フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧

  • コリーニ事件

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    英小説は邦訳が読みにくくて苦手意識を持っているのですが、ドイツ小説はそうでもありませんでした。やはり言語にも相性はあるんですね。

    帯のとおりのあらすじです。刑事を担当する新米弁護士が一番最初に弁護人となったのは殺人事件の被疑者(被告人、コリーニ)でしたが、その被害者は実は親友の祖父だった、と。これだけ読んで、てっきり刑事弁護人の立場からくる心の葛藤を描いたものだと思っていました(それにしては政治を動かしたとは…程度で)。しかし、読み進めるにつれ、それだけではないことに気が付きました。コリーニが頑なに犯行の動機を口にしない理由が何だったのか、法廷の弁論で漸く明らかにされます。まるで自身も傍聴人

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    2024年02月10日
  • 神

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    欧米の近代的な自由の理念や自己決定権とキリスト教のせめぎ合いが、安楽死の問題を舞台に、抜き差しならない形で展開する。これは、思考実験とかではなく、まさに今、ドイツで起きていることと言っていい。ドイツ連邦議会が2015年に自死の介助を罰する法を制定したのに対して、ドイツ連邦憲法裁判所は2020年にそれを違憲としたのだ。西欧でここまで法的に安楽死を認める流れになっているとは知らなかった。

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    2024年02月04日
  • 神

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     個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いかけている。われわれ日本人が「神」から推察できる事は何か。西欧諸国がとらえる「死ぬ権利」について、日本人が同じ土俵で語る事は難しいという現実を読んでいて感じざるを得なかった。それにしてもシーラッハ作品を扱う酒寄氏の翻訳はいつ読んでも爽快である。

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    2024年01月27日
  • 神

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    ネタバレ

    冒頭の方で「自死」というべきです。「自殺」ではありません。自分自身を死に至らしめることは殺人ではありませんから(弁護士ピーグラー)という箇所があるが、日本ではほぼ同義に使っているが漢字を帰るだけで印象が変わると感じた。
    「わたしは死にたいのです。」(ゲルトナーの意思)
    「生きていたくないからです。」(それは何故か問われたゲルトナーの回答。)ここは死にたいという意思を言い換えているだけの印象をこの時点では持った。
    「孫のことは愛しています。しかし、孫がはたして理解してくれるかどうかわかりませんが、エリザベートが死んでから、わたしは半身をもがれたような感じなのです。(ゲルトナー)」他人同士が繋がり

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    2024年01月08日
  • 罪悪

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    この短編集もバラエティ豊かで面白かったです。
    淡々とした描写だけれど冷たくない。
    罪を犯してるけど裁かれなかった事件や、これから罪を犯そうとしてた人が呆気なく…もあり。遣る瀬無くなります。
    「アタッシェケース」「清算」に特に掴まれました。「清算」には、(そんな裁判官いるのか…)と思いました。
    「秘密」はそうきたか!とちょっと笑ってしまいます。

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    2024年01月05日
  • 珈琲と煙草

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    話の節々に、日本人と違う感覚を持っている人がいると感じた。この本ではコーヒーとタバコで自分の心を癒していたが、多分、人によってそれは何でも良い。自分の心を落ち着かせてくれるものを持っているという自覚が大事なんだと思った。あと、体に悪いものを結局好きになってしまうのは、世界共通であると感じた。

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    2023年11月18日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    2013年日本刊行、シーラッハの初長編作品とのこと。
    『禁忌』は読んだことあったけど、あれよりもこちらの方が前だったとは。

    やっぱりこの文体は好き。
    どこか不穏でぴりっとした緊迫感が終始漂う。
    決して奇をてらった表現や独特な言い回しがあるわけではないのだが、何がどうしてこの著者特有の雰囲気が生まれているのだ。
    すごく物語世界に没入させられる。
    訳者、酒寄さんの力量、推して知るべし。

    ある夜ホテルで一人の大物実業家ハンス・マイヤーが元自動車組立工の年老いたイタリア人コリーニに殺される。
    そこには強烈なまでの憎しみがあった。
    殺害後自ら警察を呼ぶが、その後は黙して何も語らない。
    新米弁護士のラ

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    2023年11月04日
  • 神

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    安楽死は、これからの社会では切実かつ避けては通れない問題です。
    自分はどちらか、と言えば…賛成側です。
    作中にて、最近、世間を騒がせているアノ問題にニアミスしています。
    日本では、ここ半年前から騒がれ始めましたが、作者の地元·ドイツを含む欧米では、発覚した当時は大騒ぎだったようです。以前聞いた話では、「修道院では就寝時、両手は毛布から出す」のが決まりだとか…
    本筋からズレてしまい、すみません

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    2023年10月10日
  • 珈琲と煙草

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    シーラッハの作品は、とても不思議。刑罰などの作品同様、文章は(エッセイでもあるしなお)淡々としている。のに、とても惹かれてしまう。どういうこと?なんで?を残したままのエッセイやお話もある。でもそこに、たまらなく惹きつけられてしまう。
    面白いとかそういうのではなく、これはもう、この人の書く文章が、書き方や想いが、ただ好きだとしか言い表せない。

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    2023年09月01日
  • 犯罪

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    こういう本を読むと、彼の国はそんなことになってるのねー、と興味深い。ドイツの本てのもなかなか読む機会ないしね。
    EUでは優等生のドイツだけど、暗部も抱えていそうで。でも金のあるところには人も犯罪も集まるということで、やっぱ活気があるんだろうな。
    というわけで色々と犯罪ネタがあって興味深い。よくある移民ネタもあるけど、国産品もいっぱいで、特にフェーナー氏とエチオピアの男は社会派っていうかね、人情派っていうかね、グッと来るものがあるよね。何故に飛んでアジスアベバーって意味わからんけど豪快で好きよ。

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    2023年07月03日
  • 珈琲と煙草

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    異様な罪を犯した人間たちの物語。幼少期の体験を描く自伝的エッセイ。社会のさまざまな出来事についての観察とメモ。法の観念と人間の尊厳、芸術についての論考。作家としての物語へのアプローチの仕方……。数ページずつ綴られる断片的な文章は、たがいに絡みあい、複雑で芳醇な文学世界を構築する。『犯罪』で脚光を浴び、刑事専門弁護士から現代ドイツを代表する作家となった著者による、最もパーソナルで最も先鋭的な作品集。

    ショートショートのような落ちの短編が気に入った。

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    2023年06月10日
  • 珈琲と煙草

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    倫理や法律について論理的且つシニカルな短い逸話が繰り返されるが、多くが伝聞や書物に基づくものでサッチャー元首相の逸話なども事実か物語なのか迷わせる。
    人権の話で、ドイツ基本法第1条では、「人間の尊厳は不可侵である」と定められているにも関わらず、2017年にベルリンで前年比60%増の947件の反ユダヤ主義の事件が起きており「私たちは言葉の外へは出られない。私たちの理解できるのは、理性だけだ。説明することを可能にするのは、つねに概念だ。 他に方法がない。しかし自然や生や宇宙にとって、そうした概念はなんの意味も持たない。重力波に善も悪もない。光合成に良心などない。 重力に対して、われわれは無力だ。」

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    2023年06月07日
  • 刑罰

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    久しぶりのシーラッハ。

    いつも通り、感情の起伏がない、淡々とした空気感。なのに、内容はやはり衝撃的でした。
    でも今回は、なぜかとても文学的な雰囲気を感じて、ちょっと感動してしまった。
    私のなかでは、ミステリーではなく、文学だな。

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    2023年05月21日
  • コリーニ事件

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    ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の長篇ミステリ作品『コリーニ事件(原題:Der Fall Collini)』を読みました。

    『罪悪』に続き、「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の作品です。

    -----story-------------
    新米弁護士の「ライネン」は大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。
    だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。
    さらに「ライネン」は被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。
    ──公職と私情の狭間で苦悩する「ライネン」と、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。
    犯人を凶行に駆り立てた秘めた

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    2023年03月25日
  • 珈琲と煙草

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    小説とエッセイと観察記録が入り混じっているのだが、その区分けの曖昧さが面白い。

    シーラッハが弁護士だということを初めて知った。
    事実は小説よりも奇なりという言葉があるが、裁判というのは、言い方は悪いけれど、類稀なるドラマが展開されている場と言えるのではないか。

    仕事で、裁判の傍聴をしたことがあるのだが、その人が「語られる」こと、そしてその「語り」を聴いている当事者がいる空間。
    これを、私自身はどんなスタンスで聴けばいいんだろうと、戸惑ったことを思い出した。

    この作品では、誰もが震撼するような事件が扱われているのではない。
    事実があり、そこに誰かが、何かが解釈を施すことによる「え?そういう

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    2023年02月26日
  • 刑罰

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    短編の切れ味が悪い。これは褒め言葉。澱のようにとどまり、ぞっとする。遅効性の毒のようにじわじわと心が歪に変形する感じ。

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    2022年12月14日
  • 犯罪

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    ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の短篇集『犯罪(原題:Verbrechen)』を読みました。

    ドイツの作家の作品は… 「エーリヒ・マリア・レマルク」の長篇戦争小説『西部戦線異状なし』や、幼い頃に読んだり、聞かせてもらった「グリム兄弟」の童話『ヘンゼルとグレーテル』や『赤ずきん』、『ブレーメンの音楽隊』、『白雪姫』くらいしか手に取った記憶がないですね。

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    【本屋大賞翻訳小説部門第1位】
    グリム兄弟
    一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。
    兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。
    エチオピアの寒村を豊かにした、心

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    2022年11月25日
  • テロ

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    9.11なども経て創作された架空裁判劇。二幕終わりに観客に投票を促し、その結果で結末も変わる。二幕の検察、弁護士それぞれの主張がおそらく重要だが、劇として上演するには少し固いかもしれない。それまでの被告、証人の証言の方が自分の身に迫ってくるところはある。被告の行いを受け手にゆだねるやり口は、森鴎外の『高瀬舟』に近しいものもあるなあと。

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    2022年10月09日
  • 禁忌

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    本を閉じてカバーを外してじっくり眺めて、あ゛〜。そして最初のページから読み直して愕然、というか底知れぬ味わい。なんか凄い。これまでのシーラッハの作品らしさを感じながら、より真摯に人間の内面を見つめている。芝居にもなるみたいだけど、上演台本難しそう。芸術ってホントややこしい。読み終わって、あれ?アレ?ってページを前にめくりだす体験って素晴らしいかも。

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    2022年09月27日
  • コリーニ事件

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    わずか190ページの長編(?)だが、重い。
     
    舞台はドイツ。
    新人弁護士の主人公が担当してしまったのは、家族同然の友人の祖父を殺害した男の弁護だった。

    ネタバレになるのでこれ以上は慎みますが、付いている帯を読むと予想できてしまう。
    が、分かっていてもおもしろい。
    いや、おもしろいなどという感想は不謹慎かな。
    腹にズシンとくる重みがあります。

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    2022年03月05日