賀東招二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フルメタル・パニック!シリーズ長編がついに完結となる第十二巻。ミリタリーであり、SFであり、学園ものでもあるようなこの作品だが、あとがきでも述べていたように、作者が大事にしたいところをしっかり大事にしているのですっきりまとまった印象だ。ここまでの話でしっかり主人公である宗介が変化しているということ。そして、その宗介が影響をあたえることや、宗介の周りで変化していく人物像。そういった「人物中心」の描写が最後の最後まで意味を持ってくる結末には非常に納得がいった。
ロボット物の最終決戦らしい描写も、量は少ないがしっかり燃えるポイントを抑えていて良かった。
エピローグとしては宗介・かなめにかなり絞って書 -
Posted by ブクログ
物語の動線がハッキリと見えた形の六巻である。あの世界的なネズミさんと、ポタポタしてる関西在住テーマパークの間で綱引きしながら展開される物語は、結末においてかなりハチャメチャなことになっている。
西也の魔法について、ラティファの病気についてなど物語の軸となっているところの話が進展しているが、後書きによれば今回のようなストーリーモードは異例のようである。次からはまた短編主体の遊園地運営モードに戻るとの由。
こうした方針が需要とマッチしているかはさておき、これからものんびり進行で展開されていく模様である。
物語的には謎を残しているものの、一つの決断がなされた内容は読みごたえがあるものだった -
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Posted by ブクログ
フルメタル・パニック!シリーズ長編第9巻。
前巻までの鬱屈した状況から、ミスリル側の反撃がはじまっていく流れを酷さと爽やかさを適度に混ぜながら書かれている印象で終盤へ向かうさまを楽しめる。
すでに反撃に動き出していたミスリル組の活動、瀕死だった宗介の復帰だけでなく、捕らわれたかなめの心境の変化と様々なキャラの「再起」が合流していくことで完成する各キャラの覚悟はとてもすっきりする。その中で終盤で爆発しそうな問題点の種を残していくのもとても巧い。
また、短編だけで出ていたキャラが長編で活躍し始めたり、作品の幅の広さが巧く生きている。
今巻から登場する宗介の後継機、レーバテインの大活躍っぷり -
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Posted by ブクログ
いつもの漢数字シリーズとは違い陣代高校ではなくミスリルを中心とした短篇集。ミスリル側の短篇集ということで、多くの話が作者の趣味全開で描写されている気がする。とくにASの設定面に触れる話に関してはあとがきでも語られている情熱がここぞというばかりに詰め込まれている。リアルロボット物が好きな読者には共感できる部分が非常に多いと思える。凝った設定を説明するためだけの話なども収録されているので、ロボット好きにはたまらない。
表題作である「音程は哀しく、射程は遠く」に関してはクルツの普段見せない面をメインに使いながら、クルツの小隊の全体の良さの描写にもつなげているのが良い。切ないプロットがクルツの普段と