先日最新刊のシリーズ九作目を読み終わってからこの八作目を飛ばしていたことに気付いた。
設定は少し戻って〈天天コーポレーション〉と〈トナカイ化粧品〉〈篠崎温泉ブルースパ〉が吸収合併されたばかりの頃。社長も正式に円城格馬に代替わり。新生〈天天コーポレーション〉誕生だ。
今回も様々なお金の問題を森若が嗅ぎつける。単身赴任手当に出張費用に残業代の違和感。時折出てくる広報課の皆瀬の洋服代やら営業部の山崎のカラ出張やら、中堅どころの会社のはずがよくもこれほど無駄遣い出来るほど予算があるものだと感心する。お金のあるところにはあるものだ。
ただこれまであったような犯罪になりそうな大事ではないのはホッとした。
シリーズを読んでいて改めて分かったこと。森若というキャラクターは好きではない。本人が自覚するように冷たい人間だなと思う。また本人が思うようになぜ山田太陽が森若を好きになったのかも理解できない。
寧ろ真夕の気遣いや美華の分け隔てない厳しさの方に癒される。
営業部・鎌本の厭らしさと総務部・玉村の面倒くささには相変わらず苛々する。森若はそんな二人に冷酷だが、美華ならきっと嫌がられてでも教育しようとするだろうし、真夕なら上手く宥めながら付き合っていこうとするだろう。
田倉も割と森若に近い方だとは思うが、その田倉にすら『気に入らないな』と言われるのだから森若の性格は相当なんだなと思う。
社員のプライベート(特に恋愛)事情は個人的には興味のないところなので流し読みしてしまったが、田倉がこんな決断をしていたとは驚いた。確か最新作では関係が続いていたような表現だったように思ったが違っていたようだ。
こんな冷たい森若でも太陽が相手となると勝手が違う。玉村ではないが『彼氏ができるとやっぱり変わるんだな』ということだろう。
経理部の新メンバー、トナカイ化粧品から来た岸涼平がまたなかなかの曲者っぽい。一見人当たりが良さそうで呑気そうだが新しい人間関係にスルリと入り込む当たり、意識的なのか無意識なのかは置いておいてなかなかのしたたか者という感じ。
エピローグの真夕目線は毎回平和で癒される。真夕が気付かなかった『変な感じ』は本人が思うように分からなくて良いことなのかも知れない。森若みたいになってしまうくらいならば。