フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
弁護士である『私』が出会った11の異様な『犯罪』を通して描かれるのは一見その辺にいるような『普通の人々』がふとしたことをきっかけとしてあっという間に『一線を越えてしまう』姿でありました。重いです。
表紙のおどろおどろしさに惹かれてつい入手して読んでおりました。筆者は現役の弁護士にして祖父はナチ党の幹部で全国青少年最高指導者という肩書きを持ったバルトゥール・フォン・シーラッハという方なのだそうです。
ここに収録されているのは全編が短篇小説で、その調書のような独特の乾いた文体で、『一戦を踏み越えてしまった人々』犯罪者達のありようやその人生を描いていきます。全編を貫くのはある種の『不条理さ』であり、一見、何の変哲も無い普通の人があることをきっかけに犯罪者へと転落していく姿がとてもやるせないものを感じさせてくれました。
そこに展開される哀しさや愛おしさというのはあるのかもしれませんが、やっぱりつらいものがあります。筆者はこういうことにおそらく日常的に接しているのでしょう。だからこういう本を書けたのかもしれませんが…。
『フェーナー氏』では『一生愛し続ける』と誓った妻を殺すという話で、『あれはしゃあないわなぁ…』と読み終えた後に感じておりました。
『タナタ氏の茶碗』はとある日本人実業家の家から街のゴロツキが金庫を盗むところから始まります。被害者は家宝の茶碗を是が非でも取り戻したいとあらゆる手を尽くすのですが…。『ガロテ』というキーワードを久しぶりに聞きました。
『チェロ』は裕福な家に生まれながらも、父親を嫌って家を飛び出し、二人だけで生きようとする姉弟のお話です。事故によって弟に障害が残り、チェロで生きていこうとした姉は…。というお話でこれも切なかったです。
『ハリネズミ』は犯罪一家に生まれた一人の人間が、警察に捕まった兄のためにあらゆる術を使って『無罪』を勝ち取る話です。主人公の末っ子は回りからバカにされていますが、実は驚くほど怜悧な頭脳の持ち主で、彼がそれを駆使する姿は圧巻でした。
『幸運』では戦争から逃れるためにドイツに不法入国し、売春で生計を立てる女性と、その恋人のお話です。『仕事中』に死んでしまった名士の遺体をどのように扱うかで物語が展開されていきます。運命に翻弄される二人が切なかったです。
『サマータイム』は不倫相手の女子大生を殺してしまったということで逮捕されてしまった実業家とその女子大生の彼氏との間で繰り広げられる三角関係を描いたお話で、ちょっとしたボタンの賭け違いが大きなずれになっていくということを実感しました。
『正当防衛』これが正直僕の中では一番好きな話で、電車の中で二人のネオナチに絡まれた男が、彼らを冷徹に殺し、警察に拘留されるという話で、彼は正当防衛を適応を検討するかどうかがミソなのですが、彼には自分を証明するものが一切無く…。そこが気に入らないということで、やきもきする刑事と弁護士である筆者とのやり取りは面白かったです。
『緑』は羊の目を恐れ、羊を殺しては眼球をくりぬくというグロテスクなことを続ける伯爵家の御曹司が主人公で、父親が持ち主の農夫にすでに弁済を済ませていたのですが、近所の少女は行方不明になるというお話です。少年が見つめていたものは…。ラストが少しつらかったです。
『棘』は彫像の『棘を抜く少年』の棘がどうなったか気になって仕方のない博物館警備員のお話で、最後の最後のカタルシスによって彼は救われたのかと未だに首を傾げてしまいます。
『愛情』は愛する女性の背中をナイフで切った青年が主人公で、本人は『事故』だと主張するのですが…。ラストを見て複雑な気持ちになりました。
『エチオピアの男』これはとても感動的なお話で、うまくいかない人生の末に銀行強盗をやらかした男がエチオピアに逃れ、逃亡先の町を豊かにするというお話で、この物語が唯一といっていいくらい『希望』をはっきりと感じさせるラストでございました。
何というのか…。全てのお話は『一筋縄ではいかない』ものばかりですが、よろしければ一読をという表現とどめます…。
※追記
本書は2015年4月3日、東京創元社より『犯罪 (創元推理文庫)』として文庫化されました。 -
Posted by ブクログ
★3の上
シーラッハ先生の4冊目。
ドイツの作家さん。
やたら名前が長いので(フェルディナント・フォン・シーラッハ)シーラッハ先生呼びで今後もいこう。
「犯罪」
「罪悪」
「刑罰」
という短編集3部作のうちの1冊。
まちがって最後の「刑罰」から読み始めて「犯罪」「罪悪」と来たけど何も問題なし。連作でもないからね。
犯罪系短編集のノンフィクション風味。15の短編。一番短いのは3ページ。一番長いので33ページ。
凄いな〜。
唯一無二じゃないだろうかこの人。
短い話なんだけど重くて。
読んでる時間よりも読み終わってから目を閉じて考えてこんでしまう時間のほうが長い。
ズシンと来る。
正でも誤でもなくて。
正でも邪でもなくて。
善でも悪でもなくて。
神も魔もない。
痛みと哀しみだけ。
初めに、アリストテレスの言葉が引用されている。
―物事をあるがままに―
まさに。
前も書いたけど、この人、ネタの引き出しがめちゃめちゃ多い。
元刑事事件の弁護士だけあるわー。
今度はこの人の長編を読んでみようかな。「コリーニ事件」以外の。
・ふるさと祭り
・遺伝子
・イルミナティ
・子どもたち
・解剖学
・間男
・アタッシュケース
・欲求
・雪
・鍵
・寂しさ
・司法当局
・清算
・家族
・秘密 -
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2010年クライスト賞(ドイツ)
2012年本屋大賞〈翻訳小説部門〉
『このミステリーがすごい!2012年版』海外編第2位
週刊文春2011ミステリーベスト10 海外部門第2位
『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇第2位
いわゆるミステリー小説ではなく、様々な「犯罪」の話を刑事事件専門の弁護士である著者が語る11編からなる短編集。
伏線やどんでん返しのようなドキドキする展開はなく、被告人が罪を犯すに至った過程を読み、客観的に罪について考えさせられる。
被告人は善人だったり、精神を病んでいることが多く、ただ犯罪者とくくれない複雑さがある。
やるせない気持ちでちょっと重たい気持ちになった。 -
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刑事事件弁護士として活躍する著者が、罪と罰の在り方を問う12編。
デビュー作『犯罪』、第二短編集『罪悪』に続く短編集3作目。翻訳者さんによるあとがきによると、作者さんは当初から三部作を構想していたそうです。
作中でどんな犯罪を描こうとも、書き方は常に淡々としていて心情描写も薄い。それなのに、何故か心がざらつく読後感。
犯罪と、罪と向かい合う仕事についている筆者さんにしか書けないものがある気がします。
解説でも似たようなことが書かれていますが、釣り合わない罪と罰、理想をもってなったはずの弁護士という仕事の理想と現実、現実のような虚構と虚構のような現実。そんなすべてをひっくるめた現実のやるせなさや心の傷を、文学として昇華し再構成しているような、そんな印象を受けます。
個人的に好きだった話は、『リュディア』。 -
Posted by ブクログ
今年の11月は濃厚過ぎたw
ってな事でフェルディナント・フォン・シーラッハの『テロ』
ドイツ上空で164人を乗せた旅客機がハイジャックされた。その旅客機は7万人の観客が居るサッカースタジアムへ向けて突っ込もうとしている。
緊急出動したラース・コッホ少佐は極限の状況で164人を乗せた旅客機か7万人居るサッカースタジアムをどちらかを犠牲にしないといけない状況下の中で旅客機を撃墜し164人を殺害し7万人を救った事になるが……。
その事に付いての裁判審議小説。
考えさせられる内容。究極の選択。どちらが正しいとは言えないもどかしさが有るけど、あなたなら有罪、無罪どちらを選択する?
どちらも正解で不正解かな?
人生、倫理、法律の狭間で人間は守られ苦しみながら生きてるのね。
2016年49冊目 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んでみた。
近年目にした映画(『犯罪』『コリーニ事件』)の原作者なのね。ご職業は弁護士だとか。
エッセイともルポとも短編とも見分けのつきにくい話が、長短さまざま48篇収められている。ブツブツと寸断されるので、なかなか読みすすむ勢いがつかず時間がかかった。
とはいえ、そんなにサクサクと読む類の文章でもない。
機知に富み、情報量も多い話が、職業柄か、理路整然とドライな筆致で綴られる。
48篇それぞれの長さも(短いものは1ページにも満たない)、著者の独特のリズムなのだろうなと思う。
「物書きであれば、創作した人間と言葉を交わし、その人たちと人生を共にできる。書く合い間に生じる時間はそのうちどうでもよくなる。書くことの方が本質だ。」
長編は読んでない。本書に収められた短編の小説もどきの文章に登場する人物たちと著者がどれほど言葉を交わし、文章を練り上げたのかは分からなかった。あまり心に残る登場人物はいなかった。
その中では、恋人だったボクサーのことを語る老婦人が印象的だったかな。
「ボクシングは暴力と勇気と自己管理がすべて」 -
Posted by ブクログ
やや星新一のようなブラックな読後感の短編集です。
こちらはSFではなく、ミステリですが。
人を殺した、という「罪」を抱く人々が裁判を通して「罰」を受けるというのが法治国家の当たり前の姿ですが、証拠として揃ったものから論理的に判断しているようにみえても、巧妙に真相が隠されていたり、罪を被った人が実は騙されていたりと、複雑な人間模様が濃縮された作品集です。
荒唐無稽な設定はなく、淡々と描かれる登場人物の描写にはリアリティがある一方で、やや「盛り上がり」に賭ける部分があるかもしれません。
イメージでいうと、どの作品も「どんよりした雲り空」のような雰囲気で、不快ではないし雨が降ったようなしんみりとした気持ちにもならないが、かといって楽しいわけでも心地よいわけでもない、というような感じでした。 -
Posted by ブクログ
ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の短篇集『罪悪(原題:Schuld)』を読みました。
「ハラルト・ギルバース」、「アンドレアス・フェーア」に続き、ドイツ作家の作品です… 「フェルディナント・フォン・シーラッハ」作品は、約2年前に読んだ『犯罪』以来ですね。
-----story-------------
罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。
──ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。
秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。
何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。
弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。
「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作!
解説=「杉江松恋」
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2010年(平成22年)に刊行された短篇集で、以下の15篇が収録されています… たった3ページの短篇というより掌篇というべき作品もあり、前作よりも、一つひとつの作品が短くて読みやすかったですね。
■ふるさと祭り(原題:Volksfest)
■遺伝子(原題:DNA)
■イルミナティ(原題:Die Illuminaten)
■子どもたち(原題:Kinder)
■解剖学(原題:Anatomie)
■間男(原題:Der Andere)
■アタッシュケース(原題:Der Koffer)
■欲求(原題:Verlangen)
■雪(原題:Schnee)
■鍵(原題:Der Schlussel)
■寂しさ(原題:Einsam)
■司法当局(原題:Justiz)
■清算(原題:Ausgleich)
■家族(原題:Famllie)
■秘密(原題:Geheimnisse)
■解説 杉江松恋
後味の悪い嫌な印象を残す物語の展開は、この第二作でさらにパワーアップ… でも、それがリアリティを感じる要因でもあるんですよね、、、
嫌だなぁ… と思いつつも、ページを捲る手が止まらない作品群でした。
そんな後味の悪い作品の中でも特に印象に残ったのは『ふるさと祭り』かな、、、
小さな町の六百年祭、ともかく熱い8月1日に、きちんとした仕事をしている人たちのブラスバンドのサークルでひどい暴行事件が起こる… 17歳の娘が楽団員たちにレイプされ、被疑者は楽団員の8人全員で、そのうちの誰か1人が事件を通報していた。
刑事訴訟では、被疑者は黙秘が許され、証拠を提出しなければならないのは告発側… 弁護士とは因果な商売で、明らかに犯罪者と分かっていても、そして裁かれるべきだと分かっていても、そちら側の利益に尽くすしかないんですよね。
やりきれない気持ちで読み進む物語が続くのですが、『鍵』については、ロシアの女にカミソリで大腿動脈を切られるシーンで、気分が悪くなりそうになりました… 刃物には弱いんですよねぇ、、、
大切な鍵を犬が呑み込んでしまい、糞まみれになって鍵を探すシーン等、ちょっとコメディの入った作品かと思って油断して読んでいたのに… このシーンの影響で、ある意味、忘れられない作品になりました。
珍しく嫌な感じが抑えめでカタルシスを感じれられるた『清算』も印象に残りましたね、、、
「アレクサンドラ」の結婚した相手は酒を飲むと暴力をふるった… それでも、我慢を続けた「アレクサンドラ」だったが、夫から「娘が10歳になったので俺の女にする」と聞き、さすがに許せなくなり、夫が寝ているときに彼を撲殺。
そして裁判では… 明らかに情状酌量の余地がある罪とは言えない罪でも行為としては犯罪になってしまう、、、
というのを大岡裁きで逆転させる展開… 珍しく痛快な筋書きでしたね。
最後に収録された『秘密』は、狂人と私の立場が入れ替わってしまうラストが象徴的… 作品の最終話を飾るに相応しいオチでした。
本シリーズ… 読みたくないけど、でも、読んでみたい… 魅力と嫌な感じが同居した、不思議な作品群ですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ――
少し趣を変えて、フェルナンド・フォン・シーラッハによる戯曲。
よく見たら本屋大賞翻訳部門獲ってたから趣変わってないかも。
2013年、ドイツ。テロリストによってハイジャックされた旅客機が、7万人の観客が集うサッカースタジアムに墜落させられようとしている。緊急発進した空軍少佐は独断でこれを撃墜、乗客164人を殺して7万人を救い、地上に戻ると即刻逮捕される。
舞台はその彼の裁判。参審員制が取られているドイツの法廷を舞台に、被告人、弁護人、検察官、裁判長の4人をメインキャストとし、証人 (弁護人側と検察側とのふたり、かと思ったのだけど実際は両方検察側みたいになっている)が時折そこに加わる6人舞台。廷吏も入れたら7人のキャスティング。
そう、つまり観客は、観客席から参審員として裁判に参加することになる。
そして観客の「判決」に応じて、物語にはふたとおりの結末が用意されている……という仕掛け芝居もの。
いわゆるトロッコ問題 (作中では転轍器係の問題、として言及されている)をテーマとして、観客に分岐を変えるか変えないかを選ばせるというのは面白い試み。
参審員、というのは日本で云う陪審員のようなもので、一般市民による法廷参加なのだけれどドイツの場合は少し特殊で、先ずはその権限が殆ど裁判官と同等であるということ、量刑まで判断が及ぶと云う点、そしてそれだけの権限を持っているからこそ選出方法が日本のように無作為ではなくて、政党等からの推薦であり、任期も5年あるというところから純粋な「一般市民」とは云えないところもある。これは第三者機関みたいな、法律の専門家ではない目線で事件を見ようとする狙いなのかしらね? 直観的には無作為に選ばれた陪審員よりもアテになりそうだな、と思ったけれど「政党等からの推薦」ってところが少し臭い。
さて全体的に、扱っているテーマとしては面白いものがあったのだけれどやはり戯曲として納めなければいけない部分もあろうて、事件の細かな部分が置き去りにされている風もあって、ミステリ読みとしてはそのへんが引っ掛かって少し消化不良なところ。
ところでこのトロッコ問題、最近ツイッタで見かけたポイントの上を車体が通過する瞬間に分岐させて前輪を本線に入れて後輪を支線に逃し、股割きみたいな状態にしてトロッコを止めるという解決方法が目からウロコだったわけだけれど、何年か前にポイントを中立にして脱線させる、みたいな方法も出てたから最近例を引かれる場合はトロッコにひとが乗ってるのかもしれない。脱線させたり急停止させたらそのひとが犠牲になりますよ、って風に。重箱の隅をつつくひとに対応して形を変える、これも民俗学か(違います
元々が「転轍器係」という、トロッコの行き先に責任を持つ職業を対象として提起されているものだから、正直一般的な人間に当て嵌めると本当に、正答なんてなくなってしまうのかもしれないなぁ、とも感じた。多分プロの転轍器係であれば、ひとりでも犠牲を少なくする、という思考に自然と傾くだろうし(それは、そうしなかった場合に非難が集まる、というのも勿論ある)、その立ち位置がこの作品では空軍少佐であり戦闘機パイロットである、という実力行使が可能な立ち位置なのだから、旅客機を撃墜して7万人を救ったという判断は当然じゃないか、と思ってしまった。
撃墜された旅客機の乗員の家族も証人として出てきたけれど、なんだか悪し様にヒステリックだな、とか思ってしまう自分にもどうかと思ったけれど。
それから検察官が被告人に対して、「旅客機に自分の妻と娘が乗っていたら撃墜したか?」という質問をして追い詰める場面も、なんだか設問的にそんなにフェイタルじゃない気もする。なんなら「スタジアムに自分の妻と娘が居たから撃墜したんじゃないか?」って方が設問としては恐ろしいよね。
と、いうわけでこの問題に対して、「手を下す」訓練を受けている軍人という職業を転轍器係としてしまうと、あんまり感情移入は出来ないんだなと感じました。ふぅむ。
☆3.1 -
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ネタバレ大好きな本屋大賞、2012年の翻訳小説部門第1位作品、このミス第2位等々、多くの賞の受賞作ということで手にした一冊です。
著者の作品は初読みでしたが、著者がうまいのか、訳者がうまいのか、やはり両者がうまいんでしょう。
※翻訳がうまいと感じたのは「獣どもの街(ジェイムズ・エルロイ)」の田村義進さん以来です。
11の短編は全てが刑事事件の弁護人として罪と犯罪者に向き合います。
1話あたりざっくり20P程度なんですが、なにせ描写がうまい。
特に印象に残ったのは「棘」、精神が崩壊していく様、そしてそこから立ち直るラスト、なるほど。
これってあり得なくないよなぁ...って思いながら、この時の犯罪者の心理って...なるほど、こんな感じなんだ...
ってな感じでサクッと読み終えました。
特に改行の使い方は計算されているなぁと感じた作品。
機会があれば他の作品も手にしてみたいと思います。
説明
内容紹介
【本屋大賞翻訳小説部門第1位】一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。──魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作! 解説=松山巖
内容(「BOOK」データベースより)
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
シーラッハ,フェルディナント・フォン
1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した
酒寄/進一
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
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ネタバレシーラッハの長編と短編を1冊ずつ読んで、今度は戯曲。
戯曲は好きだけど、会話劇だとさすがにあの独特な乾いた文体は味わえないのでそこは残念だった。
紹介文を読んだときは、この判断は本当に難しいな…と思ったが、途中でスタジアムの観衆を避難させる時間は十分あったとわかった時点で、一体何を裁く必要があるのか?と思ってしまった。
被告人のパイロットは確かに命令を無視して独断で行動したけれど、そもそもそんな決断をせざるをえない状況にしたのは誰なのか。
諸悪の根源テロリストは別として、次に責められるべきは避難という手段を取らなかった軍の対応ではないのか。
軍は命令が絶対、ということは、責任は当然トップにあるはず。それなのに被告人だけが責められている状況には違和感しかなかった。軍の責任者も別途起訴されているのならまだわかるのだが…。
その点で私は「無罪」を選択した。もし避難の時間がない前提としたら、、その場合はかなり悩むが、やはり無罪に傾いた気がする。
実際に舞台で上演されているのを観たかった。再演があれば行こうと思う。