フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧
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ミネット・ウォルターズの中編『養鶏場の殺人』が、とても強く印象に残っている。ウォルターズとしては珍しく、実際に起きた事件を小説化したものであり、やはり実際に起こったことのほうがむしろ小説よりも奇という場合もあるのだな、とじわじわと背筋に迫る人間の怖さを感じたりしたものだ。ついでに言えば、当該作品は、2006年イギリスのワールドブックデイにクイックリード計画の一環として刊行されたものであり、普段本を読まない人に平易な言葉で書かれた読みやすい本として提供されたそうである。
さて、本書『罪悪』は、日本国内でも上位にノミネートされて話題を呼んだ『犯罪』に次ぐ、現役刑事弁護士シーラッハの第二短編集 -
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犯罪、罪悪のような、淡々としてそれでいて怪しさをはらむ数式のような短編集。正直、シーラッハはすごく好きなんだけど前作「禁忌」が個人的にイマイチだったので不安だったが、これはヒット。
これぞシーラッハ節、というような芸術や文化たる整然さと人の業たるカオスさが混ざり合ってなんとも言えず不気味な雰囲気が全編にあふれていた。まさにブラッククリスマス。満足満足。…だけど、やっぱり最初に読んだ「エチオピアの男」を越える傑作短編は、まだない。
あれを越える話をこれからも求め続けるのは、シーラッハにハマった読者の業だろうか。来年再来年と、引き続きそれを期待しながら、また訳者の素晴らしくカオスを落とし込ん -
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作品紹介・あらすじ
ドイツでは、クリスマスに最も殺人が多い。十世紀から続く貴族トーアベルク家のクリスマスの惨劇を描いた表題作と、日本人の女子留学生に恋をしたパン職人の物語「パン屋の主人」、公明正大だった裁判官の退職後の数奇な運命を描く「ザイボルト」を収録。本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』のシーラッハによる珠玉の短編を、気鋭の版画家タダジュンの謎めいたイラストが彩る。ふたりの天才が贈るブラックなクリスマス・プレゼント。
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初めて読むシーラッハ。
名前はなんとなく知っていたし、「犯罪」が2012年本屋大賞の翻訳部門で1位を獲得したことも知っていたのでちょっと期待して読んでみたのだ -
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弁護士である『私』が出会った11の異様な『犯罪』を通して描かれるのは一見その辺にいるような『普通の人々』がふとしたことをきっかけとしてあっという間に『一線を越えてしまう』姿でありました。重いです。
表紙のおどろおどろしさに惹かれてつい入手して読んでおりました。筆者は現役の弁護士にして祖父はナチ党の幹部で全国青少年最高指導者という肩書きを持ったバルトゥール・フォン・シーラッハという方なのだそうです。
ここに収録されているのは全編が短篇小説で、その調書のような独特の乾いた文体で、『一戦を踏み越えてしまった人々』犯罪者達のありようやその人生を描いていきます。全編を貫くのはある種の『不条理さ -
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★3の上
シーラッハ先生の4冊目。
ドイツの作家さん。
やたら名前が長いので(フェルディナント・フォン・シーラッハ)シーラッハ先生呼びで今後もいこう。
「犯罪」
「罪悪」
「刑罰」
という短編集3部作のうちの1冊。
まちがって最後の「刑罰」から読み始めて「犯罪」「罪悪」と来たけど何も問題なし。連作でもないからね。
犯罪系短編集のノンフィクション風味。15の短編。一番短いのは3ページ。一番長いので33ページ。
凄いな〜。
唯一無二じゃないだろうかこの人。
短い話なんだけど重くて。
読んでる時間よりも読み終わってから目を閉じて考えてこんでしまう時間のほうが長い。
ズシンと来る。
正でも -
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2010年クライスト賞(ドイツ)
2012年本屋大賞〈翻訳小説部門〉
『このミステリーがすごい!2012年版』海外編第2位
週刊文春2011ミステリーベスト10 海外部門第2位
『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇第2位
いわゆるミステリー小説ではなく、様々な「犯罪」の話を刑事事件専門の弁護士である著者が語る11編からなる短編集。
伏線やどんでん返しのようなドキドキする展開はなく、被告人が罪を犯すに至った過程を読み、客観的に罪について考えさせられる。
被告人は善人だったり、精神を病んでいることが多く、ただ犯罪者とくくれない複雑さがある。
やるせない気持ちでちょっと重たい気持ちになった。 -
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刑事事件弁護士として活躍する著者が、罪と罰の在り方を問う12編。
デビュー作『犯罪』、第二短編集『罪悪』に続く短編集3作目。翻訳者さんによるあとがきによると、作者さんは当初から三部作を構想していたそうです。
作中でどんな犯罪を描こうとも、書き方は常に淡々としていて心情描写も薄い。それなのに、何故か心がざらつく読後感。
犯罪と、罪と向かい合う仕事についている筆者さんにしか書けないものがある気がします。
解説でも似たようなことが書かれていますが、釣り合わない罪と罰、理想をもってなったはずの弁護士という仕事の理想と現実、現実のような虚構と虚構のような現実。そんなすべてをひっくるめた現実のやる -
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今年の11月は濃厚過ぎたw
ってな事でフェルディナント・フォン・シーラッハの『テロ』
ドイツ上空で164人を乗せた旅客機がハイジャックされた。その旅客機は7万人の観客が居るサッカースタジアムへ向けて突っ込もうとしている。
緊急出動したラース・コッホ少佐は極限の状況で164人を乗せた旅客機か7万人居るサッカースタジアムをどちらかを犠牲にしないといけない状況下の中で旅客機を撃墜し164人を殺害し7万人を救った事になるが……。
その事に付いての裁判審議小説。
考えさせられる内容。究極の選択。どちらが正しいとは言えないもどかしさが有るけど、あなたなら有罪、無罪どちらを選択する?
どちらも -
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タイトルに惹かれて読んでみた。
近年目にした映画(『犯罪』『コリーニ事件』)の原作者なのね。ご職業は弁護士だとか。
エッセイともルポとも短編とも見分けのつきにくい話が、長短さまざま48篇収められている。ブツブツと寸断されるので、なかなか読みすすむ勢いがつかず時間がかかった。
とはいえ、そんなにサクサクと読む類の文章でもない。
機知に富み、情報量も多い話が、職業柄か、理路整然とドライな筆致で綴られる。
48篇それぞれの長さも(短いものは1ページにも満たない)、著者の独特のリズムなのだろうなと思う。
「物書きであれば、創作した人間と言葉を交わし、その人たちと人生を共にできる。書く合