浅野いにおのレビュー一覧
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誰しもに当てはまる倦怠感?と少しの物足りなさが登場人物みんなに流れてて、共感するのにまず時間が全然かからない!
ただ、そこで「現実的に無理でしょ」と横槍入れちゃうと終始暑苦しいような青春ストーリーとなってしまうかも………。
このままじゃいけないなんて思って、思い切って出した勇気も結局は次のことをするための手助けなんかしてくれないし、彼は彼で何するでもなく宙ぶらりんのまんまだし。
芽衣子と種田ほど全部が惰性になった状態というのが私に凄く当てはまって、そこで完全に漫画に惹きつけられました。
ネタバレはしませんが、最後まで読めばこれがただの青春ストーリーなんかじゃなくって読者にほんの少しの悲しみと -
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NHKの「ニッポン戦後サブカルチャー史」で紹介されていたところ、息子の本棚にあったので拝借。
Wikipediaでは「夢と現実の不確定性を強調して描いたサスペンス作品」と作品解説されているが、ちょっとそれだけではないような気がする。
2000年代の若者たちが感じていた(であろうと、昭和生まれのオジサンは推察する)閉塞感や世界認識をリアルに描いた作品なのではないだろうか。
たぶん、平成生まれは共感を持ってこの作品を読み、昭和生まれは違和感を持ってこの作品を読むのだろう。それとも、自分たちには理解出来ない世界がそこにあるという疎外感なのかもしれない。 -
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一言、感動した。衝撃的な作品だった。類似品のない作風だし今までにもなかっただろう。これはこの人にしか描けないものだと思う。読む前に緊張してしまったし、読み終えてしまうのが心底勿体無かった。
もっと絶望的な終わり方を覚悟していたけど、救いのある終わり方だった。そして語り部は久々に登場した晴海はとても冷めてシニカルなキャラクターになってしまっていた。
読み終えて感じたのは「人間は変わる」ということ。そして日常は死ぬまで続くのだということ。この作品にはたくさんのキャラクターが出てきて、その一人一人に人生があり、挫折があり、絶望があり、その中で笑ったり怒ったりしていた。そしてどのキャラクターも物語 -
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ネタバレ美人で漫画がかけて早稲田中退で…頭がよくていいですねっていわれた女の子が
この顔は整形だって、主人公に言い返すところがすき。バカデブブスって言われて、コンプレックスがすごくて、私のなにがわかるの?とか、自分の人生自分で決めるんだって気概がすき…
ていうか、
悪あがきし続けて、本来のスペックにつりあわない環境に身を置いてる自分をあぶり出されたきぶん。
理想の自分を手に入れたくて、
現実の嫌いな自分を、じわじわ殺し続けている感覚というか。
醜いアヒルの子なのに、白鳥になれるって夢見てアヒルのままもがき続けている感じ。
おいらはブサアヒルだー、うぇーい☆
って割り切って生きていたら楽なんだけ -
Posted by ブクログ
『ソラニン』はあまり面白くないし、『おやすみプンプン』も2巻で挫折しているので、どうかなーと思いつつ、しかしこれが大正解だった。もちろん描かれるのは退廃的な田舎の海辺の風景の中での、肥大化した自意識のお話だけれど、とにかく風景が描写が、叙情的でとてもいい。セリフ量をぐっと絞っているのがきいている。結局、ふたりがふたりだけの秘密基地にきゅっともぐりこんで、そして解散するまでの物語だった。主従が逆転しちゃう少女マンガ的な感じがよかったです。しかし磯辺くんがかわいいな。親戚のお兄さんになって頭をなでなでして嫌がられたい。部屋でのふたりの身体が、そこだけまるで汚れが無いように白く描いているのが印象的だ
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ネタバレ納得していない日常の中、小さなきっかけで変化が始まる。
退屈な日常から抜け出せば楽しい日々が待っていたかといえばそんなことはなくて。逃げ出した先で新しい不満にぶつかる。人と違うことをする不安。自由の不自由さ。なんとかしようとしてどうにもならなくて・・。
変化は一瞬で、変化の先には日常になってしまう。日常には不満がつきもの。でも少しの希望もある。
芽衣子さんが先に進み、種田も動き出す。種田の音楽への挑戦はけじめをつけるためのものであって、少しの期待はあってもうまくいくとは思っていなかったはず。ソラニンの歌詞は決意そのもの。フリーターでもミュージシャンでもない、種田にとってのつまらない大人になる