新井素子のレビュー一覧
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物心ついた頃から、親となった今でも日々の生活の中で当たり前のようにぬいぐるみが存在している自分にとって、この物語は他人事とは、空想のものとは、思えなかった。
問題の根源はぬいぐるみではないか、そうだよな…と主人公の心中察したかと思いきや、最後の最後にちゃんとホラーみを感じさせる幕の閉じ方。
そしてこの物語自体、30年以上前に発売されたとあとがきで知って更に驚き。きっと当時今の自分が読んだらそれこそ他人事だったかもしれない。しかし令和の今、ぬいぐるみを含む何かしらのお気に入りのものと過ごす文化が根付いた今の自分、人々にとってこの物語は親近感すら湧くかもしれない。面白かった。 -
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ネタバレ三津子が夫を好きすぎるがあまりなのか、ページを進めるにつれ人間が壊れていくと感じた。猫が現れたのは妊娠できた喜びを表しているのだと思うけど、途中から現れなくなったのは嬉しさの反面、狂いそうなほど大切な人が増えてしまうのが恐ろしかったから。もしくは、子どもを欲しがっていた夫だからこそ家庭の時間を大切にするという予測から、大好きな夫に無理をしてほしくない表れだったのかもしれない。
幻覚や幻聴、白い虫もストレスによるものもあれば妊娠による体調面での変化でもあったかもと思った。
こんなに人を大切に想うことなんて今の私にはないけど、穢れなき純粋な好意は負担になってしまうのもわかる気がする。
最後、三津子の想いが届かず終わるのも胸をぎゅっと締め付けられた。
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ネタバレティーン向けのホラー。
新井素子先生を読むのはチグリスとユーフラテス以来かも。もともとティーン向けの小説で活躍していた方なのも知っていたので、文体など特別抵抗はありませんでした。
もともと平成3年に出てた話ですしね……
新井素子先生が平成3年にこの価値観で、少女向けに話を書いていたことが凄いと思います。
当時は毒親の概念もない時代でしたし、
母親に対する母性の美化もいまよりよほど強かったはずです。
そのなかでこの話をティーン向けに書く新井素子先生の気骨はやっぱり好きですね。
成美ちゃん側の人生だった子供の自分が、少し救われた気分です。
個人的には反省して歩み寄りをし、仲良くなっていく晃一さんと成美ちゃんが好きでした。
ジャンルについては確かにビックリするほど怖い話ではありませんが、ぬいぐるみが人殺してるしホラーでいいんじゃないかな……???
ホラー感溢れすぎてる表紙に期待すると、少しズレはあるかも。 -
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ネタバレこれ、30年ぐらい前に発表されたものの新装版なんだけど、その30年前にも持っててんだよね。
結婚するときに、自分の本のほとんど処分してしまって後悔したうちの一冊なので、2025年の新装版がありがたかった。見つけたら買おう!と思って、なかなか出会えず,ようやく見つけて買った。
30年ぶりに読んだら,やっぱ今でも面白い!!
旦那さんのハルさんが好きすぎる、三津子さん。
でも、ハルさんは仕事が忙しくでなかなか帰ってこない。12時過ぎても帰ってこない。下手したら2時とか。でも朝はきっちり起きて出ていく。
そんなハルさんを支えるのが自分の幸せで楽しみ。
たとえ2時であっても、晩御飯を用意していつ帰って来ても食べられるようにしているし、お風呂だっていつでも入れる様にしておく。接待やなんやで食べない事もあるけど(ほとんどの日がそれ)、それでもいつでも食べられるように。
あるとき野良猫が入って来た。通いのその猫ににゃおんと名付けた。首にリボンをつけてあげて、
他に飼い主がいるなら連絡して来てくれる様に。だけど,今のところその様子はない。
ハルさんににゃおんのこと話さなきゃ。
でも、ハルさんはいつも疲れていてそんな話より1分1秒でも長く睡眠をとってほしくて言えてない。にゃおんもハルさんがいる時はどこかにいっちゃうから、なかなか紹介もできずにいた。
ハルさんと自分とにゃおんのためにクッションカバーを刺繍していたとき、にゃおんが帰って来た。いつもの様に「にゃおん」と鳴かない。どうやら何が加えてる?それ,まだ生きてる?!
パニックになる三津子。そして・・・
三津子の日記によるとその記憶がない。
にゃおんは帰ってこなくなった。どうしたんだろー?
刺繍していたカバーもない。あれ?
相変わらずハルさんはなかなか帰ってこない。
三津子の様子がおかしいことは、唯一の友達、久美が気がついてどうにかしようとした。家の中にずっといるからダメなんだ!と、バイトに誘う。ハルさんも外に目を向けるのはいい事だと賛成。
三津子は渋々バイトをする。それは、ラジオ局に届いたハガキの整理。
そのラジオではUFOの話題になってるらしくそのようなハガキが多くて思わず興味を持って読んでしまう。宇宙からUFOがきて、洗脳されてしまう。口の中に入って取り込むらしい。
三津子は体調がすぐれない日々が続いていた。微熱、吐き気、貧血。お腹を蠢くものが。これは、まさか、UFOから飛んできた白い虫に私も取り憑かれて?!
にゃおん、にゃおんはどこにいったの?
にゃおんのことを思い出したら、だめ。忘れた頃にしか、見えないもの。ナルニアへの扉のように。
夢に見た、椿の木の下。シャベルを持つ私。掘り返したら出てくる、クッションカバーと痩せ細ったにゃおん。それに群がる白い虫。
白い虫の母体は、にゃおん?
体調を崩した三津子をみた医務室の医者から、久実は三津子が精神的におかしくなっていることと、おそらく妊娠している事を告げられる。
だが、妊娠の話をすると三津子は無表情になり何も聞こえてない様子。
聞きたくないから無視してるのでなはい。
聞こえないのだ。
まさか、ハルさんが望んでいる子どもを三津子が否定するはずない。あれだけハルさん一筋すぎてやばいのに。
まさか・・・
って話なのですが、
まぁ30年前に読んで衝撃だったし、今もこれはヤバい本だと思ってるし、一歩間違ったら私が三津子だったなと思った。
でも、今になって思う。
三津子は、甘えだ。
旦那だけ好きで,旦那だけに尽くすのは簡単。何も考えないでいい。でも、子どもがいて、旦那に申し訳ないと思う,もしくは、旦那にも責任?の一端を担わせる、それでも両方愛する。
家も,外も,そして自分もちゃんと愛する。
それができて一人前、だと思う。
旦那だけーって、それは究極の思考停止。
まぁ、30年前の私はこの三津子を「究極の愛の形」の一つと思っていたんだけどねー -
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ネタバレ結婚7年目の主婦、坂田三津子が、ワーカホリックで連日深夜までの残業、休日も接待ゴルフ等に明け暮れる夫の忠春の帰りを心配しながら日々待ち続ける中で、幻聴、幻覚、幻想に呑まれていき、ついに「おしまいの日」を迎えるという、一種のサイコホラー小説。
人間が精神を病み、壊れていく様が、リアリティをもって描かれていた。三津子がメンヘラ気質であることに間違いはないだろうが、長時間労働を当然とし三津子にまともに向き合わない忠春、そして、それを強いる会社、社会が狂っているというのもそのとおりだと思い、よくできた社会批判小説でもあると思った。この小説が最初に執筆されたバブル崩壊直後の1990年代前半と比べ、令和の現代は、働き方改革も進み、当時とだいぶ状況は変わってきているとはいえ、また別種の長時間労働を強いるブラック企業と呼ばれるような企業も跋扈していて、この小説の問題提起はまだまだ有効だと感じる。
ただ、「三津子、思う」のような主語と述語の間の助詞を省く独特の文体は、ちょっと苦手に感じた。 -
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SF作品。ほっとんど読んだことなかったので、短編集から読んでみた。
意外と、あっこう言うのもSFなのか。と言ったようなのもあったけれど、近未来的な話に、ちょっと手間取ることもあり。
でも、書いているのがSF作家のなかでも、かなり有名で、食べ物、に絞ったものということもあり、楽しかった。不気味だけれど、どんどん読んでしまう作品も。
一番印象に残ったのは、
「最後の日には肉を食べたい」
主人公が、「ルカ」への依存度が高いことに恐怖を覚えたと同時に、これこそ、静かなる侵略?なんて思った。最後、「ルカ」の仲間を意識していなかったタカアキが、『生まれた』と主人公にキスをする。これは一瞬の洗脳?支配?こわ。 -
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ネタバレむかーし昔,大好きだった本のひとつ。
当時は何回も読んでたなー。
結婚する時手放してしまって、先日なんと東京駅で見つけて思わず買ってしまった。
もう一回読みたいと思っていたんだー!
終末をテーマにした本はたくさんあるけど、これが一番好き。
今回の解説にもあるけど、こんな世界がどうにかなる話なのに、政府がとか○○対策がーとか各国の首脳がーとか,出てこない。そりゃそーなんだよ。だって、自衛隊も,各国首脳も,警察も,公務員も,みんな死んじゃうし,逃げる場所もない!
もしかしたら,宇宙に逃げる人はいるのも?だけど、主人公は20歳の普通の女の子。宇宙に逃げる術はない。
隕石が地球に落下して1週間後に地球は破滅します。と言われる数時間前、大好きな彼氏、朗が右腕の骨肉腫で右腕切断しなくてはいけない。しなかったら、死んでしまう。どちらにしても、もう圭子とは別れると言われた。
でも、世界がこうなった。
あと1週間の間に、大介と一緒に過ごす(大介に告られてそう頼まれた)こともできるけど、いや、私は朗に会いたい。
かくして、東京の練馬から、鎌倉まで終末世界を旅することになる。
もちろん、世界は壊れて、秩序も何もない。人を殺そうと暴走しまくる車やバイク。あちこちで人が死んでる。電車やバスなんか動いてない。歩くしかない。
そして出会う人たち。
由利子の旦那明宏は不倫していて、最期の1週間を浮気相手と過ごす!と出て行こうとした。だから,殺した。そして、明宏が一番帰りたがっていた、体内に戻してやろうと考える。母の体内が一番安心でしょ?
私の中に取り込んであげる。
明宏を解体して,骨をコンソメと一緒に煮て出汁をとり、腕の肉を切ってフライパンで焼いてから煮込む。明宏さんのすきなビーフシチューを作ろう。
この人が一番狂気で、後の人たちも狂気だけど初手でやられたわー。
でも、私の読書歴の中で、いちばんの愛は、この由利子さんだと思う。これを中学生で読んだ私の情緒とその後の「愛」のモチベよ!!(笑)ズレるはずよ。
次に会ったのは、真理。
年子の妹の誕生により、親からの愛情を受け取れなくなってしまった。いい子であり続けることが,アイデンティティみたいな。
それは「いい子」の先にいい未来があるんじゃなくて、「いい子」が目的なので、「いい大学」に入ったら彼女のなかの目標は終わる。その先をどう生きればいいかわからない。
だから、世界が滅んでくれてうれしい。私は幸せに死ぬの。っていう。
だからあと1週間しかなくても勉強している。
目的が「勉強」であり、彼女にとって「勉強」は手段ではないから。
暴走車に轢かれて死んでしまうんだけど、彼女を幸せなまま死なせたくなかった・・って事にはほんと同感だった。
ここでバイクを手にする。かなり大きなアイテム!!
智子はよくわからん子。ずっと夢だと思っている。現実も夢もよくわかってない。
「隕石が落ちる現実」の方が,夢だと思ってひたすら寝ている
ようやく鎌倉エリアに。
主人公圭子とすれ違うのは、主たる女性恭子でなく、その夫。
恭子は妊娠していた。ようやく安定期に入ったが、あと1週間で世界が滅ぶ。
旦那の良とは、前の彼と別れて落ち込んでいた時に口説かれて、ツナギのつもりが居心地良くてとうとう結婚することに。
前の彼、里村さんはかっこよく,スマートだった。
良とは全然違う。でも、良といると飾らないでいられた。
良と眠っていたベットをそっと出て、里村のところに行こうと思ったのは、里村がシェルターの開発会社で働いているから。2人しか入れないシェルターに一緒に入ろうと言われた。自分だけなら行かなかった。でも、この子が!良の子が!たとえほんのわずかな希望でもあるなら,生きてほしい。
家を出る前に見つかって、諭されるが,破水してしまう。このままでは早産になる!
外に助けを呼びに来た良と圭子がすれ違う。
とうとう、圭子は朗と再会する。
「ひとめあなたに、会いたかった」
大人になるにつれ、新井素子さんの文体が受け入れにくくなってきたんだけど(中高の頃は浴びるように毎日読んでたのに)、このお話しは、新井素子さんの文体に救われている部分がたくさんあると思う。
旦那さんをシチューにする描写なんて、エグいからね。やわらか文章でも中和されない。
でも、この文章のおかげでエグさよりも、なんか由利子さんの,愛の方がフューチャーされている。こんなに愛してるんだもん,しょうがないよねーなんて思っちゃうー!!
これを初見で読んだ中学の頃、みんなで「あと1週間でわ地球が破滅するならなにをする?」話で盛り上がったなー。
今の私は何をするだろう?
この中に出てくる、最後まで人に親切にして死にたいと言ったおじいさんとおばあさんのように死んでいきたいと思うけど、
さて、
実際となると、どうでしょーね?