フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧

  • コリーニ事件

    Posted by ブクログ

    シーラッハに魅せられて、これで6作品目。
    これまで読んだ短編に比べると、少し物足りなさを感じなくはないが、でも悲惨な出来事であっても登場人物の中にずかずかと踏み入るような事はせずに淡々と書くシーラッハならではの感触が心地よい。



    0
    2025年04月04日
  • テロ

    Posted by ブクログ

    文中でも哲学者の言葉が多用されているが、裁判と哲学を組み合わせて考えた事がなかったので面白かった。

    当たり前ながらドイツの裁判は日本の裁判とは違うという事も興味深い。

    シーラッハの作品は感情に走らず、かといって押しつけがましい事もなく、淡々と深いところを抉ってくるところがとても良い。

    0
    2025年02月14日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。
    現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。
    後書きを読んでもう一度本文を読み

    0
    2025年02月03日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    「さあ、櫂を漕いで流れに逆らおう。だけどそれでもじわじわ押し流される。過去の方へと」

    「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」

    ・様々な原因があって人は罪を犯してしまう。自分が今犯罪者にならずにいるのは、幸せなのだと気づいた。作者の言っていた通り、幸運に恵まれさえすれば何も起こらない。幸運に恵まれさえすれば。

    ・特に3つ目のチェロの話が好きだった。
    幸せになろうとしても、押し流されてしまう。彼女が罪を犯さずに幸せになれる方法が思いつかない。

    0
    2024年09月08日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    本物の弁護士が書いたミステリーで、「現実の事件に材を得て」とあったので、とてもリアリティーを感じました。
    一般的なミステリーとは違って、いろんな境遇の人たちの感情を描いた作品になっています。それでいて文体は極めて簡潔で、冷静なものです。
    描き方も一捻りあって、中には最後まで読むと「?」となり、頭から読み直したくなるものもありました。

    0
    2024年05月01日
  • 禁忌

    Posted by ブクログ

    私の頭が悪すぎて、全てを理解するのは無理でしたが、今までのシーラッハの作品にも通じる、一貫した「罪とは?」「犯罪とは?」という問いかけが、波のように押し寄せる1冊でした。
    奥深い。

    日本の読者のみなさんへ、が、良寛の一句から始まるとは思わず、嬉しいとの同時に、知識の深さに驚いた。

    0
    2024年04月27日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    思っていたものとは違い、最初戸惑いはしたけど、心地よい文章につられてつらつらと読んでいった。
    タイトルのない、短編のようなエッセイのような、時世に皮肉と共に一石投じているかのような話もあり。
    それぞれの話にはタイトルはなく、代わりに番号が話ごとに割り振られていた。
    完全に私に染みたかと言われると少し物足りない感じもあるけれど、よかった。

    0
    2024年02月29日
  • 神

    Posted by ブクログ

    最近気づいたシーラッハの新作。
    タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。

    法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。

    個人的には、なしであってほしいです。
    倫理観は、時代で変わっていくものかもしれないですが、ナチの事例をシーラッハが持ち出していることが、警鐘だと思いたいからです。

    この本を読む寸前にジャン=リュック・ゴダールがいわゆる安楽死を選択していた、という記事を読んだこと、また、やはりこの本を読む寸前に読んだアチェベの「崩れゆく絆」の主人公の最期のシーン、な

    0
    2024年03月03日
  • 罪悪

    Posted by ブクログ

    『犯罪』と同じテイストで、濃淡ある表現で、とりたてて珍しくない普通の人たちが薄氷から落ちるまでと落ちたあととを描いた物語です。

    のんびり読んだので、最初のほうは内容が抜けてしまいました……。最後の短編だけ、そのオチが他の短編とは異なり不気味さより面白さが先行していたことが印象的です。

    0
    2024年02月10日
  • コリーニ事件

    Posted by ブクログ

    英小説は邦訳が読みにくくて苦手意識を持っているのですが、ドイツ小説はそうでもありませんでした。やはり言語にも相性はあるんですね。

    帯のとおりのあらすじです。刑事を担当する新米弁護士が一番最初に弁護人となったのは殺人事件の被疑者(被告人、コリーニ)でしたが、その被害者は実は親友の祖父だった、と。これだけ読んで、てっきり刑事弁護人の立場からくる心の葛藤を描いたものだと思っていました(それにしては政治を動かしたとは…程度で)。しかし、読み進めるにつれ、それだけではないことに気が付きました。コリーニが頑なに犯行の動機を口にしない理由が何だったのか、法廷の弁論で漸く明らかにされます。まるで自身も傍聴人

    0
    2024年02月10日
  • 神

    Posted by ブクログ

    欧米の近代的な自由の理念や自己決定権とキリスト教のせめぎ合いが、安楽死の問題を舞台に、抜き差しならない形で展開する。これは、思考実験とかではなく、まさに今、ドイツで起きていることと言っていい。ドイツ連邦議会が2015年に自死の介助を罰する法を制定したのに対して、ドイツ連邦憲法裁判所は2020年にそれを違憲としたのだ。西欧でここまで法的に安楽死を認める流れになっているとは知らなかった。

    0
    2024年02月04日
  • 神

    Posted by ブクログ

     個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いかけている。われわれ日本人が「神」から推察できる事は何か。西欧諸国がとらえる「死ぬ権利」について、日本人が同じ土俵で語る事は難しいという現実を読んでいて感じざるを得なかった。それにしてもシーラッハ作品を扱う酒寄氏の翻訳はいつ読んでも爽快である。

    0
    2024年01月27日
  • 神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    冒頭の方で「自死」というべきです。「自殺」ではありません。自分自身を死に至らしめることは殺人ではありませんから(弁護士ピーグラー)という箇所があるが、日本ではほぼ同義に使っているが漢字を帰るだけで印象が変わると感じた。
    「わたしは死にたいのです。」(ゲルトナーの意思)
    「生きていたくないからです。」(それは何故か問われたゲルトナーの回答。)ここは死にたいという意思を言い換えているだけの印象をこの時点では持った。
    「孫のことは愛しています。しかし、孫がはたして理解してくれるかどうかわかりませんが、エリザベートが死んでから、わたしは半身をもがれたような感じなのです。(ゲルトナー)」他人同士が繋がり

    0
    2024年01月08日
  • 罪悪

    Posted by ブクログ

    この短編集もバラエティ豊かで面白かったです。
    淡々とした描写だけれど冷たくない。
    罪を犯してるけど裁かれなかった事件や、これから罪を犯そうとしてた人が呆気なく…もあり。遣る瀬無くなります。
    「アタッシェケース」「清算」に特に掴まれました。「清算」には、(そんな裁判官いるのか…)と思いました。
    「秘密」はそうきたか!とちょっと笑ってしまいます。

    0
    2024年01月05日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    話の節々に、日本人と違う感覚を持っている人がいると感じた。この本ではコーヒーとタバコで自分の心を癒していたが、多分、人によってそれは何でも良い。自分の心を落ち着かせてくれるものを持っているという自覚が大事なんだと思った。あと、体に悪いものを結局好きになってしまうのは、世界共通であると感じた。

    0
    2023年11月18日
  • コリーニ事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2013年日本刊行、シーラッハの初長編作品とのこと。
    『禁忌』は読んだことあったけど、あれよりもこちらの方が前だったとは。

    やっぱりこの文体は好き。
    どこか不穏でぴりっとした緊迫感が終始漂う。
    決して奇をてらった表現や独特な言い回しがあるわけではないのだが、何がどうしてこの著者特有の雰囲気が生まれているのだ。
    すごく物語世界に没入させられる。
    訳者、酒寄さんの力量、推して知るべし。

    ある夜ホテルで一人の大物実業家ハンス・マイヤーが元自動車組立工の年老いたイタリア人コリーニに殺される。
    そこには強烈なまでの憎しみがあった。
    殺害後自ら警察を呼ぶが、その後は黙して何も語らない。
    新米弁護士のラ

    0
    2023年11月04日
  • 神

    Posted by ブクログ

    安楽死は、これからの社会では切実かつ避けては通れない問題です。
    自分はどちらか、と言えば…賛成側です。
    作中にて、最近、世間を騒がせているアノ問題にニアミスしています。
    日本では、ここ半年前から騒がれ始めましたが、作者の地元·ドイツを含む欧米では、発覚した当時は大騒ぎだったようです。以前聞いた話では、「修道院では就寝時、両手は毛布から出す」のが決まりだとか…
    本筋からズレてしまい、すみません

    0
    2023年10月10日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    シーラッハの作品は、とても不思議。刑罰などの作品同様、文章は(エッセイでもあるしなお)淡々としている。のに、とても惹かれてしまう。どういうこと?なんで?を残したままのエッセイやお話もある。でもそこに、たまらなく惹きつけられてしまう。
    面白いとかそういうのではなく、これはもう、この人の書く文章が、書き方や想いが、ただ好きだとしか言い表せない。

    0
    2023年09月01日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    こういう本を読むと、彼の国はそんなことになってるのねー、と興味深い。ドイツの本てのもなかなか読む機会ないしね。
    EUでは優等生のドイツだけど、暗部も抱えていそうで。でも金のあるところには人も犯罪も集まるということで、やっぱ活気があるんだろうな。
    というわけで色々と犯罪ネタがあって興味深い。よくある移民ネタもあるけど、国産品もいっぱいで、特にフェーナー氏とエチオピアの男は社会派っていうかね、人情派っていうかね、グッと来るものがあるよね。何故に飛んでアジスアベバーって意味わからんけど豪快で好きよ。

    0
    2023年07月03日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    異様な罪を犯した人間たちの物語。幼少期の体験を描く自伝的エッセイ。社会のさまざまな出来事についての観察とメモ。法の観念と人間の尊厳、芸術についての論考。作家としての物語へのアプローチの仕方……。数ページずつ綴られる断片的な文章は、たがいに絡みあい、複雑で芳醇な文学世界を構築する。『犯罪』で脚光を浴び、刑事専門弁護士から現代ドイツを代表する作家となった著者による、最もパーソナルで最も先鋭的な作品集。

    ショートショートのような落ちの短編が気に入った。

    0
    2023年06月10日