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春さんが、帰ってこない――。 深夜一時半。 最愛の夫の帰りを待つ三津子。無理な残業をする彼を心配する彼女の心は、決して夫には届かない。 その想いを記した日記は、やがて幻聴、幻覚、幻影、幻想に飲まれていく。そして迎える《おしまいの日》に三津子は……。 春さんは、まだ、帰ってこない――。 正気と狂気の狭間を描く、サイコホラーの傑作!
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Posted by ブクログ
新井素子さん、こう来るか。 ほぼ三津子の1人語り。 うすら寒くなるけれど、おしまいの日が絶望的に終わらないところ、紙一重でギリギリの線を保てていた三津子。 おしまいの日は、はじまりの日でもあったのかもしれない。
わたし、新井素子さんの特徴的な文体を、モグモグ味わって、グングン読み進めた。←こんな感じの文体 主人公は専業主婦、小説が書かれたのは平成2年頃。 独身で社会人の自分にゃ遠い世界のはなしだけどそれもまたよし。と思って読み進めてたら、突如自分にとんがったナイフを突きつけられてこんなホラーある?てなった。...続きを読む 胸のざわつきがとれない。
くますけといい、これをホラーというのはものすごく無理があると思いました。 ただ作者がホラーだと思って書いている節もあるのでそういう意味ではホラーなのかなと。 「82年生まれ、キムジヨン」の次に読んだからかもしれませんがどちらかというとフェミニズムという感じのような気がします。 男女がどうとかとい...続きを読むうより 社会全体が役割を押し付けて生き方を強要することへの継承だと思いました。 昔に比べて働き方改革など色々な面で改善されているのだと思いますが この本がいまにも通じるように感じるのは まだまだ改善の余地があるからだと信じたいです。
くますけの隣にあり気になり購入しました。 だんだんと狂っていく主人公の日記がベースの話。なんとなく予想していた結末とは全然違った。狂っていたのは主人公なのかそれとも主人公の夫なのか、それとも社会なのか。最後まで読んでわからなくなった。まともってなんだろう。 帯に書いてあった「まともな時に読んでくださ...続きを読むい」の意味がよくわかった。 2回目に読むと受け取り方が違ってきそうなのですぐに再読したい。
散歩がてら入った本屋さんの『おすすめミステリ、ホラーコーナー』で気になって購入。 サイコホラーと紹介されていましたが、私には「純粋な愛が行きすぎてしまった物語」のように映りました。 すべてが愛情からくるもののようにも見える一方で、人によってはそうは受け取れず、私自身も不安を覚えたり、主人公の異常さ...続きを読むを強く意識させられる場面もありました。 ラストで主人公を含めた登場人物たちの行動には、疑問を感じたり驚かされたりもしました。 それでも読み進めるうちに、主人公だけがおかしいわけではないのだとも思わされます。 物語を追うなかで、登場人物それぞれの言い分や気持ちが理解できてくる感覚があり、立場や視点によって見え方が変わるのだと、普段なら気付けないような視点を得られた気がします。 ラストはとても切なく、余韻が残り、読後もしばらく心に引っかかる作品でした。
夫が仕事から帰るまで起きて待っている妻 私なら? もしも専業主婦をやっていてもそんなことはしない。食べてお風呂に入って先に寝てるよ、きっと でも 三津子さんの日記を読んでいると、おかしいと思う気持ちの片隅にはおかしくないかもという気持ちも生まれている気がするの 誰も彼もみんな少しずつ変なのさと思う...続きを読む さて 三津子さんは……………
とても強いショックを受ける作品だった。 まともなのは誰なのか、おかしいのは誰なのか。どの状態がおかしいのかまともなのか途中わからなくなった。 家庭の病理に蝕まれた生活をのぞいているみたいで面白かった。日記調で語られるところも個性的で飽きず、何より自分に合っていた。 多少気が狂った方が世の中生きやすい...続きを読むけど、まともに生きることから目を背けられない。絶対に道を踏み外せない。そうした強迫観念のような病に現代人も罹っているかもしれないと感じた。
狂気の世界。狂っている思考を日記の文体で見せられる。日記部分のフォントが、すでに不穏な雰囲気。 1992年に単行本の初版。1995年と 2012年に文庫版が出て、今年文庫の改版が発行されたので、もともとは今から30年以上も前の話! まだ携帯電話もそこまで普及してないし、24時間戦えますか?の風潮がま...続きを読むだあった時代。いろいろな価値観が変わったけど、人の怖さって、変わらないなぁと思う。 依存し、執着し、自分だけの世界に閉じこもり、どんどん狂っていく主人公。でもたしかに、狂っているのはこの主人公だけだったのか……? 絶対に自分の中にないとは言い切れない狂気の一端を、ここに見た。
おしまいの日は、三津子の日記から始まる。 仕事人間である夫、忠春が帰ってこない。 ご飯を作り、春さんが帰ってくるまで食事も取らず寝もしないで待っている三津子。 そんな寂しい生活の中に、にゃおんという猫が三津子の元にやってくる。 三津子の友人である久美、その夫の俊幸。 二人の介入も虚しく、三津子...続きを読むはおしまいの日へと近づいていく。 日記と手紙の黒塗りの部分。 なんとかして読めないのかな…。 それを公開したバージョンも発売してほしい。 何がおかしいのか、誰がおかしいのか、最後の最後で疑問が生まれてしまったな。 本当におかしい人は、自分がおかしいって気づけないはずだし、でもやっぱり三津子もおかしいんだろうし。 夢だと思ってたあの出来事が、本当に起こったことなんだろうな。三津子は忘れられて良かったね。
あらすじにサイコホラーと書いてあったけど、ホラー要素は微塵もない。と私は思う。 旦那が好きすぎて、元の性格もあって病的なまでに旦那に尽くす三津子は、読者からするとイラッとくる時もある。 でも最後に三津子の手紙を読むと、確かに精神を病んではいたけど、でも真っ当なことを言っているような気がしてくる。 あ...続きを読むんなに忙しい旦那じゃなければ、きっと幸せな生活だったのかもしれないと思うと、ちょっと哀れ。 「おしまいの日」には一体何が起こるのだろうとドキドキしていましたが、その点はでは期待ハズレ。でも面白かったです。
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