エミリー・ブロンテのレビュー一覧
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ネタバレ恋のから騒ぎの曲。
昼ドラ華の嵐。
上巻はストーリーが面白くて夢中で読んでいたが、下巻では登場人物が想像できない程に残酷で、続けて読む気がしなかった。
こんなに酷い人間を創造できる作者の女性が怖かった。
作者の父親はアイルランド出身で差別されていた。
閉鎖的な田舎で暮らしていた環境が残酷なキャラクターを生み出したのか。
ベルギーに留学しているので、視野は広げられたはず。
あとがきによると、同じ時代のジェインオースティンは、幸せに育てられて、その著書の内容にも反映されている。
環境と教育が大事。
ヒースクリフを親切で拾ってきたばっかりに、隣家も巻き込んで不幸の連鎖。
代々同じ環境で育つと、不 -
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ネタバレ以前から気になっていたけれど、モームの読書案内で取り上げられていたことに背中を押されて手に取りました。(三浦しをんの初期のエッセイでも紹介されていたような)
物語の舞台は200年以上前、重苦しい表紙をみて恐る恐る読み始めたけれど、作品の世界にどっぷり浸かってしまいました。
どの登場人物も安易に感情移入させない癖と強さを持ち、(こんなにたくさんの登場人物がいても好きと思える人がいない)ぎらぎらした感情表出やぶつかり合いに思わずひるんでしまう。
これは時代性なのか、国民性なのか、特異な気質なのか、とにかく馴染みがなくてしげしげと眺めてしまいます。
一方で、訳者の解説にもあるように、そこへユーモ -
購入済み
この緻密で酷薄で、これほどに情熱的な物語を、1800年代というだいぶ前の、田舎に住む、おそらくは人生経験も限られた二十代の女性が完成させたとはとても信じられません。
まさに唯一無二と言ってよいでしょう。
そしてこの激しい作品を完成させた女性は、人生に挫折し若くして逝去した実兄の後を追うように、三十歳で亡くなりました。常に毅然とし、作品へのどのような評価も聞き流していたといいます。
天国の眠りとしての成就でなく、迷える魂となって再び荒野を駆け巡りたい。
そう断言した著者を、心から敬服します。
翻訳者も、心底疲れたとあとがきに書いていましたが、著者の強くどこまでも深い魂に触れた、本当によい翻 -
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解説をまだ読んでないので凡庸な感想かどうか分からないし、歴史的背景を調べてまで書こうとも思わない。だからいい加減で無責任である。
題名である嵐が丘と作者が名付けたのは、ヒースクリフの存在がアーンショウ家にとって大きな災厄をもたらす悪魔的存在の隠喩?(表現あってる?)からなのでだろうか。
私は本書をヒースクリフとキャサリンの悲劇的恋愛を主軸とした物語だとは思えなかった。それはヒースクリフに対して同情心を誘うような小説的技法が全くなかったからである。むしろ本書のメインテーマは悪魔的存在に囚われた一家数代の悲劇からその回復であると思えるのである。(異端的でも解釈は自由である)
ヒースクリフはキ -
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これは恋愛小説ではない。局所的には人間の醜さ、ーー身勝手、意地悪、嫉妬、強欲、怯弱ーーが随所に現れているが、それを繋ぎ合わせると何故か美しい、そんな奇妙な、迫力ある作品。
アーンショー家に引き取られた孤児ヒースクリフはその家の娘キャサリンと共に育つ。キャサリンの父亡き後、彼女の兄によって虐待され、下男に貶められたヒースクリフは、いつしか彼女と愛し合うようになる。しかし、キャサリンは現実的な理由から裕福な隣家のエドガー・リントンと婚約し、それを知ったヒースクリフは出奔する…
これだけ読むと、単にお嬢様と使用人の恋愛物なのだけれど、キャサリンが自由気ままで傍若無人で支配的な性格なので話が大変面 -
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「嵐が丘」はリア王と並んで、英国三大悲劇のうちのひとつ。
あまりに壮絶、あまりに苦々しい復讐劇
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【孤児であるヒースクリフは、身分違いの娘に焦がれながら、主人の虐待を忍んできた。
屋敷から逃げた後、莫大な富と知恵を得て、復讐に燃え戻ってくる。※一部引用】
初め彼の復讐心は全て醜悪からきているのかと思っていたけど、最後の最後の彼の告白から、全ては愛する人への想いと焦がれからきていると気付いた。
愛は盲目。愛することが、人を憎むエネルギーに代わってしまう。
そんな醜い主人公だけど、なぜか彼の言葉にロマンスを感じてしまうのです。
「俺の未来は言葉ふたつで云いきれる。死と地獄さー彼女を失っ -
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「一世紀半にわたって世界中の女性を虜にした恋愛小説」と背表紙にあるが、私は本作を恋愛小説として読むことはできなかった。大人と子供のズレを描いたジューブナイル小説である。
主人公の男女は揃って素直な気持ちを伝えられず、相手の言葉を額面通りに受け取れない性格で、互いに愛しているのに愛されていないもどかしさに苛まれる。相手の言葉の自分に都合の悪いところだけを切り取って悩み喚く様は中学生のようである。
そこに介入するのが所謂「大人な」人々である。女はその大人な男に憧れを抱くも、同じ子供である主人公の男に同情し、二人の板挟みになる。
大人な男と子供の男は相容れず、激しい応酬を繰り広げることになる。
主 -
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復讐が遂げられたかに思えたところから、一転、幸福の歯車が回り始める。
キャサリン2世がアーンショーを肯定するところが肝か。それも文字の学習で肯定する。
教育によって格付けされた社会が、教育によって相手を認めるようになる。一方は背伸びし、一方は膝を曲げる。
出自も分からないヒースクリフを認めてくれたのは、始めは旦那様。次にキャサリン1世。そのキャサリンを育んだのは、旦那様とヒンドリー。切れ目のない肯定の輪がある。そこに借家人と召使いも組み込まれている。
生きている間だけではなく、死んでからともに埋葬されるというのは一種の天国だ。それもキャサリンと最終的に結ばれてしまった、その夫を排除すること