フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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ネタバレ200ページぐらいの本なのだが…日本では、こんな本は書けないんじゃ無いかと思うかな。
無益な戦争、ナチス時代を背景にした悲劇。そして法律の落度…歴史に翻弄される人々…中々難しい本だと思う。
小説には、内面的な描写はあるけど、なんだろう著者の描写は、読者側が読んで想像するような書き方が、とても印象的だったので、深読みしてしまった…嫌いじゃないし、著者が何となく答えを教えてる、ちっとな文章と中々良かった!
読んだ事の無いタイプの本。外国作品は、登場人物ごちゃごちゃになるので、あんまり読まないが、この作品は数人だけで読みやすくて良い。
気になったら読んでみてください! -
Posted by ブクログ
文章を読んでいる最中に、あ、これ『テロ』の作者だったのか、と気付く。
奇矯な作品を世に出しては、有名になってゆく写真家ゼバスティアン。
前半は、彼の独特な感性を作るに至った少年期と、ゼバスティアンと適当な距離を保つことの可能な女性ソフィアとの出会いが語られる。
のだが。
ある時、唐突にゼバスティアンは殺人鬼と化し、まずは読者に「彼は殺人鬼か、否か」の採決を委ねられる。
ここから、後半、ゼバスティアンを弁護するよう依頼されたビーグラーの登場で、一気に話が面白くなってゆく。
私は先に『テロ』を読んでしまっているのだけど、この問いかけに思わず息をのむ。
「テロリストがベルリンに核爆弾を仕掛けたと考えてみてください。それも、あと一時間で爆発する。テロリストの身柄は確保しているが、爆弾の所在がわからない。わたしは決断に迫られます。犯人を拷問してでも、四百万人の人命を救うべきか、手をこまねいて、なにもしないでいるべきか?」
「人命を救うための拷問」は是が非か。
ビーグラー弁護士の舞台を、まずは読んでいただきたい。(もっとも、ゼバスティアンのケースと、テロリストのケースと、十歳の女の子が誘拐されたケースをひとまとめにして良いかは疑問だけど)
さらに、個人的には著者のあとがき「日本の読者のみなさんへ」も読むべき。
「日本の僧侶、良寛(一七五八ー一八三一)は死の床で、介抱する尼僧にこんな句を遺したといわれています。
うらを見せおもてを見せて散るもみぢ」
ドイツの作家さんから、良寛!?と、たまげた。
続き、読みたくなりませんか。
私は『犯罪』に戻っていきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・パン屋の主人
・ザイボルド
・カールの降誕祭(クリスマス)
短編が3作。
ぜんぶ合わせても100ページにも満たない。
そして犯罪が3つ。
そのうち殺人が2件。
しかし悪意をもった犯罪者はいない。
悪意をもたずに起こす殺人。
それは、犯人にとってはやむを得ない行動であるのだが、第三者からすると、行為に手を染めてしまうその一線が、壁の薄さがうすら寒い。
もう一人の犯罪者は…彼の犯した罪は、本当に社会悪だっただろうか?
しかし信念を持って起こした行動を、彼がずっと守ってきた法律が犯罪と断じた時、彼の中の何かが壊れてしまった。
彼の充実した人生は、一体どちらにあったのか?
短い小説ばかりだけれど、読んだ後に残されたものはとても重い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ憲法裁判所が違憲の判断をしているのに、それでもその法を執行する可能性を示唆していた元大臣。公然とそれを是認する議論をしていた軍部エリートの勉強会。表面上、旅客機を撃墜してはならないと命じながら、撃墜を前提とするかのように、スタジアムの避難を指示をしていなかった上層部(その判断をしたのは誰なのかは極めて曖昧。)
一見、被告人個人の有罪無罪が焦点のようだが、実はさらっと描かれている背景の「国家」が、とても怖い。
テロによる間接的影響として国家自身による民主主義や自由の理念の侵害が、実は一番怖いし、それこそがテロリストの狙いだと、訴える巻末のスピーチがついているのは、偶然じゃないぞ。
そういえば、「テロとの戦い」って、最近どっかの国の首相が声高に…。