橘木俊詔のレビュー一覧
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大学の経済学部について、研究・教育・育成する人材の3つの視座でまとめられている。新書なので関心を誘うトピックと内容が、やわらかい文体で書かれている。日本の経済学説史というより、研究・教育の主体となる機関と教員を主な対象としている点で、高等教育論としても捉えられるのではないかと思った。
帝大がマル経だった理由が旧制高校と法学部の存在があったからであり、戦後も東大・京大にマル経が復職し、近経より優勢だったところから、同学部の歴史が始まるのが興味深い。国の政策と学問は別だったということか。これに対して阪大が、財界からの支援・アメリカ様式の大学院・旧帝大・学外からの人材登用という4点で近経の研究が盛 -
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日本の大学の経済学部をテーマとし、各大学の経済学部を研究面、教育面から解説。正直、あまりアカデミックな内容ではなく経済学部をめぐるゴシップ的な内容が中心。
帝大ではマルクス経済学が主流だったという話や、阪大が近代経済学のメッカとなったいきさつなどなかなか興味深いエピソードが紹介されている。
いわゆる、底辺大学をタテマエ抜きでばっさり切っており、そういう大学は「実務偏差値」の向上に力を入れるべきだと主張している。ちょっと上から目線な気もするが、方向性としては著者の意見に賛同する。
はっきりと書かれているわけではないが、著者の自己顕示欲が随所に感じられたのがちょっといただけなかった。 -
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<目次>
はじめに
第1章 経済学部は、他学部と何が違うか?
第2章 経済学部盛衰史①―マル経と近経
第3章 経済学部盛衰史②―阪大が「近経のメッカ」 になれた秘密
第4章 経済学部盛衰史③―一橋・神戸など旧高商の 実力
第5章 アメリカンPh.D.の値打ち
第6章 経済学者という種族
第7章 ライバル比較ー研究力と人材輩出力
第8章 底辺大学とトップ大学
第9章 ビジネススクールの可能性
おわりに
<内容>
『格差社会』などの著書のある労働経済学の専門家。ただ、私の記憶だと近年は、大学と受験などの著書が多かった紀がする。結構好き勝手に書い -
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ニッポンの経済学部というタイトルで、副題に「名物教授」と「サラリーマン予備軍」の実力とあるが、前者が中心で後者の視点は弱いように思う。学者の研究分野や大学の「学風」、人事は業界関係者以外には関心が薄いように思うし、業界関係者ならば比較的(?)知られていることが多く、左程新味はない。全体に著者のいくつかの旧著(全部読んでるわけではないが)の寄せ集め的な感じがしなくもない。
以下は、1つ大事な指摘。メモ。
p.205-206 「企業はトップの大学の学生に対しては成績を見てこなかったけれども、二流、三流大学の学生に対しては成績をチェックしているのです。入学時点では学力が低かったけれども、大学で何を -
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機会不均等、なるほどなと思います。確かにそう思わされる機会は多いです。
データが豊富で興味深い項目が多々ありました。
ただ、その不均等をどう解消すべきか、という著者の意見や見解については個人的には賛同できないものや反感をかんじるもの、他国はともあれ日本には馴染まないのではと感じる箇所が散見されました。
その辺りは著者も了解済みの印象もありますが…。
更に言い募ってしまいますが、どなたかも書かれてたように、突っ込みが甘いと言うか、「論」というにはちょっとまとまってないのかなと、データに徹した方が良かったんではと感じました。
第1章が読みにくいです。
しかしこのようなことを考えるきっかけとして -
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夫婦をめぐる格差を論じた本
格差を論じる切り口が新鮮でおもしろい。パワーカップルとウィークカップル。
女性が働く環境は、欧米に比べてまだ整っていないといわれるが、日本においても女性の社会進出が加速的に進行している。
その中で、稼ぐ女性が出現している。例えば、女性医師、一昔前では、10%前後にすぎなかった女性医師は、今や20%前後。法曹にしても、女性研究者の割合にしても同様に増えている。
この本で興味を持ったのは、収入の高い女性が、結婚相手に選ぶどのような男性を選ぶのかということ。
例えば、男性医師の配偶者の職業は、
医師22.9%、医療従事者36.5%、その他38.8%
に対し