吉上亮のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
はー今回の話もとても楽しかった……。
やはり岸辺露伴シリーズどの作品も外れがない……最高……。
と言うわけで早くも2冊目です。
岸辺露伴、短編としても丁度いい長さなのでサクサク読めてしまいますね。というか「岸辺露伴今回は何やらかすんだろう」という気持ちが先走りすぎて早くページを捲りたくなっちゃうんですよね。
もはやこれだけ先を読みたくなるってこの本がもう奇妙な存在なのでは?と思ってしまうくらいなんですけど。
と言うわけで今回も簡単な感想を。
「幸福の箱」
知り合いである古美術商の家に招かれた岸辺露伴はそこで「幸福の箱」という謎の物体を見せられる。「幸福が詰まっている箱」という胡散臭さに初めは相手にしなかった露伴だが、ふいにその箱が崩れてしまう。慌てて元通りに組み立て始めた露伴だったが、突然部屋の中に幸福が次々に訪れ始める……。
何か、この話はあれですね、かつてのオカ板とかに長編で載ってそうな感じの話しですよね。
「箱を組み立てる」というワードからリンフォン思い出したからかもしれませんが。あの話は岸辺露伴に物凄く合いそうだよなぁ、うっかりやっちゃいそうだもんなぁ岸辺露伴。
とはいえこの話は……まぁある意味ではリンフォンのオチのようなものなのかもしれません。まぁ結局あれなのです、生きている人間ほど怖いものはないっていうね。
「夕栁台」
ある日公園でスケッチをしていた岸辺露伴は言葉を話さない不思議な少年と出会う。少年の母親曰く、夕柳台という土地に住んでいたときに「ニタニタ笑う猿」に襲われた恐怖で声が出なくなってしまったという。猿の正体を確かめるべく、岸辺露伴は夕柳台に向かうが……。
これもすっごく最近の都市伝説!って感じのする話でした。
最近って子どもが遊ぶとうるさいと苦情が入ったりとか、ちょっとでも騒音が鳴ると問題になったりとか、とにかくこう、ちょっと生きにくい部分がありますよね。そこに関する話なんですけど、うーんでも流石にここまで徹底されたら他の住人住めないだろ……あと誰か分からん墓に願ったらダメだよ、何が出てくるか分からないよ、実際やばいやつ出ちゃったしさ……。
露伴の力で自分達のしていたことが跳ね返るようになってしまった彼らは一体どうなったのでしょうか、まぁ選択肢はひとつしかないと思いますが。
「シンメトリー・ルーム」
とある大学に取材として訪れた岸辺露伴。何でもその大学の新校舎で学長が「アジの開き」のようになって死んだと言う。どんな奇妙な出来事が待っているのかとワクワクしながら向かった露伴だったが、そこで出会ったのは全てがシンメトリーになっている男だった。
この話ちょっと説明が難しいんだよなぁ……最初はヒトコワ系だなぁ?とか思いながら読み始めたんですけど、いやまさかそっちに持っていくの?いやまぁ確かに伏線はあったが?えっそうなの???となってしまう話。前の話もそうだったんだけど由来がよく分からないものを極度に崇めてはいけませんって事なのかもしれません。
それにしても岸辺露伴、化物と戦い馴れしすぎている……適応能力が高すぎる。
たまに「この人アホなんかなぁ」と思うのですが(嬉々として危機に飛び込んでいくので)流石人気漫画家、頭の回転は速いんだなぁ。
「楽園の落穂」
とある雑誌からグルメ漫画のオファーを受けた岸辺露伴。ネタに迷う露伴に編集者は「楽園の落穂」という特別な小麦を紹介する。その小麦は食べた者の体質を変え、何と小麦アレルギーすら克服することが出来るという……。
正直に言います。
こういう系の話ちょっと苦手なんで本当にちょっとずつ読みました。
だって怖いじゃん、スリラー系って言うの?何かよく分かんないものに追いかけられ続ける話怖いじゃん、読んでて疲れるし。
それにしてもこの「楽園の落穂」、恐らく発想は作中にも出てくるように生物を操るタイプのアレなんでしょうけど、もしも私達が普段食べているものにこんな恐ろしいものが混ざっていたら……と思うとゾッとしてしまいます。
そして完璧に退治したと思っても何故か生き残りがいるのもこのタイプの話のあるあるなんですよねーっていう。
さて。
今回も色々なタイプの話がありましたが、個人的には「幸福の箱」が一番好きだったかもしれません。
シンプルに化物が出てこない話っていうのもあるんですけど、何だろう……人間の愚かさみたいなのも同時に入ってる気がしたんですよね。
とりあえず思っていることは我慢せずに相手に伝えるのが大事だな、ってことで。
そして前々から思っていたけど岸辺露伴……世にも奇妙な物語のテーマソングとの親和性高すぎない……? -
Posted by ブクログ
近未来警察小説ですが、わたしにとっては祈りの物語でした。「更生させる」と言葉で言うのは簡単かもしれないけど、それを成すためにはものすごい労力とか忍耐が必要だなと思う。そしてなにをどうやってもわかりあえない人間というものもたしかにこの世には存在するのかもしれないと思ってゾッとした。巻き込まれて失われていった人たちを思うととてもつらいけど、残された人たちは亡くなった人たちに恥じないように生きてほしい。それが亡くなった人たちへの弔いだと思うから。最後の皆規のセリフで泣きそうになりました。
そして相変わらず吉上先生の暴力の描写は容赦がなくて背筋が凍る。
続編があるのでしょうか?静真と正暉の物語がまた読みたいです。 -
Posted by ブクログ
伊藤計劃氏が亡くなってから16年
この“トリビュート”が出版されてから10年
その間、
大きな地震や災害が続き、パンデミックが現実となる。
理由のよくわからない戦争が続き、ドローンや無人兵器が実戦で用いられる。
SNSを用いた世論誘導、生成AIの実用化やマルウェアなど、目に見えない相手の脅威が現実となる。
現実がSFを超える日、それでも読まれる物語がある。
『虐殺器官』から続く天国と地獄の薄っぺらな境界線上での綱渡り……現代ジャパニーズSFの王道となった感がある。
多少の好き嫌いはあるもののどれも圧巻の出来栄えで、分厚い本の残ページが消えていく。
最終話、長谷敏司『怠惰の大罪』が特に響いた。
まるでドン・ウインズロウ『犬の力』を読んでるようで、SF集であることを忘れた。AIの及ぼす「天国と地獄の境界線」が、ノワールにまで入り込むとは……。
面白かった。 -
匿名
ネタバレ 購入済み伝説というもの
「伝説の」という表現に興味を深く持ちました。スケールも想像以上に大きく広く、十分読んでいて楽しめる内容だといえます。