フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧

  • 禁忌

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    ネタバレ

    ドイツの刑事弁護士を長年経験している著者の作品。
    新作が発表されるたびに必ず手にする作家の1人。
    今回は、小説の技法としてもこれまでの作品とは違う。あたかも主人公のアルバム写真を何枚も見せられて、解説をしたものを集めたように場面展開が細切れ的な文体。これが、わかりにくいと感じる人もいるかもしれない。
    今回のテーマも法廷で浮き彫りになってくる。第二次世界大戦の影響を受けた重いもの。
    読者へ投げかけるテーマが、正義とは?罪とは?など誰もが無関心ではいられない根本的なところに鋭く突き刺さる。
    新作の発売が待ち遠しい。

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    2019年07月31日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    鳥肌が立つ。
    この小説を読み私が体感したものの一つ。
    ドイツの法廷劇であり、筆者の淡々とした語り口が、読者とほどよい距離感が保たれており、ページを進めずにはいられない。そして、扱うテーマがとてつもなく奥深く過去の暗い歴史へといざなわれる。読者は自らこの重みを受け止め、対処せざるを得えない。物語の登場人物と、語り手の距離感がそうさせるのだと思う。
    この重厚なテーマをこのページ数で語ることが、著者のすごいところ。ドイツの戦争との向き合い方について、我が国でも参考にするべきことがあるかもしれない。

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    2019年07月13日
  • テロ

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    台本形式(戯曲)の書き方なので、芝居(舞台)をあまり見慣れていない人にはとっつきにくいかもしれませんが、法廷劇や戯曲が好きな人なら絶対に楽しめる作品だと思います。

    ドイツでハイジャック事件が発生し、乗客164名を乗せた飛行機が満員のサッカースタジアムへ向かう。7万人の観衆を救うため、空軍少佐は命令に(あるいは憲法に)背いて旅客機を撃墜、164人を殺害した罪で起訴された。彼は大量殺人者か、それとも7万人を救った英雄か。

    検察側、弁護側双方の主張はどちらも説得力がありましたし、(おそらく)観衆の評決によって被告人が無罪/有罪となる2パターンのエンディングが用意されているのも魅力的でした。
    自分

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    2019年07月13日
  • テロ

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    世界中の人に読むか、触れるかしてもらいたい。法の基本原理どころか人間を人間たらしめるものはなにかという本質にまで触れてくる。怖いけれど、何度でも読んで考え続けなければならないと思う。

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    2019年07月08日
  • テロ

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    よく考えようシリーズ。飛行機がハイジャックされ、サッカースタジアムに突っ込もうと目論むテロが起こる。7万人の観客の命を救うために、160人の乗客を乗せたこの飛行機を撃墜した空軍少佐。この小説はこの事件をめぐり逮捕された空軍少佐の裁判を演劇風に表現したもので、生存権とは、法律とは、市民を守ることとは、命の数を天秤にかけることの是非などの主張が対立する。いわゆるトロッコ問題を、テロを絡ませてとてもリアルに再現して問いかけている。私たちがもっとも苦手とする正解のない、果てしない議論であり、太平洋戦争時代から、シン・ゴジラが来襲した時にも首脳陣が見せた結論先送り・事なかれ主義的なことでは済まされない、

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    2019年02月15日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    禁忌と同じタイミングで読んだため、すこしキャラクターが混じってしまった。
    基本的にこの人の作品では、警察、法曹界野の人たちは常に善良に自身の仕事と向き合っていて、嫌な人間がいないところが良い。
    被害者の二面性、被告人の救われなさ、さすが弁護士、と感心した。おまけに、これは自分自身の話でもあるなんて。すごい。

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    2019年02月10日
  • テロ

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    "哲学的命題。マイケル・サンデルさんの「これからの「正義」の話をしよう」の最初に登場するジレンマを戯曲にした作品という印象を持った。
    1人を殺すことで5人を救えるとしたら、その一人を殺すべきなのか?
    本書では、テロリストにハイジャックされた航空機をミサイルで撃ち落としたパイロットが被告として法廷で裁かれる場面を描いている。
    テロリストの意思通りことが運べば7万人で満員になったスタジアムに墜落させ多くの人の命を奪うことになった。
    乗客約200人の命と7万人のスタジアムにいる人々の命が天秤にかけられるべきなのか?我々は法治国家に生きており、すべてを法律原則通りに行動することが正しいのか?

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    2018年11月24日
  • テロ

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    テロリストにハイジャックされた旅客機に乗った164人と、その飛行機が突っ込む先のサッカースタジアムにいる観客7万人−−。どちらかしか助けられない状況に、もし自分が陥ったら−−。空軍少佐は164人が乗った旅客機をミサイルで撃墜し、スタジアムの7万人の命を救った。そして少佐は逮捕され、裁判所で有罪か無罪かの評決を受ける。裁判ではさまざまな意見がかわされ、有罪を主張する検察側も無罪を主張する弁護側も、どちらの意見もまっとうであり理解できる。さて、評決は? 有罪でも無罪でも議論が沸き起こるだろう。結末はネタバレになるので書かないが、この裁判の模様を読むことで、本書は、各自がどのような態度をとるべきか考

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    2016年09月30日
  • テロ

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    164人を乗せた旅客機をハイジャックし、サッカースタジアムにいる7万人の観客を殺害しようと目論むテロリスト。
    独断で旅客機を撃墜した空軍少佐は有罪か無罪か?
    シーラッハ初の戯曲。舞台や映画で観てみたい。

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    2016年09月02日
  • テロ

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    戯曲という形式のせいか、シーラッハにしては登場人物のキャラが立ってて理詰め感はちょい薄い。テーマも派手なだけにサクサク読めるんだけど、ちょっとサクサク読め過ぎて「あれ?もう終わり?」って感じは否めない。いや、十分おもろいねんけども。

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    2016年08月02日
  • テロ

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    ものすごい本で,読み終わった今も考えが止まらない。
    検察官「私たちの上品な国家はテロリストになんら手をださないと保証されているからです。」弁護人「しかしそうした状況だからこそ,わたしたちが法治国家の原則に信頼を置くことはますます大事になっています。当然,それは友情と同じです。調子のいい時だけの友情など意味がないのです。」どっちが正しいんでしょう…。

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    2016年07月21日
  • 罪悪

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    大傑作『犯罪』に続くシーラッハの短編集。語り手の弁護士である「私」が手掛けた事件を淡々と語っていくという趣向は前作と変わらない。今回は10ページ未満の掌編が多く、前作とほぼ同じページ数で収録作数が11編から15編に増えている。

    前作を凌駕しているかといわれるとちょっと微妙だけど、収録作はどれも水準以上の面白さなので読んでみて損はないと思う。必要以上に描写せず、読者の想像に委ねるところは相変わらず美点だと思うので、ミステリ好きの読者だけではなく純文学好きの読者にもぜひ一読いただきたい。

    次は長編だ。

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    2016年03月12日
  • 罪悪

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    前作の『犯罪』と同じ系統の15編の短編を収録。

    短編と言うよりも掌編小説と言った方が良いような小品もあり、前作に続き、不思議な魅力を感じた。全ての短編が創作なのだろうか。極めて淡々と冷めた視点で様々な市井の人びとの罪を描いた短編ばかりたのだが、救いのある短編もあれば、喪失感だけが残る短編、ミステリーの要素を感じる短編が混じる。

    短編に描かれる数々の人びとのの罪は現実に起こりうるものばかりだ。もしかしたら、短編に描かれる登場人物の名前は単なる記号に過ぎず、主人公は人間ではなく、人間の犯す罪なのかも知れない。これは、最後の作品の『秘密』に著者の名前が出たのを見ると、あながち的はずれではないよう

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    2016年02月20日
  • カールの降誕祭

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    シーラッハの安定した独特な文章に加えタダジュン氏のインパクトある版画絵の表紙や挿絵により、更なる相乗効果で作品一つ一つがとてもリアルに楽しめました。もちろん、決して楽しい内容ではないのですが、人間誰にでも潜んでいる悪や「罪とはなにか」について、とても深く考えさせられます。また、巻末の訳者酒寄進一氏の解説により、よりシーラッハが伝えたい意味も参考になりました。少し早めの自分へクリスマスプレゼントになりました。

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    2016年02月16日
  • カールの降誕祭

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    「パン屋の主人」
    「ザイボルト」
    「カールの降誕祭(クリスマス)」の短編3編収録。
    ザイボルトめいた状況は前の職場であった。直接面識はないが、お元気で過ごされているだろうか。

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    2015年12月24日
  • カールの降誕祭

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    不必要な文飾を極端なまでに削ぎ落とした簡潔な文体で描ききだされるのは、人間の内面に抑圧されてきた狂気とも、悪とも、暴力とでもひとまずは言える。これが、ゲルマン気質なのだろうか。秩序を愛し、中庸を尊び、ひたすら恭順に世間を生きている人びとが、ひとたび、世間の秩序だった世界の中に自分が容れられないと気づくや否や狂気に囚われた戦士のように衝動的な暴力沙汰を起こす。まるで、それまでの自己が偽りで、今剥き出しにされたのが、本来のあるべき自己なのだとでもいうように。淡々と事態を叙する記述がかえって、その世界の酷薄さを物語るようで、居ても立ってもいられないような強烈な読後感をもたらす。主人公の内にあって常に

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    2015年12月21日
  • コリーニ事件

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    感情を込めない淡々とした文章に戦争が及ぼす次世代への影響、法律の歴史、戦犯の別の側面などドイツが舞台ではありながら、どの国でも考えるべき問題が取り上げられています。

    ページ数も登場人物も少なめです。心情もあまり語られないし、登場人物たちの行動から推しはかるという描写が多いです。

    著者の祖父が元ナチスのユーゲント指導者だったという背景が作品に多いに影響していると思われます。この著者だからこそ描けた小説なのだと思います。最後の1ページが心に残ります。

    実際にドイツの政治を動かしたとも言われる社会派小説。日本だったらどうでしょうね?自国の戦犯の話って自分も責められているようですごく辛い。ドイ

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    2026年02月20日
  • 罪悪

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    超短編も含んだ短編集でかなり短いのに読み応えを感じた。一話目の後味の悪さが強烈で印象的。他作品にも期待。

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    2026年02月18日
  • 犯罪

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    『犯罪』

    シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。
    ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。

    「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのストーリーが待ち構えていると誰もが思うであろう。

    11章の短編で構成されたこの本はとても読みやすく、ドイツ文学初心者の方でもするりと入り込める。
    しかし、どんでん返しものではなく、現実の話のように「まあそうなるだろうな」と進む話が多い。至って単調な話の連続のように感じるが、彼の描くストーリーは調書や報告書など事務的なもの

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    2026年02月18日
  • 午後

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    シーラッハの作品は、なんというかストーリーに余白があって余韻が心地よい。
    決して居心地のよい話ではない事が多いのだが、読んだ後に、自分の心の中でいろいろなことが静かに共鳴する感じがする。

    本作は、言ってみれば短編集なのだろうが、短編とも呼べない、掌編ですらないくらいの数行で終わる作品もあって、尚且つ各編にタイトルがない。ないというか、単純に連番が振られている。訳者によれば、共感覚者であるシーラッハには、それなりの意味があって振ってある数字なのかもしれないが、それがまた読み手には自分でイメージを膨らませる余地になり、一層作品を味わい深くしている。

    作中にはいくつもの実在の小説や映画、歴史的事

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    2026年02月15日