鯨統一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一気読みです。面白かったー。タイムスリップしたことに戸惑いながらも驚くべきスピードで“現代”に馴染んで行く森鴎外。最高です。フィクションだと分かってはいても、森鴎外って本当にこんな人物だったんじゃ…とついつい思ってしまいました。
鴎外以外の文豪や現代の作家さんの名前が数多く出て来るところも面白いです。おかげで読んでみたい本が増えました。もちろん、ミステリーもしっかりしています。ただ、某大物作家さんのファンには面白くない作品かも知れません…。
私は森鴎外について国語の授業で習った程度の知識しかなかったのですが、それでも十二分に楽しめました。オススメです。 -
Posted by ブクログ
彼女が事件を紐解くときに、ひとすじの涙が頬をつたう。。。
サイコセラピストである彼女の名前は”波田煌子”、煌く涙なんて洒落が効いている。
ただこの彼女、なみだ研究所なんてメンタル・クリニックの院長でありながら何の資格も持ってはいないのだ。
大学院修士課程を卒業し、臨床経験まである”僕・松本清”からするとウサン臭いこと他ならない。
このクリニックはスタッフだって、不二子みたいなスタイルの会計士が一人居るだけだ。
波田本人はからくり細工みたいな小柄さと幼さない顔立ちで、彼女が伝説的な実績を持つセラピストであるなんて。
恩師からの紹介じゃなきゃとても信じられないだろう。
それでもなぜ -
Posted by ブクログ
【はじめに】
今年になりまともに本を読めなくなっていた。体調のこともあるが何より読書も体力がないと持続できないことを痛感する。そんな中、友人に読みやすく面白い本ということで紹介してもらったのが本書だ。
【感想あるいは思ったこと】
鯨統一郎さん。初めての人?と思ったがかなり前に読んだことがあるようだ。「富士山大噴火」覚えていないが確かに記録にあり読んでいる。
歴史上の何故に迫る論理的な推理による短編集だ。ブッダ、卑弥呼、明智光秀、勝海舟、時代の転換点にifは付き物だが見事に説得力ある推論であらゆる時代を楽しめた。実に読みやすく面白い本だった。
【終わりに】
読書をするにも体力が必要と思う -
Posted by ブクログ
ネタバレバー「スリーバレー」に雇われバーテンダー「ミサキ」が
ほほえみながら、(今回は妙に冴えている)異説を唱える「宮田」と共に屁理屈をかます相手を待ち構える
今回の犠牲者は文学部教授曽根原尚貴、素人の文学論など歯牙にもかけずぶった切る気持ちなのに、美人のミサキによる達人的な間を詰める妙技にズルズルと奇天烈な文学論に引きずり込まれる
(1)夏目漱石「こころ」がミステリ小説でモブである下女が百合心から「静」を巡る連続殺人を巧妙な遺書の偽造で自殺に見せかける
(2)太宰治「走れメロス」が革命家セリヌンティウスの処刑前の夢だ
(3)宮沢賢治「銀河鉄道の夜」は妹への追墓であるとともに反発しあう父親を許す手紙で -
Posted by ブクログ
九つの殺人メルヘンからのシリーズ最終作。
いままで短編集だったけれど。この最終作は一編の物語。
相変わらず、脱線気味のアイドル談義などタップリ。そろそろ事件の話に戻って欲しいなと思う処もあった。
謎解きの部分はこのシリーズで求めるべきものじゃないから、まあ良いかな。
何となく終わりが見えてきたけど、ゆっくりしたエンディングだから、そう受け止めるべきだろう。
マスターの暴走ぶりが煩いとか、文句を書いたこともあるけど、このシリーズ好きだった。ヤクドシトリオの懐かしネタのお喋りが良かったんだけど、そういう意味では、最後はもっと三人でしゃべって欲しかったな。
三つのアリバイというタイトルについて、