フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2013年日本刊行、シーラッハの初長編作品とのこと。
『禁忌』は読んだことあったけど、あれよりもこちらの方が前だったとは。
やっぱりこの文体は好き。
どこか不穏でぴりっとした緊迫感が終始漂う。
決して奇をてらった表現や独特な言い回しがあるわけではないのだが、何がどうしてこの著者特有の雰囲気が生まれているのだ。
すごく物語世界に没入させられる。
訳者、酒寄さんの力量、推して知るべし。
ある夜ホテルで一人の大物実業家ハンス・マイヤーが元自動車組立工の年老いたイタリア人コリーニに殺される。
そこには強烈なまでの憎しみがあった。
殺害後自ら警察を呼ぶが、その後は黙して何も語らない。
新米弁護士のラ -
Posted by ブクログ
倫理や法律について論理的且つシニカルな短い逸話が繰り返されるが、多くが伝聞や書物に基づくものでサッチャー元首相の逸話なども事実か物語なのか迷わせる。
人権の話で、ドイツ基本法第1条では、「人間の尊厳は不可侵である」と定められているにも関わらず、2017年にベルリンで前年比60%増の947件の反ユダヤ主義の事件が起きており「私たちは言葉の外へは出られない。私たちの理解できるのは、理性だけだ。説明することを可能にするのは、つねに概念だ。 他に方法がない。しかし自然や生や宇宙にとって、そうした概念はなんの意味も持たない。重力波に善も悪もない。光合成に良心などない。 重力に対して、われわれは無力だ。」 -
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ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の長篇ミステリ作品『コリーニ事件(原題:Der Fall Collini)』を読みました。
『罪悪』に続き、「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の作品です。
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新米弁護士の「ライネン」は大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。
だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。
さらに「ライネン」は被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。
──公職と私情の狭間で苦悩する「ライネン」と、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。
犯人を凶行に駆り立てた秘めた -
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小説とエッセイと観察記録が入り混じっているのだが、その区分けの曖昧さが面白い。
シーラッハが弁護士だということを初めて知った。
事実は小説よりも奇なりという言葉があるが、裁判というのは、言い方は悪いけれど、類稀なるドラマが展開されている場と言えるのではないか。
仕事で、裁判の傍聴をしたことがあるのだが、その人が「語られる」こと、そしてその「語り」を聴いている当事者がいる空間。
これを、私自身はどんなスタンスで聴けばいいんだろうと、戸惑ったことを思い出した。
この作品では、誰もが震撼するような事件が扱われているのではない。
事実があり、そこに誰かが、何かが解釈を施すことによる「え?そういう -
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ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の短篇集『犯罪(原題:Verbrechen)』を読みました。
ドイツの作家の作品は… 「エーリヒ・マリア・レマルク」の長篇戦争小説『西部戦線異状なし』や、幼い頃に読んだり、聞かせてもらった「グリム兄弟」の童話『ヘンゼルとグレーテル』や『赤ずきん』、『ブレーメンの音楽隊』、『白雪姫』くらいしか手に取った記憶がないですね。
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【本屋大賞翻訳小説部門第1位】
グリム兄弟
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。
兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。
エチオピアの寒村を豊かにした、心 -
Posted by ブクログ
小説とルポタージュの境目を漂い、不思議な読書感を味わう。
作者は弁護士という職業から見た、様々な刑事事件を小説にしたという。
(守秘義務から実際に担当した内容は用いていないとあとがきにあったけど)
そこには大掛かりな組織犯罪や陰謀もなく、サイコキラーなどの強烈な犯罪もない。
一歩逸れれば誰にでもありうるところから、「少し」異常な犯罪に至る状況を淡々と描くことで、かえってその人物の心情を読み手に想像させる、または、時には読み切れない状態で謎を残す。
読者は、そのあやふやさもまた現実であろうことと、感じとることになる。
日本の裁判判例は、ネットで内容を検索することができる。
かつて、仕事上の