浅野いにおのレビュー一覧
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浅野いにおは新たな境地に達しようとしている。おそらくこんな風な漫画表現をできる人は他にいないのではないか。類似作品の全くない、プンプンというジャンルと言っていいと思う
愛子ちゃんと共に堕ちていくプンプンの姿がひたすら辛い。過去のトラウマからか、元来の性格からか、望めば手にできたはずの幸せを手放して自らを貶め、痛めつけていく逃避行。でもこの作品がすごいのはそこだと思う。現実世界はとても非情で無情である。努力しても報われないことだってあるし、愛やら正義やらでは生きていくことなんてできない。物事がどこまでも悪い方向に進んでしまうことだってあるし、何の罪もない人がほんのちょっとした偶然で人生を狂わ -
Posted by ブクログ
震災後に刊行されたものだから、やはりその影響は漫画のリアリティのなかにもあるのかしらん。
「・・・必要悪ですか。
原発も戦争も誰かの生活を支える必要悪ですか。」
「うるせーよ 風俗行って一回抜いてこい!!」
漫画家を目指しているサチへの漫画業界の担当からのコメントは分かる。自分も持ち込みをしたことがあったので。いわゆる、「良識ある社会人」代表VS賢くなれない「青い奴ら」みたいな図式はある。
「僕から言わせてみれば二十代の悩みなんてがむしゃらに働けばたいがい解決するんですよ。
こんなのじゃただの絶望ごっこにしか見えない。
不幸自慢ってうざいんですよね。まぁ、一言、甘ったれんな -
Posted by ブクログ
プンプンの初体験描写が衝撃!
関君の話にものすごく共感してしまった。
天気がいい日に、ベンチに座って、ぐだっと座って目をつぶりながら、さまざまなことに思索を巡らせる。
「どうすればみんなが幸せになれる?」
って真剣に問うている姿。
ほんとうはどこもおかしくないのに、笑うところではないのに、なぜか笑いが止まらなかった。
自分は何一つ世界の中に参加して働きかけていないのに、その外部から世界の秩序を考えている。その結果が、単なる浮浪者である。
自分にも痛いほど、その感覚は良く分かった。
そういう思索を自分も、大学の中を歩き回りながらしていた。
人間の「自由」って何だろうか -
Posted by ブクログ
プンプンだけでなく、その周りの人々もそれぞれ大切なものを持ちながら、運命に翻弄されていく。
「プンプンはただただ
みんなが幸せになればいいと思うことの、
なにがいけないんだろうと思うばかりでした。」
「当たり前のように過ぎてゆく
当たり前の日々は、
当たり前の未来へきっと繋がっている。
ピースの足りないジグソーパズルのような気持ちを感じながら、
それでも大人になるのが人間だと信じていた。
でも、もし、
異常というこの日常の中で
すでに僕も
壊れてしまっているのだとしたら・・・
違う!!
僕は僕だ!!」
「僕は・・・まあ、月並みさ。
・・・自分は特別で