フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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ネタバレ200ページぐらいの本なのだが…日本では、こんな本は書けないんじゃ無いかと思うかな。
無益な戦争、ナチス時代を背景にした悲劇。そして法律の落度…歴史に翻弄される人々…中々難しい本だと思う。
小説には、内面的な描写はあるけど、なんだろう著者の描写は、読者側が読んで想像するような書き方が、とても印象的だったので、深読みしてしまった…嫌いじゃないし、著者が何となく答えを教えてる、ちっとな文章と中々良かった!
読んだ事の無いタイプの本。外国作品は、登場人物ごちゃごちゃになるので、あんまり読まないが、この作品は数人だけで読みやすくて良い。
気になったら読んでみてください! -
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文章を読んでいる最中に、あ、これ『テロ』の作者だったのか、と気付く。
奇矯な作品を世に出しては、有名になってゆく写真家ゼバスティアン。
前半は、彼の独特な感性を作るに至った少年期と、ゼバスティアンと適当な距離を保つことの可能な女性ソフィアとの出会いが語られる。
のだが。
ある時、唐突にゼバスティアンは殺人鬼と化し、まずは読者に「彼は殺人鬼か、否か」の採決を委ねられる。
ここから、後半、ゼバスティアンを弁護するよう依頼されたビーグラーの登場で、一気に話が面白くなってゆく。
私は先に『テロ』を読んでしまっているのだけど、この問いかけに思わず息をのむ。
「テロリストがベルリンに核爆弾を仕掛 -
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ネタバレ目次
・パン屋の主人
・ザイボルド
・カールの降誕祭(クリスマス)
短編が3作。
ぜんぶ合わせても100ページにも満たない。
そして犯罪が3つ。
そのうち殺人が2件。
しかし悪意をもった犯罪者はいない。
悪意をもたずに起こす殺人。
それは、犯人にとってはやむを得ない行動であるのだが、第三者からすると、行為に手を染めてしまうその一線が、壁の薄さがうすら寒い。
もう一人の犯罪者は…彼の犯した罪は、本当に社会悪だっただろうか?
しかし信念を持って起こした行動を、彼がずっと守ってきた法律が犯罪と断じた時、彼の中の何かが壊れてしまった。
彼の充実した人生は、一体どちらにあったのか?
短い小説ば -
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ネタバレ憲法裁判所が違憲の判断をしているのに、それでもその法を執行する可能性を示唆していた元大臣。公然とそれを是認する議論をしていた軍部エリートの勉強会。表面上、旅客機を撃墜してはならないと命じながら、撃墜を前提とするかのように、スタジアムの避難を指示をしていなかった上層部(その判断をしたのは誰なのかは極めて曖昧。)
一見、被告人個人の有罪無罪が焦点のようだが、実はさらっと描かれている背景の「国家」が、とても怖い。
テロによる間接的影響として国家自身による民主主義や自由の理念の侵害が、実は一番怖いし、それこそがテロリストの狙いだと、訴える巻末のスピーチがついているのは、偶然じゃないぞ。
そういえば、「 -
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■命の尊さは数で比較できるか
旅客機をハイジャックしたテロリストが、7万人が詰めかけるサッカースタジアムに墜落させようと計画。 命令に反して、数百人が乗る旅客機を撃墜したコッホ空軍少佐を無罪にするべきか有罪にするべきか、という思考実験的な戯曲。
非常にナイーブな問題だが、自分が陪審員だとしたら断腸の思いで有罪にする。
理由は「どうして観客を逃がすことを考えなかったのか」という検事の一言に尽きる。
コッホ含め関係者全員「7万人か10 0人どちらを犠牲にするか?」ばかりを考えて、全員が助かる道を考え尽くしたといえない。
もし検事の言うとおり、「コックピットに乗客が押し入り、自らの力でテロリス -
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ミネット・ウォルターズの中編『養鶏場の殺人』が、とても強く印象に残っている。ウォルターズとしては珍しく、実際に起きた事件を小説化したものであり、やはり実際に起こったことのほうがむしろ小説よりも奇という場合もあるのだな、とじわじわと背筋に迫る人間の怖さを感じたりしたものだ。ついでに言えば、当該作品は、2006年イギリスのワールドブックデイにクイックリード計画の一環として刊行されたものであり、普段本を読まない人に平易な言葉で書かれた読みやすい本として提供されたそうである。
さて、本書『罪悪』は、日本国内でも上位にノミネートされて話題を呼んだ『犯罪』に次ぐ、現役刑事弁護士シーラッハの第二短編集 -
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犯罪、罪悪のような、淡々としてそれでいて怪しさをはらむ数式のような短編集。正直、シーラッハはすごく好きなんだけど前作「禁忌」が個人的にイマイチだったので不安だったが、これはヒット。
これぞシーラッハ節、というような芸術や文化たる整然さと人の業たるカオスさが混ざり合ってなんとも言えず不気味な雰囲気が全編にあふれていた。まさにブラッククリスマス。満足満足。…だけど、やっぱり最初に読んだ「エチオピアの男」を越える傑作短編は、まだない。
あれを越える話をこれからも求め続けるのは、シーラッハにハマった読者の業だろうか。来年再来年と、引き続きそれを期待しながら、また訳者の素晴らしくカオスを落とし込ん