エミリー・ブロンテのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレヒースクリフとキャサリンの悲恋。ヘアトンとキャサリン・Rの恋。第1世代は、身分・教養・性・(身体)の柵を乗り越える事ができなかった。「(略)1人の人間の中に二つの真実がある。第一の真実は二つ目の真実の圧力に耐えきれない-戦争は女の顔をしていない-スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ-」幸か不幸か、ヒースクリフの嵐のような復讐がありえたはずの身分の柵を完全に破壊し尽くした。そして、教養の柵をキャサリン・Rが乗り越え、ヘアトンが性の柵に無視を決め込んだことで、恋が成就する事になる。二人の恋の成就は、復讐の因果に囚われたヒースを救済した。現世の恋は悲恋で幕を下ろしたヒースとキャサリン。ヒースクリフの死
-
Posted by ブクログ
ネタバレ19cイギリスヴィクトリア朝の小説。
作者は有名作家三姉妹の次女、エミリー・ブロンテ。ヴィクトリア朝の小説は、栄華を極めたように見えるヴィクトリア朝期イギリスの水面下の社会問題に気付かせるためのものが多い。
この小説の特徴は、初期の心理小説、情熱の小説(ヒースクリフとキャシーの関係)、ヨークシャーの田舎の荒涼とした丘陵地帯という舞台設定、一人称の語りである。他にも18cイギリスで流行った、恐怖による感情の揺さぶりを目指した「ゴシック小説」的要素を持つ。ゴシック要素に関しては下巻のレビューで触れたい。
この作品の簡単な説明としては、スラッシュクロス屋敷と嵐が丘という屋敷に住むリントン家、 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの小説の素晴らしいところをわたしなりに3つあげてみよう。
ひとつ、設定が優れてよい。物語の舞台となるのは、ヒースクリフ咲く丘の一件の屋敷。その丘は遮るものがなにもないために、一年中強い強い風が吹く。ゆえに「嵐が丘」とあだ名される。荒涼とした大地と空。それでも秩序よく暮らす領主一族のもとに、ある日ひとりの少年がひきとられることとなる。「ヒースクリフ」と名付けられた少年と領主の娘。彼らは強く惹かれあうが、互いを愛すれば愛するほどに憎しみが増す。憎むことでしか愛を表現できない悲しい恋は、やがてこの一族を破滅へと導く。嵐のような愛。
またひとつ、作者の語り手の人選がよい。この物語をわたしたちにき -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻が重かっただけに下巻はキャサリンの娘キャシーの天真爛漫さに救われた
前半 ヒースクリフの息子リントン ロンドン育ちのせいなのか、マジか?!ってくらい、虚弱すぎる キャシーの方が数倍たくましい ほんとうにヒースクリフの実子か? やっぱり荒野で育った子達はたくましいw
中盤 リントンのキャラが、もう、ひ弱とかいうレベルじゃない 段々とギャグに思えてくる キャシーはこの小皇帝のどこがいいんだ リントンのキャシーへの独占欲の強さは父親譲りのようだ
ネリーが仕えてるお嬢様に対しての口の利き方が乱暴すぎる 田舎のメイドだからなのか ずっと違和感があった
なぜ、父親がヒースクリフを下男として育てなか -
訳者によってよみがえる名作
翻訳なんて誰がやってもだいたい同じ…と思っていましたが、鴻巣友季子さんの新訳は全然違う!
キャラクターはみずみずしく、ストーリーも臨場感に溢れ、風景もリアル。
大学の授業で他の訳との読み比べもしましたが、翻訳の力を最も感じさせてくれました。
有名だから題名だけは知っているしいつかは読もうと思っているけど…という人はぜひ鴻巣訳でどうぞ!
-
Posted by ブクログ
ページを捲るのももどかしいほど、といわれた通り本当におもしろかった!
死ぬほど愛するとはこういうことか。
キャサリンとヒースクリフは似た者同士。愛は相手そのものを見ていない幻想だと福永武彦が書いていたことを思い出す。二人ともお互いのもはや偶像化した魂を愛していたように思える。命をかけた崇拝、執着、憎悪。愛によって生きるがそれによってまた命が削られていくようなエネルギーを感じた。
下巻p336から、ヒースクリフの人間的な感情が初めて流れだしたシーンがすごい。あーーーーもう感想文なんか書いていられないです。素晴らしいです。全く意味は違うけれど、ハリーポッターのセブルスの真実を知ったときのような -
Posted by ブクログ
ネタバレ19世紀前半、ロンドンから田舎のヨークシャーに療養のため、ロックウッドはスラッシュクロスの屋敷に越してくる。
そのスラッシュクロスと嵐が丘という2つの屋敷の間で2代にわたって起きた復讐劇。
そのことについて、家政婦であるネリーがロックウッドに話し、その後回想を経て物語の鍵となる悪童ヒースクリフが他界しロックウッドがその墓を訪れるまでを描いた作品である。
ヒースクリフは嵐が丘へ拾われてきてそこの娘であるキャサリンと恋に落ちる。
しかし、キャサリンはヒースクリフとの身分の違いからスラッシュクロスに住む長男エドガーと結婚する。
そこからヒースクリフは2つの屋敷を自らの手中に収めようと復讐劇を企てる -
Posted by ブクログ
嵐が丘と言えば、ロミオとジュリエットのような、お互いの家柄とか立場とか国境とかが壁になって、心やさしい男女が、相手を思いやりながらの恋愛小説と思ってました。完全なるロマンス。甘々。
それがまったく違ってて、苛烈極まる小説で、恋愛小説というよりもサスペンスホラーみたいな感じです。サスペンスはさておいて、ホラーです。
下巻の途中あたりからやっと、ヒースクリフが好気になりかけてきました。
視点が第三者という事がこの小説のいい所でもあり、主人公を好きになれない駄目な所でもあると思います。ヒースクリフ視点だったらもっと違っていて、彼を好きになれると思います。
家政婦から見たヒースクリフは極悪非道の男と