文倉十のレビュー一覧
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南北で争う街の権力者同士の商戦に巻き込まれたロレンス。
行商人としてはそれなりの経験を積んできた一人前の商人であっても、街ひとつを取り仕切る商会の上役たちのまえには単なる歯車、手先の一人にしかなれません。
ですが、大きな流れに巻き込まれつつもホロとコルの支えを頼りに今回も無事に難局を乗り切ることができました。コルの「素直さ」が、ひねくれているホロとロレンスの心情を照らし出す場面も多く、二人の関係性もさらに親密になっているように感じます。
ホロの心中は穏やかではないと思いますが、エーブ・ボランと培った絆はこの後も何かしらの形でロレンスたちの旅路の力になってくれるのではないでしょうか。
奮闘の -
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狼の化身であるホロと旅の行商人ロレンスの冒険を描く『狼と香辛料』シリーズが17巻で完結した後の後日談を描くSpring Logシリーズも、順調に物語が進み、あっという間に5冊目となった。前巻で二人が新たな冒険の旅に出ることが決まり、今回はいよいよ旅を始める二人が描かれる。
ただしSpring Log Vの感想にも書いたように、今回は二人には明確な目的があるわけではなく、「二人が幸せでい続けるため」の旅なので、旅の進み方もかなりゆっくりしている。最近ではホロもだいぶ受け入れているように見えるが、ほぼ悠久の命を持つホロと違い、ロレンスは人としての命の長さしか持っていない。そのためホロはいつかロレ -
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ウーバンでの騒動は前巻で一段落と思ったけど、なかなか余波は収まらない様で。
そりゃあ薄明の枢機卿の名前があれだけデカくなっていた上にあの活躍じゃそうですよね。
そんな中で公会議は着々と開催の日が迫ってきている。
そうなるとそれに関わる人の周りは騒がしくなるのは間違いない。
コルとミューリはもちろんの事、王国も商人も教会も自身の思惑を通したいし、相手の思惑に踊らされる事も…
そんな中でも若い二人は着々と成長します。ただ、その成長度合いはミューリの方が上で。さすがは賢狼の娘と言えるような感じになってきました。
しかし、自身の感情はなかなかそれについていけない。その戸惑いは上手にお姉さん方がフォロ -
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ネタバレいやあますますおとぎ話みたいになってきたなあ笑
前巻から続く月を狩る熊が塞いだ南への道を巡るお話。
更なる選帝侯も登場してシリーズで一番権謀術数が繰り広げられた気がする。
二転三転の展開が面白かった。
クライマックスのそう来たか感とおとぎ話感がすごい。
それにしてもコルは成長したよなあ。
初期のオロオロした感じはすっかりなくなり貫禄が出てきた。
薄明の枢機卿と言う地位が人を育てたという所だね。
異教の神々の伝承編と銘打たれた本作では初めて月を狩る熊の実態の一端が語られて、今までとは異なる解釈が出てきたわけだけど、この先、どこかで月熊そのものが姿を現す可能性はあるだろうか?
個人的には半々 -
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ネタバレシリーズ回を追う毎に段々スケールがデカくなってきたなあ。
いや、面白かった。
今回は月を狩る熊をめぐるミステリーと天文学者の追跡劇と夜の海での海戦と言う、なかなか盛りだくさんで贅沢な内容。
前回、薄明の枢機卿の名前に伴う責任から逃げずに果たす事を決めたコルが益々頼もしくなってきている。
追ってきた商会の船にミューリの背に乗って飛び移るとこなんか、もうヒーローだよね。
そういう意味では段々ミューリとの力関係も変わってきているように感じる。
それはそれで頼もしいのだけど、コルにはいつまでもミューリの我儘に付き合わされてため息を吐く関係でいてほしいなと思ったり笑
それにしても天文学者奪還に集まっ -
- カート
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試し読み
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購入済み
面白い!
『理想のヒモ生活』第20巻は、シリーズのファンにとって待望の一冊であり、期待を裏切らない内容が詰まっています。主人公である善治郎の成長が顕著であり、彼の決断や行動が物語全体に大きな影響を及ぼします。彼が新たに直面する困難や、過去の選択がどのように結びついてくるのかが見どころです。
また、善治郎を取り巻くキャラクターたちの関係性もますます深まっていきます。特に、ヒロインたちとの絆が強まる描写が魅力的で、読者は彼らの人間関係に一層感情移入できることでしょう。新たに登場するキャラクターも物語に新風を吹き込み、彼らがどのようにストーリーに絡んでいくのかが非常に興味深いです。
世界観の広がりも本巻の -
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シリーズ8巻に入り初の上下巻。シリーズはそこそこ続いているものの、会話劇と心理的かけひきの面白さが落ちてくるどころか、ますます冴えてきていると感じます。
このあたりまでくるとプロットの巧みさはもちろんのことですが、キャラクターそれぞれの性格と、小説の世界観が完全に噛み合っているからこそ、面白いのだと感じます。
今回はシリーズで初めて表紙にホロがいません。それもあってか、ある意味ではホロ以上に厄介な人物たちが、この巻では存在感を発揮します。
前巻で因縁ができたやり手の女性商人・エーブとの緊張感あふれる心理戦もさることながら、この巻ではロレンスが所属する商会すらも敵になるかもしれない、