【感想・ネタバレ】円安待望論の罠のレビュー

あらすじ

◆ここ数年の日本経済は、為替レートの変動で大きな影響を受けた。というよりも、経済の主要な動きは、ほぼ為替レートで説明できるものであった。為替レートはそれほど重要なものだが、そのメカニズムについては、正確に理解されていない点が多い。
◆2012年秋以降円安が進み、株価が上昇して、経済のムードが大きく変わった。このため、円安が日本経済を活性化させていると考えられることが多い。しかし、円安は物価上昇、実質賃金低下、実質消費支出の低下など、望ましくない効果をもたらしている。
◆為替レートとは通貨の価値であり、円レートは日本の経済活動の価値である。だから、円安とは日本人の経済活動の価値が低く評価されることを意味する。それが良いはずがないことは、冷静に考えれば分かるはずだ。それが容易に分からないのが、「罠」の恐ろしいところである。
◆為替レートについていかに深い知識を得ても、それを利用して為替取引で継続的に利益を得ることはできない。それは、市場が効率的に働くために、利用可能な情報は、すでに市場価格に反映されてしまっているからである。
◆しかし、為替レートについて知ることによって、さまざまな経済の変化を、よりよく、より深く理解できるようになる。為替レートは、あらゆる経済変数に大きな影響を与えるもっとも基礎的な変数の一つだからである。為替レートを理解するか否かで、経済に関する理解はまったく異なるものとなる。
◆本書は、円安に依存することの誤りを明らかにし、為替レートと経済との関係について、基礎的な概念や理論、歴史を交えて解説する。さらに、アメリカの金融正常化後の世界についても展望する。

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Posted by ブクログ

☆アベノミクス批判本。
私は経済学を体系だって学んでいないので、アベノミクスが正しのか間違っているのかわからない。賛成派、反対派の意見のどちらも知っておきたい。野口氏は反対派の立場に立つ。
〇円安が国益は幻想
・円安は、輸出企業の利益を増加させて株価を上昇させた。しかし半面では、生産コストを引き上げ、また消費者物価の上昇を通じて家計を圧迫している。他方で、賃金は上昇せず、設備投資は増えない。そして貿易赤字が拡大している。結局のところ、円安は労働者を貧しくすることによて株高をもたらしている。そして所得格差が拡大する。アベノミクスは実体経済を改善する力は持っておらず、日本経済を悪化させている。しかし、円安が進行すると、企業利益が増大して株価が上昇する。そのため、あたかも経済活動が改善したように見える。株価上昇に幻惑された人々は、経済の深刻な問題から目をそらされている。
〇為替について
為替レートが重要なのは、それが全ての経済活動に影響を与えるからである。ではその為替レートについて学ぶと、どんなご利益があるのかというと、将来の為替レートを正確に予測できるようになり、FXで利益を上げることができるかというとそうはならないとのこと。そんな風に言われると知っていてもしょうがないと思ってしまうのだが、経済を深く理解できるようになるとか。

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2016年05月07日

Posted by ブクログ

この本の勉強になった点は、

リーマン・ショック当時の参考になる本。

更にはインフレ、国家破綻に関して

参考になる書物。

この辺りを数多く紹介してくれているところです。

ちょうどバンクーバーで勉強するための本を、

まとめ買いすることができました!!

今までと違う角度から経済の歴史を

み解くことが出来そうです。

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2016年05月03日

Posted by ブクログ

キャピタルフライトが怖い。崩壊は急激に起こる。バブルは徐々に形成される。
最終的にはインフレで財政危機を解消する。キャピタルフライトによって加速される危険。
円の実質価値の低下が進むと円安が加速する。
資産価格には期待が重要な役割を持つ。消費者物価はフローの価格なので自己実現メカニズムは働かない。
実効レートでは、ユーロが増価、円が減価、ドルは不変。
中央銀行のメッセージによる市場操作=言葉の経済=マネタリーシャーマン。
最近の実効実質為替レートは1995年ごろの半分。円安になっている。

データのありか
日本銀行ー時系列統計データ検索サイトー各種マーケット関連統計、の中に名目円ドルレート、名目と実質の実効レート。
国際決済銀行ー名目と実質の実効レート、各国の分がある。基準年は2010年
その他、FRB、IMF、世界銀行。

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2016年08月21日

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