挿話を基礎にした物語ということになる。
    江戸時代には「御手伝普請」なるモノが在った。幕府が諸大名に命じ、諸大名は示された仕様に依拠して資材や人員等を自前で手配して工事を遂行するということになる。幕府として、諸大名が財力を蓄え悪くするためにやらせていたことらしい。この「御手伝普請」なるモノで築かれた、有名な城郭の石垣等が色々と伝わっていると思う。
    <関ヶ原合戦>から150年も経ったような宝暦年間(1750年代頃)、この薩摩の島津家に対して幕府はこの「御手伝普請」を命じた。
    遂行すべく工事は、木曽川、長良川、揖斐川が複雑に絡み合っ

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    2020年07月08日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    歴史上の有名な戦いや、大大名の合戦の話ではないが、英雄の若き日の活躍や小が大を制する小気味好い物語がとても面白い。島津義弘、織田信長、真田昌幸などの想定外、裏話、想像を掻き立てるフィクションなどが、短編なのでさくっと読める。物語の面白さもさることながら、この作者がこんな話を書くのかという楽しみ方もある。ところで、こういういくさ話、単純な勝ち負け(結果)だけでもないし、武士のメンツや矜持を保つこと(外部からの評価)や信頼関係の構築(ネットワーク)など、ケースディスカッションに使えそうだなと。ちょっと作ってみるか。

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    2019年12月05日
  • マルガリータ

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    天正遣欧使節団の4人の少年の帰国後の運命を、そのうち一人の妻の目線で描いたもの。中国に渡ることさえ命がけだった時代に、往復8年の時間をかけて欧州を訪問・帰国してみれば、鎖国とバテレン追放の時代になっていた。次第に厳しくなる迫害の中で一人は病に倒れ、一人はマカオに移住することを選ぶ。一人は司祭として残り、国内のキリシタンを励まして生きる。そして本編の主人公千々石ミゲルは棄教の道を選び、キリシタンからは棄教者と憎まれ、キリシタンを取り締まる士族からは転び者と蔑まれる。そこには日本から一人の殉教者(=死者)も出さないという4人の誓いがあった。ミゲルに寄り添いながら、最後までミゲルの本心に近ずけなかっ

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    2019年06月12日
  • マルガリータ

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    天正遣欧少年使節としてヨーロッパに渡った4人の少年たち。帰国後、千々石ミゲルだけは棄教する。その史実を軸に、キリスト教迫害の時代を描く見事な筋立ての小説だった。そしてせつない。
    何がせつないって、語り部の珠。あこがれのミゲルと夫婦になってともに人生を生きていくはずなのに、最後の最後までミゲルは珠を一番の存在にはしなかったこと。珠以前に、天主様や伊奈姫、ともにヨーロッパに行った3人がいた。ミゲルは珠にやさしいんだけど、珠が欲しいのはそういう慈悲のようなやさしさではないんだよ。ともに苦しみたいのにそこには入れてくれない、ある意味不実なミゲル。
    自分にとって一番の相手が、自分を一番と思っていないって

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    2018年04月22日
  • やまと錦

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    書き下ろし

     外つ国の 千草の糸を かせぎあげて
     やまと錦を織り成さばやな
    帝国憲法の産みの苦しみを、井上毅の人となりに迫って描いた作品。
    京大法学部出身で司馬遼太郎に仕えた作者の真骨頂と言うべきか。

     自由民権運動から生まれた私擬憲法草案があちこちで発掘され、日本史の教科書でも取り上げられているが、帝国憲法をどう作るかという苦労について書かれたものは少なかった。
     保守性ばかりが強調される帝国憲法を「明治の理想を形にする」という成果の観点で捉え、「この国で生まれ育った誰もが心の奥底に持っているのが国体であり憲法なのだ。」という言葉には感動的な説得力さえある。

     憲法改正や、皇室典範の

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    2017年03月12日
  • 雀ちょっちょ

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    為政者による創作や出版への粛清に抵抗し文化そのものに殉ずることは、多くの場合美談として語られがちです。実際その人たちの中にある信念は何物にも代えがたい気高さを湛えたものであると私も思います。では理不尽な力の前に筆を擱くことを選んだ人たちのすべてが、ただ自らの命惜しさのみにすごすごと引き下がってきたのでしょうか。答えは当然、否です。人という生き物は独りで生きているわけではない。だからこそ時に自分自身ではなく友人や愛する人、そして家族を守る為に半身と同義のものを手放す悔しさを選ばなければならない瞬間がある。この小説の主人公である太田南畝を支える人たちは気持ちが良いほどに真っ直ぐで、濁りがなく、そし

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    2026年06月05日
  • まいまいつぶろ

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    徳川将軍に詳しくない私でもスラスラ読めた歴史小説。

    感動。泣いた。立場や身分に縛られながらも、自分なりの正しさを貫いていく生き方に。。
    将軍と小姓との絆
    「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」
    裏表紙のあらすじに書かれていたその台詞を読んで購入を即決した1冊。

    歴代小説でありながら堅苦しさがないので読みやすかったです。

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    2026年05月06日
  • 雀ちょっちょ

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    ネタバレ

    川柳が俳句のように五七五なら、狂歌は五七五七七を基調に自由でいいような感じか?この小説の主人公、大田南畝は狂歌の天才で、かの「白河の清きに魚もすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」を詠んだ人。

    だが、彼は松平定信の弾圧に大きく抵抗することもなく筆を折ることとなる。一族の血に巣食う狂気を恐れ、家族を守るために。そのあたりの葛藤がメインテーマ。静かに家族を思うシーンや思索にふけるシーン、南畝の母親や妻、息子の妻など女性陣の静かな活躍がかなり沁みる。

    家に帰りたくなるほど美味しい、心を込めて入れたお茶っての、是非一度飲んでみたい。

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    2026年05月06日
  • 天領の鷹 上

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    この作者は実在の人物を瑞々しく描くのが得意とみえる。正にこれこそ人間ドラマ。美しい歴史絵巻に涙してしまう。

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    2026年05月05日
  • 天領の鷹 下

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    飛騨から蝦夷へ渡った材木商飛騨屋の四代百余年を描いた大河小説。上下巻合わせて600ページ超ですが各代で違う問題にぶつかり悪戦苦闘するので物語が単調になったり弛んだりすることがなく、史実と創作のその織り合わせの丹念さはまさに労作と呼ぶに相応しいものでした。目先の利益だけを追うことはせず必要な分の木を伐り、同時に山が未来へ続くよう自分たちで苗も植える。そんな杣たちの生き方を写したかのような飛騨屋主人たちの人との関わり方は読んでいてとても気持ちがよく、また胸に迫る場面も何度もありました。掛け値なしに読んで良かった素晴らしい小説でした。

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    2026年05月02日
  • まいまいつぶろ

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    9代将軍徳川家重と、ただ一人、彼の言葉を解する小姓、大岡兵庫
    2人の長い絆を描く、落涙必至の歴史小説
    日本人の美徳をあらためて認識するお話でした。
    読んでよかった。

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    2026年05月01日
  • まいまいつぶろ

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    確かに涙なしでは読めなかった。家重と忠光の絆よりも、吉宗の子への思いが最高に感動した。これは本当におすすさできる小説ですね。

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    2026年04月26日
  • 雀ちょっちょ

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    大河ドラマ「べらぼう」とオーバーラップしている本で、小説に登場する人物がべらぼうの出演者の顔になった。
    太田南畝は、ドラマの影響で屁踊りの印象が強かったが、稀有な学者であり、芸術家であり、家族や隣人からの愛をたくさん受け、自分も家族へ愛を注いだ人だったのだと思った。

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    2026年04月24日
  • まいまいつぶろ

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    ネタバレ

    え。これは鳥の言葉が分かるでお馴染みの鈴木俊貴先生ではないですか!
    が、冒頭の感想(笑)
    おかげで忠光は終始鈴木先生で脳内再生されてました。

    それにしても初志貫徹をここまで貫けるかと唸る。
    家重と忠光。何とも魅力的なバディで、この二人の信頼の深さはとても美しいが、同時にどれだけの苦しみを乗り越えて来たかという証と思うと、安々と真似できるものではないと感じ入る。
    その反面、家族の乾いたような寂しさが切なかった。子供なら尚更。父親の凄さを信じられないのも仕方ない。
    だが、田沼が忠光を一目置いていたという話は大人になった息子にとって何より心強い言葉であったろうと思う。
    田沼を使った最後のオチがまた

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    2026年04月01日
  • いつかの朔日

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    家康祖父の代から仕えた譜代の家臣鳥居忠吉•元忠父子が、家康を支え天下人になるのを見届ける物語。特に、祖父徳川清康•父元康は惨殺、更には継嗣の家康が遠江や尾張の人質になるなど、困難にぶつかる度に忠吉は空を見上げ雲間に無数の松平家の旗印が立つ日の本一の万軍の幻が見えると言って周りの家臣に夢を与える。その子元忠は関ヶ原の戦いにおいて伏見城に籠城して捨て石となり時間稼ぎをして勝利に貢献し、忠吉の夢が叶う。
    その戦いの直前に交わした家康・元忠主従の遣り取りは、グッときて感慨深いものがあった。

    それにしても、本作を構成する10話は時の流れ順になってなく、更に各話の中でも想い返す場面があったりするので、年

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    2026年03月16日
  • まいまいつぶろ

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    ブグログや書評誌での評価が高かった本書。期待に違わぬ出来であったと言いたいところだが、家重の人生と仕えた忠光の人生の重さや辛さを考えると、もっともっと書き込んでほしいところであった。そうすれば文句なしに星五つの作品である。
    本書の1.5倍、いや2倍の分量があっても良かったのではないだろうか。ややもすると説明や感情の動きの表現に足りないところがあってモヤモヤが残ったりするところがあった。家重の正室亡き後のお幸との関係などは、ある意味本書のハイライトにもなる部分なので、家治誕生後も触れて欲しかった。

    とは言え充分に楽しめたし、歴史的には暗愚とも言われてた家重の認識を改めさせられた。何よりも作者の

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    2026年03月07日
  • 雀ちょっちょ

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    去年の大河ドラマ思い出す。赤良は大声が印象的な桐谷健太だっけ?こんなに滋味溢れる人物だったのか。「なまじ学問ができるの、できぬのと他人と比べて一喜一憂するよりは朗らかでつまらぬことに拘らぬ気質を持ってるほうがよほど恵まれている」「人は理屈をこねずに己を愛さねばならぬ。人と比べるなどは愚かなこと」「ふふふのふ、何事も笑うて暮らせ、だ」狂歌、いいなぁ。

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    2026年01月20日