鯨統一郎のレビュー一覧
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『「傑作といえば、有栖川有栖の『双頭の悪魔』」
「ああ、いいですね。論理の緻密さでは最高峰じゃないかしら」
「都筑道夫が唱えた“トリックよりもロジック”論を具現したミステリだな」
「なんですか?トリックよりもロジックって」
「本格ミステリ作家の都筑道夫が『黄色い部屋はいかに改装されたか?』という推理小説論の中で表明した考えだ。彼はミステリにトリックなど不要だ、ロジック、つまり、緻密な推理があればいいと極論している」
「それはまた大胆ですね」
「二階堂黎人は“ロジックよりもトリック”って言ってるけど」』
とにかくミステリ好きのためのミステリ。
竹本健治のミステリ史に残る名作『匣の -
Posted by ブクログ
「覆面作家の自伝(的小説)」って...
その存在の根本からして胡散臭いような(^ ^;
「なるほど、鯨氏らしい」と思える部分と
「意外とそうだったのか」という部分とがあり、
鯨ファンには二度おいしい内容かと(^ ^
また「なかなかデビューできない小説家志望の
青年の奮闘記」としても素直に楽しめます(^ ^
日々の精進と繰り返す挫折、同期の出世を見た焦り、
家庭との両立の大変さから一度は諦めた夢、
どうしても捨てきれなかった「書きたい衝動」....等々
ストーリーやエピソード自体に目新しさはない。
が、結果が分かっているとは言え、
読んでて素直に感動できるのは何故だろう。
鯨氏に無償の愛 -
Posted by ブクログ
デビュー作「邪馬台国はどこですか」を読んだのは、「本の雑誌」の紹介が切っ掛けだったと思う。宮部みゆきさんが褒めていると知ったのも大きかったはず。
一読して、なんて面白いこと考える人だと驚いた。次々に人が思いもしないことを考え付く発想が豊かな人っているんだなと素直に感心していた。
中でも「悟りを開いたのはいつですか」というブッダをテーマにした話が一番納得した。
それがこんな苦闘の中から産まれたなんて。
泣きはしなかった。でも結果も判っているのに、P300の辺りは主人公と一緒にドキドキし、ヤキモキし、ヘトヘトになった。そして一気に怒涛のカタルシス。
鯨さんが作家になってくれて、有難いと思う。感