フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧

  • コリーニ事件

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    感情を込めない淡々とした文章に戦争が及ぼす次世代への影響、法律の歴史、戦犯の別の側面などドイツが舞台ではありながら、どの国でも考えるべき問題が取り上げられています。

    ページ数も登場人物も少なめです。心情もあまり語られないし、登場人物たちの行動から推しはかるという描写が多いです。

    著者の祖父が元ナチスのユーゲント指導者だったという背景が作品に多いに影響していると思われます。この著者だからこそ描けた小説なのだと思います。最後の1ページが心に残ります。

    実際にドイツの政治を動かしたとも言われる社会派小説。日本だったらどうでしょうね?自国の戦犯の話って自分も責められているようですごく辛い。ドイ

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    2026年02月20日
  • 罪悪

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    超短編も含んだ短編集でかなり短いのに読み応えを感じた。一話目の後味の悪さが強烈で印象的。他作品にも期待。

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    2026年02月18日
  • 犯罪

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    『犯罪』

    シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。
    ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。

    「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのストーリーが待ち構えていると誰もが思うであろう。

    11章の短編で構成されたこの本はとても読みやすく、ドイツ文学初心者の方でもするりと入り込める。
    しかし、どんでん返しものではなく、現実の話のように「まあそうなるだろうな」と進む話が多い。至って単調な話の連続のように感じるが、彼の描くストーリーは調書や報告書など事務的なもの

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    2026年02月18日
  • 午後

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    シーラッハの作品は、なんというかストーリーに余白があって余韻が心地よい。
    決して居心地のよい話ではない事が多いのだが、読んだ後に、自分の心の中でいろいろなことが静かに共鳴する感じがする。

    本作は、言ってみれば短編集なのだろうが、短編とも呼べない、掌編ですらないくらいの数行で終わる作品もあって、尚且つ各編にタイトルがない。ないというか、単純に連番が振られている。訳者によれば、共感覚者であるシーラッハには、それなりの意味があって振ってある数字なのかもしれないが、それがまた読み手には自分でイメージを膨らませる余地になり、一層作品を味わい深くしている。

    作中にはいくつもの実在の小説や映画、歴史的事

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    2026年02月15日
  • 午後

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    ネタバレ

    章ごとに長さがまちまちの短編集で、数ページの話もあれば、1ページにも満たない話もあり、テンポよく読み進められる。なかでも印象に残ったのは東京を舞台にした物語。働き過ぎや過労死、企業イメージを和らげるためのマスコットのぬいぐるみが日本のイメージなんだと感じた。
    また、サミュエル・ベケットの引用が心に響いた。失敗しても、また挑み、今度はもっと上手に失敗できたらいい。
    午後にコーヒーを飲みながら読みたい一冊。

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    2026年01月28日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    読み終わった後苦い思いが残る。
    静かにその時を待ち続けるだけに費やしたコリーニの人生。ハンスは自分が殺される理由を知っていたのだろうか。死の間際ハンスが跪いていたのは脅されたからではないと思いたい。
    読みながら、私はライネンに、ヨハナに作者が重なった。最後の2人の会話は胸に迫った。

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    2026年01月09日
  • 午後

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    一筋縄ではいかない人間の愛と憎悪、ドイツの弁護士でありの小説家シーラッハが描く至極の短編集 #午後

    ■きっと読みたくなるレビュー
    悪に落ちていく人間を描いた短編集『犯罪』『罪悪』で有名なフェルディナント・フォン・シーラッハ。

    今回は作家であり弁護士の主人公が、パリ、東京、ウィーンなど世界中の訪れた先で様々な人と出会い、彼らから不思議な話を聞くという筋立て。

    また世界各国の文学や出来事についての言及もあり、そもそもこの本に書かれている内容は、フィクションなのかシーラッハ本人のエッセイなのか、よくわからなくなってくる。

    出会った人から聞くお話は比較的短めではあるのですが、どれも異様な世界観

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    2025年12月22日
  • 午後

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     シーラッハ2冊目、最新刊の短編集です。200ページ足らずの本書には26編が収められ、長くて20ページ程度、短いものは1ページ、それもわずか3行という掌篇もあります。そして各話にタイトルがなく、通し番号が付されています。

     読み始めは1話ごとの脈略やテーマがよく判らず少し困惑しましたが、デビュー作同様、弁護士・作家である著者の〈私〉が登場し、かつて仕事等で訪れた世界各地で誰かと出会い、打ち明け話を聞くというエピソードが淡々と語られます。

     過去にあった事実、その人生の断片は、どこまでが創作か境目があやふやで、幻想か現実かが曖昧な印象です。各掌篇の好みの振れ幅が大きいと思いました。トータルで

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    2025年12月22日
  • 珈琲と煙草

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    シーラッハの自伝的エッセイ

    エッセイとはいえ、明るい雰囲気はなく、いつものように、淡々とした文章なのに、情景がリアルに思い浮かぶ

    なぜかものすごく、惹かれてしまう
    大好きな作家

    とにかく、哲学的で文学的で、理論的

    本当に好きだなー

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    2025年11月30日
  • 神

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    自殺幇助は許されるのか。
    憲法は自己決定権を尊重しているが、自分を殺すことは許されるのか。そして、死にたい人の自己決定を十分に尊重し、その手助けをするべきなのか。そして、その判断は誰がするのだろうか。神やコミュニティがそれを許すのだろうか。

    難しい。個人的には、自殺は許容できても、それを手助けすることまでは許容できない。自殺の意思を改めさせようと手を差し伸べるのが社会の役割であることには変わりがないようには思う。そして、コミュニティがそれを許してしまったら、やはり不寛容な社会が到来するようにも思われる。

    魂は神ものなのか?幸福こそが生きる意味なのか?難しい議題ではあった。

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    2025年07月31日
  • テロ

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    トロッコ問題。

    テロにハイジャックされた旅客機が、七万人を収容するスタジアムに突入しようとする。憲法の規定とは異なる判断をし、旅客機を撃ち落とした軍人に下される判決は何が妥当かを問う。

    自分が、軍人パイロットか、裁判官になるかで、答えは変わってくるかもしれない。

    参審員の立場だったら、有罪を判決すると思う。法はあくまで法にあるのに過ぎないが、それでも、モラルの集合体が法である。法を絶対不可侵であると考えるわけではないが、それでも、今までの人間のモラルの積み重ねであることは否定できない。また、人の尊厳を比べることができないのも賛成。

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    2025年04月16日
  • コリーニ事件

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    シーラッハに魅せられて、これで6作品目。
    これまで読んだ短編に比べると、少し物足りなさを感じなくはないが、でも悲惨な出来事であっても登場人物の中にずかずかと踏み入るような事はせずに淡々と書くシーラッハならではの感触が心地よい。



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    2025年04月04日
  • テロ

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    文中でも哲学者の言葉が多用されているが、裁判と哲学を組み合わせて考えた事がなかったので面白かった。

    当たり前ながらドイツの裁判は日本の裁判とは違うという事も興味深い。

    シーラッハの作品は感情に走らず、かといって押しつけがましい事もなく、淡々と深いところを抉ってくるところがとても良い。

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    2025年02月14日
  • 犯罪

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    弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。
    現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。
    後書きを読んでもう一度本文を読み

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    2025年02月03日
  • 犯罪

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    「さあ、櫂を漕いで流れに逆らおう。だけどそれでもじわじわ押し流される。過去の方へと」

    「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」

    ・様々な原因があって人は罪を犯してしまう。自分が今犯罪者にならずにいるのは、幸せなのだと気づいた。作者の言っていた通り、幸運に恵まれさえすれば何も起こらない。幸運に恵まれさえすれば。

    ・特に3つ目のチェロの話が好きだった。
    幸せになろうとしても、押し流されてしまう。彼女が罪を犯さずに幸せになれる方法が思いつかない。

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    2024年09月08日
  • 犯罪

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    本物の弁護士が書いたミステリーで、「現実の事件に材を得て」とあったので、とてもリアリティーを感じました。
    一般的なミステリーとは違って、いろんな境遇の人たちの感情を描いた作品になっています。それでいて文体は極めて簡潔で、冷静なものです。
    描き方も一捻りあって、中には最後まで読むと「?」となり、頭から読み直したくなるものもありました。

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    2024年05月01日
  • 禁忌

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    私の頭が悪すぎて、全てを理解するのは無理でしたが、今までのシーラッハの作品にも通じる、一貫した「罪とは?」「犯罪とは?」という問いかけが、波のように押し寄せる1冊でした。
    奥深い。

    日本の読者のみなさんへ、が、良寛の一句から始まるとは思わず、嬉しいとの同時に、知識の深さに驚いた。

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    2024年04月27日
  • 珈琲と煙草

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    思っていたものとは違い、最初戸惑いはしたけど、心地よい文章につられてつらつらと読んでいった。
    タイトルのない、短編のようなエッセイのような、時世に皮肉と共に一石投じているかのような話もあり。
    それぞれの話にはタイトルはなく、代わりに番号が話ごとに割り振られていた。
    完全に私に染みたかと言われると少し物足りない感じもあるけれど、よかった。

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    2024年02月29日
  • 神

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    最近気づいたシーラッハの新作。
    タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。

    法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。

    個人的には、なしであってほしいです。
    倫理観は、時代で変わっていくものかもしれないですが、ナチの事例をシーラッハが持ち出していることが、警鐘だと思いたいからです。

    この本を読む寸前にジャン=リュック・ゴダールがいわゆる安楽死を選択していた、という記事を読んだこと、また、やはりこの本を読む寸前に読んだアチェベの「崩れゆく絆」の主人公の最期のシーン、な

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    2024年03月03日
  • 罪悪

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    『犯罪』と同じテイストで、濃淡ある表現で、とりたてて珍しくない普通の人たちが薄氷から落ちるまでと落ちたあととを描いた物語です。

    のんびり読んだので、最初のほうは内容が抜けてしまいました……。最後の短編だけ、そのオチが他の短編とは異なり不気味さより面白さが先行していたことが印象的です。

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    2024年02月10日