フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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本屋大賞一位ということで、初めて読んだ。
面白かった。
刑事事件専門の弁護士の著者が語る「犯罪」。
罪は、ときに救いようがなく、とんでもなく不可解で、あるいは何がいけなかったのかと、どこで間違えてしまったのかと思うような危うさの上に、淡々と揺るがずにのっかっているというか…
大袈裟な表現もなく、ただ淡々と、嫌悪感も同情もすこし離れたところにおいたまま。
不思議な読後感だった。
味わったことのない、辛いとか甘いとかもはっきりしないような、うま味?のような満足。
「序」にある、著者のおじがいう「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」という言葉がストンと落ちてくる。
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Posted by ブクログ
『犯罪』よりも更に短いお話の多い、短編集。
「解剖学」なんか、たった3ページなのに、面白い。
美しい娘を拷問するために、あらゆる器具を揃えた男が、さて娘を捕まえる寸前に、車に跳ねられて死んでしまう話。
「欲求」は、夫に顧みられない妻が、裕福であるにも関わらず万引きを働く話。
よく、ドキュメンタリーにある構図で、虚構なんだけど、やりきれない。
ラストを飾る「秘密」が一番のお気に入り。
妄言ばかり繰り返し、精神科に連れられてゆく男を見ていると、何が本当で何が嘘かが、その刹那ひっくり返るような感覚に囚われる。
何から読もうと思っている人には、この量なら読みやすいように思う。オススメ。 -
Posted by ブクログ
フェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』創元推理文庫。
『コリーニ事件』に続く200ページ強の中編作品。『犯罪』『罪悪』のイメージが強いせいか『コリーニ事件』同様、読んでいて心に響くものが無く、無機的な単調さに物足りなさを感じた。もしかして、シーラッハの良さは短編にこそ生きるのではなかろうか。
主人公は文字に色を感じる共感覚を持つ写真家のゼバスティアンである。前半ではゼバスティアンの幼少期から写真家として成功を納めるまでが単調に描かれる。その後、ゼバスティアンが若い女性の誘拐と殺人の容疑で逮捕され、捜査官に強要され殺害を自供してしまう……そして、結末…… -
Posted by ブクログ
ネタバレテーマは面白い。
テロに遭った飛行機の乗客の命と引き換えに、満員のスタジアムの客を守ることを、法律は認めることが出来るのか。
命の多さで判断してはいけないという倫理。
また、より甚大な被害を出さないために小さな悪は許されるとする措置。
もしも、乗客が自力でコクピットのテロリストを制圧していたとしたら、は「仮定」の話。
それよりも、スタジアムから誰も避難させなかったという「必然」の方が、罪が大きいと感じた。
結局、これはコッホというパイロット一人を裁く話ではなく、テロリストという「あり得る」犯罪の中で、遂に働くことのなかったシステムの話なのだろうと読む。
しかし、国家の罪は問われない。
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Posted by ブクログ
うーん、よくわからん。ハイジャックされた航空機が、7万人を収容するサッカー場に突っ込もうとしている。法に従った命令を無視し、航空機を撃墜して乗客を死なせた軍人の行為は有罪か無罪か。二通りの結論が用意された戯曲なのだが…。
「法」について語ろうとしているのか、「倫理」についてなのか、あるいはその関係を問題にしているのか。これまでの作品では、そいういうものではとらえきれない人間の「わからない」部分に、作者の目は注がれていたと思う。してみるとこれも、黒でもあり白とも言える曖昧さに力点があるのだろうか。やはりよくわかりませんでした。
ついでに。作中で言及される「転轍器係の問題」(暴走する貨物列車 -
Posted by ブクログ
あ、あれ…?前作の「犯罪」が好きだったから手に取った続編。のはずなんだけど、こんなだったっけ…?
ざっとしか読み比べてないから違うかもしれないけど、随分「小説」に近づいた印象。前作は裁判記録や弁護士として聞いた証言から「最低限の物語」を抽出していた感じがする。表現は端的で正確、筆者の想像力は最低限に抑えられている、それでも溢れる人間味、ドラマ。そんなところに魅力を感じていたような。
今作はより作者の想像に彩られている。言ってしまえば事件中の会話が増大してる。「鍵」なんかはもうクライムノベルだよね。もちろん楽しんだけど、期待とのギャップが、、、うーん。
こんな批判はあんまりフェアではないとも思っ