橘木俊詔のレビュー一覧
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ネタバレ格差研究で有名な橘木氏が書いた、各国の社会保障の歴史を振り返る本。参考文献の量を見て分かるように、緻密な文献考証を経たものであり、一読に値する。ドイツやイギリス、スウェーデン、アメリカ、そして日本と選んだ国も自分が期待していた通りであった。また、本書の優れた点は最後に社会保障を考える上での論点を整理しているところである。普遍的であるか選別的であるかの点や税か保険料であるべきかという点といった学問的なものから、政治的リーダーの存在や社会保障を支える学問や宗教の存在といった観点まで幅広く挙げられている。自分が最も印象に残ったところは、スウェーデンの社会保障制度(年金)の始まりは、アメリカへの大量の
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次に日本を含めて先進諸国に注目してみよう。すべてのOECD諸国を列挙するのではないが、大別して三つのグループ(貧困率の高い国、中位の国、低い国)に分けられる。高い国とは、日本、アメリカ、韓国などが該当し、中位の国については、イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパの大国が該当し、低い国はデンマーク、アイスランドなどの北欧諸国である。北欧諸国の貧困率はほとんどが5~8%の低水準であり、これらの国は貧者と富者の間の所得格差の小さい国でもあることが特筆に値する。福祉国家の面目躍如である。
日本と経済状況が似ており、政治的な結びつきの強いG7の国々(日米伊英独仏加)での相対的貧困率を最新のデータ -
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資本主義の成り立ちと並走する経済学の歴史から、データに基づく資本主義の宿命を喝破し、格差問題の本質に迫っている。格差の問題については、焦点を貧困者にあてるか、富裕層と貧困層の差にあてるか、高額資産者を分析するかで論が分かれる。'21世紀の資本'を著したピケティの分析データ以降、高額資産者への視点の重要性が増している。経済の成長とともに、共産主義体制の下で資本主義化を始めた中国でさえ、格差が拡大していくという構図を明らかにしている。この資本主義の宿命ともいえる潮流に対して、富裕層に視点をあて掘り下げることで、格差の真因を浮き彫りにしている。本書の中盤は注目に値するデータが、次
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格差研究の歴史、ピケティとピケティ以降、経済成長と公平性、日本は福祉国家を目指すべき
【目次】
第1章 格差の現実
第2章 資本主義社会へ
第3章 資本主義の矛盾に向き合う経済学
第4章 福祉国家と格差社会
第5章 ピケティの登場
第6章 ピケティ以降の格差論
第7章 経済成長か、公平性か
第8章 日本は格差を是正できるのか
【内容紹介】
社長と社員の給与格差、どれくらいならOKですか?
日本では、資産5億円以上の超富裕層は9万世帯。単身世帯の34・5%は資産ゼローー。
富裕者をより富ませ、貧困者をより貧しくさせる今日の資本主義。
アダム・スミスやマルクス、ケインズ、そしてピケティは、「 -
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書いてあることはごく当たり前のこと。
年収が高い家庭ほど、勉強は出来るし塾にも行ける。
塾に行っている生徒ほど、学力が高い。
当たり前のことなんだけど、データで示されるとこの世の不条理の様なものを感じた。
役に立ちそうな知識一覧
・灘は塾通学率100%
・高校受験が受験業界で最大の規模
・父親が大卒な事はでかい。同じ塾に通わせていても、父親大卒の方が倍勉強時間が長く正答率も高い
・国立の授業料が上がった理由
・大学生の子供を持つ家庭は可処分所得の半分を教育に
・教育の内部収益率は高い 高い学費を払って高い税金を収めてくれる私立は、稼ぎ頭 -
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横山広美「なぜ理系に女性が少ないのか」に続いて手にしたのがこの本です。たまたまなのですが…。政治家や社長、野球選手、アナウンサー…といった特定の職業に就く人を、どの大学がどれだけ多く輩出しているのか?ランキングです。そしてそのランキングの経年変化も分析しています。大学を考える、ってことは今の社会の構造を知ること、と強く思いました。そしてその変化を見ることは社会の変化を映しす鏡であることも感じました。そうなるよな…と改めて確認することと、そうなんだ!と意外にビックリすること、両方です。期待以上に得るものが大きかった本です。そういう意味では、後半の「女性の活躍」「研究の世界」「大学教員」「国際化」
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購入済み
読みはじめると楽しい
進学校が進学校になっていく経緯から、どんどん引き込まれていきました。
ちょっとした興味から読んだのですが、先がもっと読みたくなり、購入までいきました。