橘木俊詔のレビュー一覧
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日本の格差研究の第一人者、橘木先生がピケティ登場以降も含めて改めてまとめる経済学史入門といった感じでしょうか。前半は特に資本主義と社会の状況が変遷する中で、経済学がどのような解釈や対策を打ち出してきたのか端的にまとめます。また、格差大国となった日本の特徴を各国との比較の中から解説します。
経済学が扱う資本主義の課題には「貧困の問題」、「格差の問題」があるが、格差の問題からさらに焦点を絞って富裕層について研究したピケティの主張の概要、ピケティ以後の若手研究者への影響も含めた経済学史上の位置付けなどはあまり追えていなかったところなのでざっとまとめて読めたのは良かった。
日本の今後について、まずは中福祉中負担の国を目指したいという最後のまとめについてはそこまで新鮮味はないかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ橘木先生(1943生)もさすがに衰え今までの言説のまとめ。
・経済学説史から格差がどう取り扱われてきたかを概説するが、簡潔すぎてこれだけではわからないだろう。紹介する学説も文献も既知なのでわかるが。
・福祉国家の歴史を概説
ドイツービスマルクによる社会保険
イギリスーフェビアン協会とベヴァリッジ報告
スウェーデンー移民流出による農村社会の扶助から労働組合による福祉政策要求、国民包摂の福祉型社会
デンマークー農協主導による国民包摂の福祉型社会。年金は税による。
・ピケティの衝撃
上位10%でみるとWW1に所得割合が5割から下げその後上昇WW2で30%まで激減、その後徐々に60年代までに徐々に上昇だが、上位1%ではWW2に激減した後は上昇。資本収益率>GDP成長率の期間の方が多く、高資産家はこの時期にますます資産を増やすことになる。
〇政策提言
経済効率性と公平性のトレードオフはほとんどない。累進課税は労働意欲を減退させない。
福祉国家を目指すべき
・日本の貧困は高所得者への富の集中ではなく多数の貧困者。セーフティネットが必要
・利子配当課税への配慮は資本蓄積の観点から配慮が必要
・累進課税は70年代の限界税率70%が最適
・消費税課税と軽減税制の強化
・同一労働・同一賃金の徹底
・最低賃金の引き上げ
・非正規雇用・主婦への福祉政策の無差別 -
Posted by ブクログ
ネタバレ格差をどうやって測るか。高所得者と低所得者の差、貧困率、高所得高資産の割合、など。
結果の格差か機会の格差か。
トップ何名かの高所得者の所得が総所得に占める割合、ジニ係数、アトキンソン指標、タイル指標、対数分散、などがある。
最も単純で頻繁にも値いられるのはジニ係数(再分配後)。日本は一気に拡大した。先進国の方が格差が大きい。
相対的貧困率=中位所得の50%に満たない所得の割合。国際比較が容易。
生活保護基準、絶対的貧困率、相対的貧困率は、2006年で14%、どれも大差はない。
若者と高齢者に貧困者が多い=若年層の採用控え、高齢者の仕事がない、など。
生活保護の補足率が20%程度、西欧では50%を超えている。
平等主義は経済を弱くする(ヒューム、ケネー)
トリクルダウン(サン・シモン)しかし、中国では失敗。
ワルラスの一般均衡分析はミクロ経済学の完成型。パレードによって完結した。
厚生経済学(ピグー)ヒックス、サミュエルソンなどが再分配政策を定義した。
プロシアのビスマルクが社会保険制度を成立させた。労働者が一生懸命働くために、健康保険、災害保険、老齢年金の三部作を作った。アメとムチによる政策。
イギリスはドイツから学び、ウェッブ夫妻のナショナルミニマム論をを元にゆりかごから墓場まで、の社会保障制度を確立した。
p90
20250110再読
日本はジニ係数は高い。先進国の中でもたかいほうになる。
日本の貧困率は、絶対的、相対的、生活保護基準などで14%程度。先進国のなかでトップ。貧困大国。最低賃金が抑制されてきた。生活保護の補足率は20%程度。
トリクルダウンの失敗例は中国。鄧小平の先富論。
生産物市場、生産要素市場、消費市場を俯瞰する一般均衡市場のメカニズムを解明したのがワルラス。
ピグーは厚生経済学で社会的厚生関数を最大化するための経済政策を考えた。ベンサム型経済とロールズ型経済。
ビスマルクの社会保険制度確立。スェーデンより早い。
イギリスはサッチャー政権で市場原理主義に向かったが、ブレア首相は第三の道を探ったため、旧来の福祉国家には戻らなかった。
北欧型の福祉国家は、労働者だけでなく農民を初めとした自営業者も対象にしたため全国家的な福祉政策になった。貧困者に出生率が低いことに着目して、補助を行った。デンマークも農業協同組合を通じて福祉国家化した。税収を財源とする。
先進国の中で税方式なのはオーストラリアとニュージーランド。ドイツは保険料方式。
アメリカでは公的医療保険制度はないに等しい。
累進課税の緩和が近年の先進国の特色。
第一次世界大戦後は平等性が進行した。第二次世界大戦後に不平等概進行した。
日本は貧困率が高いので、超高所得者と貧困者の双方の視点から格差社会にいる。
誰が金持ちなのか。
創業経営者、医師、昇進型企業経営者、芸能人やスポーツ選手など。超富裕層は9万世帯。
ニューディール政策では所得税は最高91%。それをレーガンが下げた。28%まで。この時代に租税回避行動が盛んになった。そのため、なかなか上げられない。パナマ文書による暴露。富裕層の平均税率は28%、近年は租税回避で下がっている。大富豪は実効税率が低くなっていて逆進性がある。
格差が好ましくない理由
低所得者の絶対数が多くなる、高額所得者の贅沢な消費は資源の枯渇に結びつく、格差社会は犯罪が多い、教育医療介護の費用支出の差が大きい、地域の分断を促進する、
経済成長は、資源の消費、環境問題にネガティブ。
平等と経済成長はトレードオフか。
高所得者の所得が資本蓄積に繋がるため平等ばかりだと成長の原資がない。グズネッツの逆U字カーブは本当か。高所得者のほうが労働生産性が高いので、経済成長に資する。
トリクルダウンはなななか成立しない。波及効果が予期しない原因で停止すると、中小企業や地方が潤う前にしぼんでしまう。大企業と中小企業の力関係。一人勝ちの理論でトリクルダウンは成り立たない。中国でも成功しなかった。
戦後の日本は最高税率80%を超えていた。今は45%。
労働意欲に反する。資本蓄積を阻害する。有能なヒトに高課税は適切ではない。思想的に正しくない。リバタリアンの主張から。
1970~1980年代の最高税率70%最低税率10.5%が適切ではないか。
日本は格差に関心が低い。経済効率とトレードオフと思っている。貧困者救済は、自分たちの負担が増えるだけ。自己責任論が多数。
北欧型(スェーデン、ノルウェー、デンマーク)は福祉国家。
日本、アメリカは非福祉国家。
同一労働同一賃金、最低賃金額のアップ、消費税の軽減税率の強化、所得税の累進税化。
日本は福祉国家になれるか。
国家の仕事の効率性と信頼。貯蓄不足による低資本には外資の導入で補う。 -
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本書は経済学の歴史から、格差問題にどのように向き合っていたかを分析・解説し、現代の資本主義社会における格差の実態と課題を分析している。
富裕層と貧困層の格差が拡大している背景として、富裕層に有利な制度が多く、一度貧困層になってしまうと抜け出しづらい状況であると指摘している。国家として格差を是正する施策を打っていく必要があると説かれている。
国の施策はすぐには変わらないだろうし、個人的には現状の状況を把握し、自分にとって有利になる政策や補助の情報にアンテナを張り、うまく活用できるようにしたいと思った。
本書の意図とは外れてしまうが、格差があろうがなかろうが、個人の考え方、工夫次第で幸福にはなれると信じている。
現に貧困層である自分は、特に金銭的に困っていないし、毎日充実して幸福である(白目) -
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スポーツによる地域の活性化というものに最近興味があり、関連する作品を読んでいます。
本書は、「プロスポーツを進行することがその地域の活性化に大いに貢献する」ことが本旨となっています。オリンピックや箱根駅伝などを例にしながら、スポーツにおける東京一極集中、商業主義、勝利至上主義などの課題を挙げた後、昨今のプロ野球球団の地方移転、Jリーグの発足と発展、Bリーグの発足、アイスホッケー・アジアリーグなどの紹介しながら、最近のスポーツの地方分権化の内容を描き、効果を検証しています。
少し前の内容であり、若干古い面もありますが、著者が主張するように、地域に根付き、地域住民の応援によるプロチームが増え、それがまちづくりや地域活性化につながる事例が増えているように感じます。今後もこの流れを継続できるよう、見守っていきたいと思っています。
▼プロ・アマ共通の経済効果
①スポーツ競技場や施設の建設
②競技を行う選手と競技を観にくる人が、特定の地域の一定期間集まることで発生する効果(入場料収入、宿泊費・交通費・消費財などの支出、会場などで働く人の人件費やそれに派生する商品需要の増加など)
③選手が用いるユニフォームや靴、運動用具、トレーニング用機器などの製造と販売
④一般の人が趣味で利用するスポーツサービスの提供から生じる効果
⑤国内において半ば日常的に開催されているスポーツイベントによる効果
<目次>
はじめに プロスポーツの振興が地方を活性化する
日本のプロスポーツチーム一覧
序章 「東京一極集中」は何が問題なのか
第1章 「スポーツの中央集権」が生み出す功罪
1 2020年東京オリンピックこそ「悪しき中央集権」の象徴
2 東京集中の象徴、箱根駅伝競走の功罪
3 東京発スポーツメディアの功罪
第2章 プロスポーツはすでに「地方分権」にシフト
1 プロ野球の地方移転
2 日本野球機構(NPB)以外の野球組織
3 地方大学野球部の躍進
4 Jリーグの地方分散
5 バスケットBリーグの発足と現状
6 アイスホッケー・アジアリーグ
第3章 プロスポーツが「地方都市」で繁栄する効果
1 スポーツ繁栄の一般的効果
2 コミュニティ活性化の事例
3 J3から見る地域スポーツの現状と課題
4 市民球団というあり方
第4章 地域のライバル意識による「ダービー・マッチ」
1 メジャーリーグの「ダービー」
2 サッカーの「ダービー・マッチ」
3 日本における「ダービー・マッチ」
終章 プロスポーツ「地方展開」のさらなる可能性を探る -
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世帯の格差が広がっている理由は「女性の就業、収入」
以前は高収入の夫の妻は無業で、低収入の夫の妻はその収入を埋めるために就業していた。
しかし現代ではそうでなく、高収入の夫を持つ妻も働いたり、低収入の夫でも無業の家庭があるという。
また、前者の高収入、高学歴、高職業の世帯を「パワーカップル」低収入、低学歴、低職業の世帯を「ウィークカップル」という。
高学歴は高収入に、低学歴は低収入になる傾向があるが、高学歴、高収入、高職業という同類婚が増えつつあり、高学歴であるほど結婚子育て中も就業継続するためにそれも格差の1つである。
そして最後には、現代は離婚も多く、専業主婦はリスキーな選択であるため、女性も経済的に自立すること、男性も家事能力を高める必要があると述べている。