中村うさぎのレビュー一覧
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期待以上に深かった。中村うさぎの「だって、欲しいんだもん!ー借金女王のビンボー日記」を読んだ時には語り口があまり好きになれなかったけれど、本作は自らの女性性を嫌悪して閉じ込める自分と、男性に愛されたい、性的に魅力的でありたい、性を奔放に楽しみたいという自分との二面性を深く考察している。女性なら多かれ少なかれ誰しも持っているであろう二面性。自分の中の「女」を押し殺して振る舞う自分と、女として魅力的でありたいという自分、どちらも本当の自分で、それを場面や相手ごとに使い分けながら矛盾しないように見せているという感覚、疑問にも思っていなかったけど、それってもしかしてこの社会で生きるために身につけた処世
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Posted by ブクログ
ネタバレ人間とは複雑で不可解な存在だ。
だけどもしかしたら、女は単純で嫌になるほどわかりやすい存在なのかもしれない…と思ってしまった。
周囲からは友人だと思われていた弓絵と晴子。
いつだって、互いに優越感を抱きながら友人ごっこを続けてきた。
自分は優秀だ、自分は美しい、自分はいつだって悪くない。
弓絵は自分の感情を隠さずに、相手よりも優位に立っていることを垂れ流しながら生きているような女だ。
脚本家として名を成したこともあるけれど、それもいまでは過去の栄光のように色あせてきた。
常に自分よりも格下だと余裕をもって接してきた晴子が、人気ドラマ枠である「月9」の脚本を書くと知って穏やかではいられない。
晴 -
Posted by ブクログ
死に関しては、肉体の限界は超えられないという物理的な事実から考える必要がある。だから、意識がなくなった後、その意識がまた別の世界で生き続けるかのような宗教感は、私には馴染まない。佐藤優もこの点に関しては歯切れが悪い。当然だろうが。臨死体験には、その国の文化的背景が影響するため、これは死後の世界を見たとは言えない、と佐藤優は言う。意識が断絶していないのだから、これは夢を見ているのと同じと言える。従い、このコメントには賛成だ。論点は死後の世界だが、これを想像するのは自己満足の域だろう。
うさぎと佐藤優の対談本。死について語る。この2人が好きだから雰囲気を楽しめるが、死後の世界については生きている -
Posted by ブクログ
ネタバレホストとの「心のない義理セックス」で奪われた「性的強者」のプライドを取り戻すべくデリヘル嬢バイトをした著者による体験と考察。作中の『女を「人間」として、対等な目線で見』よ。でなければ、『「理解」も「共感」も生まれない』に納得できるからこそ、著者自身も強者弱者などとせず対等に思える相手を見つけたら良いだけではと思った。理解は出来ているのに二元論的な振舞いでしか対処出来ないからこその『私という病』なのか。風俗で売買されているのは身体ではなく「性的幻想」だ。男は幻想を抱いている女には優しいが、抱けなくなると人間扱いしなくなる、との指摘は体験者ならではの説得力があった。また、女らしさを隠すべしとされな
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Posted by ブクログ
先日、聖書を読む を読んでから、この作家さんがめちゃくちゃ気になっていた。
何と言うのか?砕けた文章なのに、とてつもない知性を感じたからなのだが、
この本もやっぱりそんな感じだった。
テンポが良くて、一つ一つの話がちゃんと落ちがあって読み易く、
とんでもない人間なのだが、とっても可愛らしく
どこか憎めず、そんな感じ。
今私が41歳。
ちょうど中村うさぎさんがこれを執筆していた頃と同年代。
色々なところで、うんうん、わかるわかる!と思ってしまった。
やってることはハチャメチャに見えてしまうが、
嫌いじゃないなぁ~。
自分にないものをたくさん持っていて、羨ましくも感じてしまった。