野口悠紀雄のレビュー一覧
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☆アベノミクス批判本。
私は経済学を体系だって学んでいないので、アベノミクスが正しのか間違っているのかわからない。賛成派、反対派の意見のどちらも知っておきたい。野口氏は反対派の立場に立つ。
〇円安が国益は幻想
・円安は、輸出企業の利益を増加させて株価を上昇させた。しかし半面では、生産コストを引き上げ、また消費者物価の上昇を通じて家計を圧迫している。他方で、賃金は上昇せず、設備投資は増えない。そして貿易赤字が拡大している。結局のところ、円安は労働者を貧しくすることによて株高をもたらしている。そして所得格差が拡大する。アベノミクスは実体経済を改善する力は持っておらず、日本経済を悪化させている。しか -
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御年75歳というのに、非常に柔軟で最先端の考え方をすることにいつも驚かせる。
いかに新しい技術革新を取り入れていくべきか熱く語ってある。あと何年この方が本を出すことができるだろうか。健康に気をつけてほしい。そして野口氏の理念を理解し実践する政治家が現れてほしい。
1章人口知能とビックデータが広げる可能性
2章新しいITサービスが変える市場経済の姿
3章本格的利用が始まったビットコイン技術
4章成長するアメリカと停滞する日本
5章日本が新技術を取り入れるための条件
6章アベノミクスでは日本は復活しない
7章投機の時代の終了
日本経済は長期的な停滞過程から脱却することはできない。この状態を変え -
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IT革命や中国の工業化が進んだ1990年代以降の世界経済の変化を解説し、日本が取り残された原因とその改善策について提唱している。
1970〜80年代は、日本やドイツの工業生産が進んだため、アメリカやイギリスの経済は停滞した。サッチャーは民営化と規制改革を進め、レーガンも税制改革を行って経済が復活した。IT革命によってコストが劇的に低下し、海外アウトソーシングや水平分業への移行が進んだ。イギリスではビッグバンと呼ばれる金融の規制緩和を実施したことで、シティに外資系金融機関が進出し、金融機関のディーリングルームがロンドンに統合されるようになった。
1990年代に中国が工業化したことによって、世 -
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最近、パソコンが高い。海外生産あるいは海外からのパーツ調達が多いため、円安の影響をもろに受けた結果である。発電用燃料の輸入とエレクトニクス製品の輸入の増加により、物価の円安感応度が近年とみに高まっている。反面、円安で増益になる企業は限定的であり、全体としては今もなお賃金は下降傾向にある。消費者物価は上昇し、ますます労働者の生活は貧しくなっている。財界に賃上げを呼びかけるもさしたる効果もない。賃金は個々の企業が決めるのではなく労働市場が決めるものであれば当然の帰結である。企業の売り上げが伸びなければ労働需要は増えないし賃金も上昇しない。日本の就業構造は大きく変化している。まずはその現実を見つめな
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仮想通貨は決済手段としては送金コストがゼロになるなど明らかに優れた価値を持っているがまだまだ問題点だらけ。特に投資先としてビットコインを考えている人は、リスクの面からも向かないというのが筆者の判断です。
セキュリティ面、ビットコインが仮想通貨の主役になるか分からない現状では投資先としては却ってリスクが高いと筆者は判断されているようです。
ただ当時の発達した電信網の元で初期の電話が、電信の代わりになるとは思わず玩具にすぎない、インタ-ネットも初期にその価値を認められていなかった過去の事例からも、決済コスト等で圧倒的な優位性を持つ仮想通貨がこれからの世の中の主役となるのは間違いなく、某国の首脳 -
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ビットコインに代表される仮想通貨に関する書籍。マネーは国によって、ドル、ユーロ、円など様々あり、各国や銀行に管理されている一方、ビットコインは管理主体がないのが特徴。ビットコインを支える技術としてブロックチェーンという考え方があり、ここに取引記録が全て残される仕組みとなっている。ブロックチェーンは前ブロックのハッシュ、ナンス、取引記録で構成され、ハッシュの先頭13文字が0となるナンスを見つける(計算する)ことをマイニングという。現在は10分程度で導かれるよう調整されている(目標時間は2週間毎に調整)。ビットコインが解決し得ることは大きく2点ある。①送金コストの低下。(例:円でドルを買う/売ると
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新書だけあって内容的にはここ数年の(5年くらいの)教授の著書の内容の網羅ダイジェスト版のような感じ。よって、著者の著書を読んでいる方には不要…あるいは頭の整理に。読んでいない方にはこれ一冊で著書の昨今の日本そして世界経済に対する見方と日本への処方箋が理解できるという内容。
東日本大震災後のいっとき「今こそ財政出動を」といった論調が目立った氏だが、あれは緊急避難としての主張だったのか、この本ではその点は全く消え去り、氏のもともとの主張である「産業構造の転換」なしには日本経済の再活性化はなく、アベノミクスはほぼ効果を発揮していないとの指摘に。